"面接官の誤算" 第11話
仕事をしながら学費を準備し、「やりたいなら受けなさい」と送りしてくれた母を、俺は誇りにっている。
「兄貴もに言ってたよな。事で番怖いのは、自分にを見る目があるとい込むことだって」
「ああ」
「ちょっと分かった気がする」
佐野は、を見る目があると信じていた。
だから。
相を。
ろうとしなかった。
学名を見れば。
分かる。
親を見れば。
分かる。
会社名を見れば。
分かる。
そうった瞬に。
面接は。
必なくなる。
「俺、事やりたいって気持ち、よりくなったよ」
そう言うと、兄はそうに眉をげた。
「嫌にならなかったのか?」
「逆。佐野みたいながいるなら、なおさらちゃんとやりたい」
兄は声をして笑った。
「お、案しぶといな」
「誰の弟だとってんだよ」
その、都アドバンスでは正式な社内調査と処分続きがんだ。佐野は事部職をされ、最終には自ら退職を選んだと聞いた。岸本も代表職から退き、経営体制の刷がわれることになった。
会社自体は潰れなかった。
数百いる社員のくは。
そのまま。
働き続けた。
ただし。
管理部は。
きく変わった。
採用面接では、評価基準を複数の面接官で共し、庭環境など業務と無関係な質問をわないことが改めて文化された。内部通報も直属部だけで処理せず、部窓を設けることになった。
広告
半。
都アドバンスは。
島カンパニー本体へ。
吸収される形で。
再編された。
俺はそのも元の会社で働き続けていたが、兄から事プロジェクトへの参加を打診された。
「内だからじゃないぞ」
最初にそう言われた。
「今回の調査で、おが応募者側から見たことを理した資料、評判よかったんだ。選考の現をってるし、材会社での経験もある。正式な選考を受けるなら推薦はする」
俺は即答しなかった。
推薦。
兄。
父の会社。
以なら。
それだけで。
断っていた。
でも。
推薦を受けることと。
実力以に。
扱ってもらうことは。
違う。
そう考えられるようになった。
数週、俺は島カンパニーの途採用へ応募した。
今度も。
面接を受けた。
兄は。
面接官には。
入らなかった。
結果。
俺は。
格した。
通を見た。
真っ先に。
話したのは。
母だった。
「受かった」
話の向こうでしばらく沈黙があり、そのあと母は「よかったね」と言った。い言葉だったが、声がし震えているのが分かった。
俺はあの。
佐野に。
母を。
馬鹿にされた。
けれど。
母が。
俺へ与えてくれたものの価値は。
佐野には。
最初から。
測れなかった。
それだけの話だった。
都アドバンスの再編からしばらく経ち、俺は島カンパニーの事部で働くようになった。採用担当になったわけではなく、最初はグループ企業の員データや研修制度を扱う部署からのスタートだったが、俺にはそれで分だった。
広告
肩ではなく、つずつ仕事を覚えていけばいいとえるようになっていた。
兄とは以より顔をわせる会が増えたが、会社ではほとんど会話をしなかった。副社と入社したばかりの社員というがある以、必以にく見られない方がお互いのためだと兄が判断したからだった。その代わり、休には以と変わらずで事をし、俺が失敗した話をすれば慮なく笑われた。
ある、俺は兄へ以から気になっていたことを聞いた。
「父さんと母さんって、本当は何で婚したんだ?」
兄はし考えた。
「俺から聞くより、本たちに聞けよ」
子どもの頃は、「仕事が忙しくなって活がわなくなった」としか聞かされていなかった。父とは今でも普通に会っているし、母も父の悪を度も言わなかったため、ずっと理由が分からなかった。
そこで休、久しぶりに父のへった。
