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"面接官の誤算" 第8話

都アドバンスの社、岸本は険しい顔で資料を読んでいた。

「私はここまでとは聞いていません」

「聞いていなかったこと自体が問題なんです」

兄は厳しく言った。

「子会社だから現に任せるという方針には定のがあります。ただ、経営側が事部へ権限を集させたままチェック能を作らなければ、こういう状態になる」

岸本は反論できなかった。

佐野だけを処分して終わる問題ではないことが、俺にも分かった。

その

佐野が。

突然。

笑った。

乾いた。

い笑いだった。

「なるほど。やっと分かりましたよ」

全員が彼を見た。

「結局、弟を馬鹿にされて腹がっただけでしょう?」

佐野は兄を指すようにげた。

「副社ともあろうが、内のみを会社の調査に持ち込んでいる。これこそ職権乱用じゃないですか」

俺は呆れた。

しかし佐野は、自分が反撃の糸を見つけたとでもったのか勢いを増した。

「社もそういますよね? 親会社の副社が弟のために子会社へ乗り込んできて、気に入らないを処分しようとしている。こんなの許されるんですか?」

岸本へ同を求めた。

俺は兄を見る。

兄は。

っていなかった。

むしろ。

しだけ。

しそうな顔をしていた。

そしてその表を見た瞬、俺は気づいた。

佐野はまだ。

なことを。

理解していなかった。

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「佐野さん」

兄は机のに置かれた資料の束をゆっくり揃えた。会議には10い関係者がいたが、誰もを挟まなかった。佐野だけが荒い呼吸を続け、兄が内のいていると証できれば状況をひっくり返せると信じているようだった。

「私が弟の話を聞いて腹をてたか、と聞かれれば、もちろん腹はちました。族ですからね。ただし、それと会社としての判断は分けています。もし達郎の証言しかなかったなら、私は今こんな会議をいていません」

兄はの資料を佐野のへ滑らせた。そこには個名を伏せた聞き取り覧があり、応募者、現役社員、退職者をわせて28分の証言が理されていた。内容はそれぞれ異なるものの、共通しているのは佐野が学歴や庭環境、性別、齢など業務能力とは直接関係のない素を持ちし、そのものを格付けするような発言を繰り返していたことだった。

兄はそので誰かを断罪するような読み方はしなかった。いつ、誰から、どのような相談があり、それを裏づける記録がするかをつずつ説していった。たとえば3に採用担当だった社員は、最終面接で評価が覆った候補者について理由を尋ねたところ、佐野から「柄がうちにわない」と言われたと証言していた。

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別の社員は、者を推薦したことで「おも同じレベルだから見る目がない」と会議で笑われている。その、主な採用案件からされたが、当のメールには佐野自が「しばらくきな仕事を任せるな」と別の管理職へ指示した記録が残っていた。単なるな証言ではなく、発言と利益が結びついていた。

「それでも、部を指導する権限は私にあります」

佐野は苦し紛れに言った。

兄は頷いた。

「あります。ただし、異論を述べた部を懲らしめる権限ではありません」

親会社の事担当者もいた。佐野の部署では過3、若社員の退職率がより幅にく、異希望も集していたという。これまでは「採用部は忙しいから」で処理されていたが、今回の聞き取りで、複数の社員が佐野との関係を理由に挙げていた。

俺は資料を見ながら、最終面接のに黙って俯いていたの面接官をした。あのは「佐野の方がだから何も言えなかったのだろう」と考えたが、もしかすると彼ら自、逆らえばどうなるか分かっていたのかもしれない。

「私の面接で問題が表面化しただけだったんですね」

俺が言うと、兄は頷いた。

「そういうことだ。おが特別にひどい扱いを受けたというより、今回は記録と証言をつなげる材料が揃った」

その言葉を聞いて、俺はむしろした。

兄が俺のためだけに会社へ圧力をかけていたのなら、それは俺が望んでいたことではない。

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