みかん小説
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"「冷たい嫁」と書かれた分担表" 第8話

自分が現を隠したことを覚えているもあれば、「結局見つからなかった」と話すもあった。

施設へ移って1か、志津は佐子にさな巾着袋を渡した。には5000円札が2枚入っていた。

に借りた分」と言うが、佐子はを貸した覚えがない。隠した現のことかもしれず、別の記憶と混ざっているのかもしれなかった。佐子は受け取らず、施設職員へ事を説して志津の財布へ戻してもらった。

「まだっているの」と志津が尋ねた。

っています。でも、っていても会いには来られます」

志津はその答えを理解したのか分からない。ただ、帰り際に佐子の袖をつかみ、「来週は蕗を持ってきて」と言った。季節はもうで、蕗はに入りにくい。佐子は「見つかったら」とだけ答えた。

正志とは別居を続けていた。夫はに2度ほど訪ね、事や介護の報告ではなく、自分が何を考えたか話すようになった。それでも佐子は簡単には戻らなかった。変化が本物かどうかは、言葉ではなくでしか分からないとっていた。

正志はある、結婚してから佐子が仕事を辞めた回数を初めて数えたと話した。子どもの発、父親の入院、志津の術。そのたびに族は「今だけ頼む」と言い、元の活へ戻す責任は誰も負わなかった。正志は謝ったが、佐子は「分かったなら、それを忘れないで」

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とだけ答えた。

謝罪を受け取れば、すぐ許さなければならないわけではない。佐子は夫を罰したいのではなく、言葉つで以の役割へ戻されることを恐れていた。正志が自分で母親へ話し、自分で予定を変更し、失敗しても佐子を呼びさない々が続いて、初めてさな信用がまれた。

志津の施設では、族会のに正志と浩が交代で席した。以なら資料を佐子へ渡し、「女同士の方が話しやすい」と任せただろう。今は職員の説を自分で聞き、分からない言葉を尋ねている。その器用な姿を見ても、佐子はさず、必だけ隣から補した。

、志津のをどうするか、改めて話しが来た。施設での暮らしは定し、本も自宅へ戻りたいとは言わなくなっていた。志津は司法士と奈央の同席するで、を売り、その代を自分の施設費と医療費に充てたいと話した。

「残ったおは、そのに残ったが決めればいい。今から分ける話はしないで」

言葉はゆっくりだったが、確だった。浩はうつむき、美穂は度もを挟まなかった。正志は母親の希望として受け入れ、売却続きには第者の専職を入れることを提案した。

理には族全員が参加した。佐子は志津の類を分け、正志は古い具を処分し、浩夫婦は物置を片づけた。

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で何度か見がぶつかったが、誰かに任せることはなかった。

志津は捨ててよい物と残す物を度に判断できなかったため、作業は4に分けた。初だと言った茶碗を、翌週には嫁入り具だから残したいと言うこともあった。以の正志なら苛っただろうが、写真を撮って本へ見せ、次回まで保留箱へ入れた。

は古い具箱を欲しいと言い、美穂は着物を買い取りにすことを勧めた。佐子はさず、すべて志津へ確認した。族が欲しい物を先に分ければ、理の名を借りた相続になる。はかかったが、その面倒こそ本の物を本の物として扱うために必だった。

押し入れの奥から、現を入れた封筒がさらに2つ見つかった。つには3000円、もうつには空の祝儀袋が入っていた。志津がいつ隠したのか分からず、過の紛失騒ぎと関係があるかも確認できなかった。族は推測で犯を作らず、見つかったを志津の座へ戻した。

例のノートは、志津が施設へ持っていったままだった。に佐子が訪ねた、最のページにしい文字が増えていた。震える青いペンで、《佐子さんは、来る。でも毎は来ない。それでよい》とかれていた。

志津本いたのか、職員に伝ってもらったのか、佐子は尋ねなかった。

正しい記憶だけで関係ができるわけではない。

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