"「介護が悪い」と責めた家族の3日後" 第18話
刻は午817分。
私はその着信をただ静かに見つめていた。
話にることはしなかった。
すると912分に再び着信があった。
103分、1140分。
スマートフォンの画面は、夫からの着信履歴で真っ黒に埋め尽くされていった。
着信のに、いメッセージも届き始めた。
『し話したい。』
『、話にてくれ。俺が悪かった。』
『1度だけ会って話をさせてくれ。』
かつての私なら、夫からこんなに何度も話がかかってくれば恐怖で臓が縮みがっていただろう。
「お義母さんに何かあったのではないか。」
「夫をらせてしまったのではないか。」
そうって、パニックになりながら話にていたはずだ。
しかし今の私は全く違った。
拍数はしもがらず、ただめたお茶を見るような気持ちで画面を眺めていた。
義母は今、全なショートステイの施設でプロの職員たちに守られている。
つまり夫からのこの着信は、命に関わる緊急事態ではない。
ただの彼自の保と焦りから来る、見苦しい叫びに過ぎないのだ。
お昼の12をし回った頃。
私は茶をみ、さく息を吐いた。
そして7回目の着信が鳴り始めたスマートフォンを、ゆっくりとに取った。
ボタンを押し、に当てる。
「はい。」
私の第声は驚くほどく、静かだった。
話の向こうで、俊夫がきく息を呑む音が聞こえた。
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「わ、か!頼む、切らないでくれ!」
俊夫の声は裏返るほど必だった。
昨の夕方、ドア越しに私を脅ってきたの威勢は微も残っていない。
「ごめん、俺が悪かった。だから弁護士の件は取りげてくれないか?」
私は何も答えなかった。
無言の圧力に耐えきれなくなったのか、俊夫はで捲して始めた。
「3でこれだ。いったよ。、おはこれを11もやってたんだな。」
「そうだよ。」
私はく事実だけを肯定した。
そこにはりもしみもない。
「戻ってきてくれ、。もう全部おに任せたりしない。これからは俺もやる。弓にも伝わせる。だから……」
「伝うじゃなくて。」
私は俊夫の言葉を静かに遮った。
「え?」
「伝うという言葉を使っている点で、あなたは何も分かっていません。」
私は窓のの青空を見つめながら言った。
「自分の親の命を預かって、自分の母親の介護をする。そう言える覚悟があなたにはあるの?」
話の向こうで俊夫はしの沈黙した。
そして絞りすような声で答えた。
「言える。俺がやる。だからに帰ってきてくれ。」
彼は私がその言葉を待っていたのだと勘違いしたのだろう。
しだけ声に堵のが混じっていた。
しかし私の反撃はここからだった。
「お義母さんの介護をすることと、弁護士の件は別の問題です。」
私の言葉に、俊夫の息が止まる気配が伝わってきた。
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「お義母さんのおを無断で使っていたこと。それを隠すために私に嘘をつき、精神に追い詰めていたこと。それは謝って済む話ではありません。」
「、頼む。あのはしずつでも必ず返すから。だから裁判だけは……」
「返すのは当たりです。」
私は言い切った。
「でも、あなたが本当に反省しているというのなら、それを私に隠れてこっそり処理しようとするのは違っています。」
私はバッグのから1冊の帳を取りし、の予定を確認した。
「、お義母さんがショートステイから実に帰ってきます。そのにわせて、ケアマネージャーの岸さんと弁護士も実へ向かいます。」
「べ、弁護士がに来るのか?」
俊夫の声が絶望に染まった。
「はい。これからの宅介護の体制とおの管理について、専を交えて正式な族会議をきます。もちろん弓さんにも来てもらいます。」
それは俊夫が最も恐れていた事態だった。
密ので妻を丸め込むのではなく、の目があるるい所で自分の罪を全てのに晒されるということ。
逃げは完全に塞がれた。
「、お俺をそこまで憎んでいるのか……」
俊夫がめしそうな声で呟いた。
私はしだけ角をげ、静かに答えた。
「憎んでなんかいないわ。ただ、もうあなたの嘘に付きうのは終わりにしたいだけです。
」
私はそれだけ言い残し、通話終のボタンを押した。
スマートフォンをテーブルに置き、私はくしい空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
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