"面接官の誤算" 第10話
佐野はその象徴ではあったが、佐野を辞めさせれば元通りになるわけではない。
岸本はい、資料を見ていた。
やがて。
「申し訳ありませんでした」
とをげた。
俺ではない。
兄だけでもない。
同席している。
社員たちへ。
向けてだった。
「経営者として、把握していなかったでは済まないとっています」
佐野も周囲を見てから、渋々をげた。
しかし兄は、そので「謝ったから終わり」とはしなかった。
「処分については、親会社だけで方に決めません。社内規程に沿って正式な続きを取ってください。ただし、今の体制をそのまま維持することはできないと考えています」
続いて示されたのは、都アドバンスの経営再編案だった。
以から収益性のが問題になっており、今回の調査で管理面のさまでらかになったため、親会社側では単なる役員交代ではなく、組織そのものを再編する方向で検討している。採用、労務、コンプライアンスといった管理部を親会社と体化し、内部通報窓も部関を交えた形へ変更する案が示された。
佐野は青ざめた。
「待ってください。会社そのものをなくすつもりですか」
「なくすとは言っていません」
兄が答えた。
「働いている社員の半には何の責任もない。事業も続ける。ただし、今の管理体制を残す理由もありません」
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俺はその言葉を聞いてした。
会社に問題があったからといって。
真面目に働いている。
社員まで。
に迷わせる。
必はない。
むしろ。
必なのは。
会社を壊すことではなく。
壊れている部分を。
直すことだ。
佐野はそれでも、自分の処遇についていがった。
「私は何も会社に貢献してきたんですよ。採用だって、私が来てから数を増やした。それを全部無するんですか」
兄は度だけ息を吐いた。
「実績があることと、問題がなかったことは別です」
その答えは。
あまりにも。
簡単だった。
けれど。
俺には。
妙に響いた。
仕事ができる。
数字をす。
学歴がい。
役職がある。
それらは。
誰かを。
好きに扱っていい。
免許証ではない。
佐野は最までそれを理解できていないようだった。
そして、そのの会議が終わる頃。
兄は彼へ。
最の確認をした。
「面接での発言、部への発言、評価記録について、事実関係に反論はありますか」
佐野はい沈黙のあと、首を横に振った。
「……ありません」
その返事は議事録へ残された。
俺はその瞬、自分のにあった1か分の悔しさが、ようやくしだけほどけていくのをじた。
会議をたあと、兄と俺は同じエレベーターへ乗った。1か、最終面接を終えてでりたとはまったく違う気持ちだったが、だからといって勝ち誇るような爽があるわけでもなかった。
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佐野が青ざめている姿を見ればは胸がすくとっていたのに、実際に残ったのは疲労と、妙な空虚さだった。
階へ着くと、兄が俺を見た。
「悪かったな」
「何が?」
「最初におへ応募を頼んだことだ。ここまでひどいとはってなかった」
「兄貴が謝ることじゃないだろ」
俺は笑った。
「むしろ、あそこで俺が変な会社に入らずに済んだとも言えるし」
「まだ入りたかったか?」
聞かれて、し考えた。
1かなら。
迷わず。
はい。
だった。
けれど。
今は。
会社名だけで。
憧れることは。
できなかった。
「会社は変わるんだろ?」
「ああ」
「だったら、今すぐは分からない。ちゃんと変わったなら、また興を持つかもしれない」
兄はし笑った。
「それでいい」
ビルをて、くの喫茶へ入った。兄はコーヒー、俺はアイスティーを注文し、会議では話せなかったことをしばらく話した。
「俺さ」
俺はストローの袋を指で折りながら言った。
「面接の、帰りでずっと考えてたんだよ。学もっといいところってたら違ったのかな、とか。母子庭って言わなきゃよかったかな、とか」
兄は黙って聞いた。
「でも、それ考えてるうちに、佐野の言ってることを自分で認めてるみたいで嫌になった」
俺の学は超難関ではない。
母はで俺を育てた。
も裕福ではなかった。
全部。
事実だ。
だからといって。
恥じる理由には。
ならない。
学へけたこと自体、俺にとっては母と緒につかんだ結果だった。
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