父は会社では厳しい経営者としてられているらしいが、俺のでは昔から器用な普通の父親だった。俺が婚理由を尋ねると、い考えたあと、ようやくをいた。
「会社が危なかったんだよ」
俺が幼い頃、島カンパニーはまだ今ほどきくなく、資繰りが厳しい期が続いていた。父はへほとんど帰らず、借を抱える能性もあったため、族まで巻き込むことを恐れていたという。
広告
おすすめ作品
-
完結第13話
孫の一言で知った息子の計画
元看護師のかず子は、孫の何気ない一言から、自分のお茶に睡眠薬が混ぜられていると気づく。犯人は、実の息子と嫁だった。 二人の目的は、彼女を認知症に仕立てて施設へ送り、家も預金も奪うこと。証拠を掴んだかず子は財産を守り、静かに家を脱出する。68歳から始まった逆転人生の行方は――。祖父母と孫|修羅場2.0萬字5 7 -
完結第12話
「住所は教えない」と言った息子へ
42年間、息子家族を支え続けた美津子。だが息子は義母を「本当の母」と呼び、彼女を金づる扱いした挙句、新居の住所すら隠した。 すべてを知った美津子は援助を打ち切り、2億8千万円の資産でタワマン最上階へ。「でも、住所は教えないわ」――返された一言を境に、彼女の本当の人生が始まる。介護|修羅場1.8萬字5 9 -
完結第12話
団地に残された17通
毎朝5時、誰よりも早く団地へ来て、廊下も階段もごみ集積所も黙って掃除してきた61歳の藤本志津江。 13年間続けてきた仕事は、ある日突然、31世帯の署名によって終わりを告げられる。理由は「住民の生活をのぞいている」「勤務時間外に声をかけすぎる」というものだった。 志津江は反論しながらも、自分の善意が誰かにとっては重荷になっていたことを知る。 そして契約終了が決まった直後、清掃用具庫から見つかったのは、長年誰にも届かなかった17通の手紙だった。 その中には、15年前に団地で起きた火災と、当時責任を負わされた元管理人、そして亡くなった女性が残したはずの言葉が含まれていた。 志津江は本当に住民を見張っていたのか。 17通の手紙は、なぜ用具庫に残されていたのか。 そして、団地が長年隠してきた火災の真相とは――。因果応報|人生逆転|真実1.8萬字5 118 -
完結第10話
父の葬儀の日_夫は愛人を車に乗せて去った
48歳の由美は、3年間ほぼ1人で父を介護し、78歳の父を見送った。ところが葬儀の帰り、20年連れ添った夫・浩司は、愛人と思われる女性を助手席に乗せたまま、喪服姿の由美を雨の駅前で車から降ろす。「俺だって1日付き合って疲れてるんだ」。由美は泣かず、父が亡くなる2日前に渡してくれた古い革鞄を開いた。中にあったのは、1通の手紙、弁護士の名刺、そして夫の会社に関する資料。手紙の最初には、「浩司君に、私の通帳も印鑑も渡してはいけない」と書かれていた。なぜ父は、娘の夫をそこまで警戒していたのか。由美は父が最後に残した手がかりを追い始める。夫婦|親不孝|金銭問題|修羅場|不倫1.5萬字5 517 -
完結第12話
花嫁が追い出した親友
幼なじみであり、仕事の相棒でもある親友・陸人の結婚式。 車椅子で生活する平井圭人は、心から親友の幸せを祝うつもりで式場へ向かった。だが、そこで待っていたのは、花嫁・美智からの冷たい拒絶だった。 「あなたがいると品格が下がる」 そう言われた圭人は、静かに式を去ろうとする。しかし美智はそれだけでなく、陸人との長年の友情まで断ち切るよう迫ってきた。 親友を困らせたくない圭人は、一度は身を引こうとする。 だが、美智は知らなかった。 目の前にいる車椅子の男が、陸人の人生を大きく変えた人物であり、さらに彼女が見下していた相手こそ、陸人が働く会社の代表だったことを。 結婚式当日、花嫁の一言から、隠されていた過去と本当の人間性が明らかになっていく――。怒り|修羅場1.9萬字5 627 -
