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"「介護が悪い」と責めた家族の3日後" 第16話

しかし仕事などにつくはずがない。

パソコンの画面を見つめていても、をぐるぐると回るのは、自分の横領がバレる恐怖だけだ。

もし会社にられたらどうなる?

横領でクビになるかもしれない。

退職ないのか。

彼のには、自分の保に対する配しかない。

111で介護を背負わされてきた妻への謝罪や、母親へのいは1ミリもしなかったのだ。

「佐藤さん、どうしました?さっきからが止まってますよ。」

若い司がいぶかしげな顔で俊夫のデスクを覗き込んだ。

「いや、ちょっと考え事をしていて……」

司はため息をついた。

「昨類、また数字が違っていましたよ。お母様の介護で変なのは分かりますが、しっかりしてください。」

司の言葉に、俊夫は笑いを浮かべることすらできなかった。

周囲の同僚たちがややかな目で俊夫を見ている。

偉そうにしているくせに、仕事もまともにできないのか。

そんな声が聞こえてくるような気がした。

昼休み、俊夫は逃げるように会社をて、妹の弓に話をかけた。

彼に残された方はもう妹しかいないとったからだ。

「頼む、てくれ。」

しかし何度かけても、弓の話は繋がらなかった。

質なアナウンスが流れ、俊夫は絶望で目のが真っ暗になった。

弓は兄からの話を完全に着信拒否にしていたのだ。

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の夜、兄の嘘とさに絶望した彼女は、俊夫との関わりを切断ち切る覚悟を決めていた。

3

俊夫のスマートフォンが突然震えた。

らぬ局番からの着信だ。

彼はビクッと肩を揺らし、恐る恐る通話ボタンを押した。

「もしもし。」

「佐藤さんの携帯話でしょうか?」

話の向こうから聞こえてきたのは、落ち着いたい男性の声だった。

「私は奥様のさんから依頼を受けました、弁護士のと申します。」

その名を聞いた瞬、俊夫の臓が激しくがった。

「べ、弁護士……」

「はい。本はお義母様である文子さんの財産管理、並びに今の夫婦関係についてご通がありお話いたしました。」

弁護士の声はどこまでも静で、の揺れが切ない。

それが逆に、俊夫にとってはなによりも恐ろしくじられた。

はどこにいるんだ?俺に直接話をさせろ!」

俊夫は必に虚勢を張り、声で叫んだ。

しかし弁護士は全くじない。

「奥様は現、ご自全を守るため、あなたとの直接の接触を拒絶されています。今の連絡は全て私を通していただきます。」

「ふざけるな!夫婦のことにしするな!」

「夫婦の問題だけではありません。佐藤さん。」

弁護士の声が段とく鋭くなった。

「あなたはに渡り、お義母様の座から正な引きしを繰り返していましたね。

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その証拠となる通帳は現こちらで切にお預かりしています。」

俊夫は息をするのも忘れ、完全に言葉を失った。

弁護士は事実を淡々と並べた。

「これ以の無断引きしを防ぐため、すでに庭裁判所へ成の申して準備に入っております。」

弁護士はさらに続けた。

「またこれまでの使途については、法な返還請求を野に入れて調査をめます。」

「ま、待ってくれ!それは誤解だ。俺は母さんのために……」

俊夫のからた言い訳は、あまりにも惨めで々しいものだった。

「誤解かどうかは、裁判所でご説いただければ結構です。」

弁護士はたく言い放った。

に内容証郵便にて、正式な通を送付いたします。本は失礼いたします。」

「おい、待て!切るな!」

ツーツーという音が、再び俊夫をい絶望の底へと突き落とした。

彼は会社の非常階段の踊りで、スマートフォンの画面を見つめたままち尽くした。

の震えが止まらず、っていることすら困難だった。

全てが終わった。

築きげてきた派な男という虚像が、音をてて崩れっていくのをじた。

誰も彼を助けてくれない。

誰も彼に同してくれない。

彼が11妻に背負わせ続けてきた孤独と恐怖が、今度は彼自に襲いかかってきたのだ。

そのの夜。

俊夫はフラフラとした取りで、誰もいない暗い実へ帰ってきた。

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