完結第13話
0円の注文帳
母の死後、55歳の直子は、43年間続いた弁当屋「こもれび弁当」を片づけるため、久しぶりに実家へ戻った。 店の奥から見つかったのは、母が残した古い注文帳。そこには、直子が20歳の誕生日に母を嫌いになった夜の記録が残されていた。 《6号棟504 2食 0円》 《白いタオル》 《直子には言わない》 あの日、母は誕生日の食卓を途中で抜け出し、急ぎの配達へ行った。直子はずっと、母が自分より店の客を選んだのだと思っていた。 しかし30年後、注文帳に残された「0円」の意味を追ううちに、直子は知らなかった母の顔、父が隠した事実、そして自分が娘に繰り返しかけていた言葉の重さに気づいていく。 母は本当に、娘の夢を奪った人だったのか。 古い弁当屋に残された一冊の帳面が、30年間止まっていた母娘の時間を静かに動かし始める。金銭問題|修羅場1.9萬字5 725 -
完結第10話
「貧乏な主婦は帰れ」と笑った銀行員――直後、支店長が私を見て凍りついた
祖母の遺産整理のため銀行を訪れた美咲は、質素な服装を理由に「底辺の主婦」と見下され、亡き祖母の通帳まで床へ投げ捨てられる。 だが彼女の本当の正体は、世界的巨大ファンドの資金を動かす天才システム開発者だった。 静かにスマホを操作した瞬間、5秒ごとに10億円が銀行から流出し始め――。ミステリー|真実1.5萬字5 783 -
完結第10話
「俺の子じゃない」と言った夫へ、99.999%の鑑定結果を見せた日
命懸けで娘を産んだサツキに、夫・慶一が放ったのは「俺の子じゃない。DNA鑑定しろ」という非情な一言。さらに義母と義妹まで押しかけ、浮気女と決めつけ300万円の慰謝料を要求する。 しかしサツキは静かに一枚のDNA鑑定書を差し出した。 親子関係99.999%――そして次に彼女がテーブルへ並べたのは、夫が決して知られたくなかった“大量の写真”だった。 本当に裏切っていたのは、一体誰なのか――。人生逆転|真実1.6萬字5 761 -
完結第20話
温泉旅行を贈った夫の本当の目的
結婚32年、家族のために働き続けた恵美子。ある日、夫から突然贈られた高級温泉旅行に喜ぶが、忘れたスマホを取りに戻ったことで、夫と若い愛人の恐ろしい本音を聞いてしまう。 「退職金も土地も奪って、最後は追い出せばいい」 しかし二人は知らなかった。 “何も知らない従順な妻”と見下した恵美子が、32年間の医療事務経験で培った知識と証拠収集力を武器に、すでに完璧な反撃を始めていたことを――。 愛も金も家も失うのは、一体誰なのか。夫婦|修羅場3.0萬字5 1105 -
完結第18話
帰りたくない少女と赤い車
17時45分。 八王子市の保育園で、5歳の小林メイは迎えの時間になると突然泣き出した。 「嫌だ。お家に帰りたくない」 迎えに現れたのは母親ではなく、父・匠だった。 登録された母親のスマートフォンを持ち、穏やかに笑う父親。 しかし、その姿を見た瞬間、メイは震えながら逃げようとする。 そして帰宅後、教室に残されていたのは、メイが片時も離さなかった古いぬいぐるみだった。 胸騒ぎを覚えた保育士・リンは、赤い車を追う。 車が向かったのは、自宅ではなく人気のない森。 さらにその夜、小林家から響いたのは―― 「お願い! 娘の前でだけは!」 母親の悲鳴だった。 なぜメイは家を恐れていたのか。 父親は森で何をしようとしていたのか。 一人の保育士が違和感を追った瞬間、誰にも見えなかった“家庭の秘密”が崩れ始める。真実2.7萬字5 372