"「無職の父」と呼ばれた6年間" 第5話
6、父親であることと、唯の管理者であることが混ざっていたのだ。
2回目の週末、悠が発した。美咲は仕事の話を切れず、佳代子が対応したが、の血糖変にをじて公平へ連絡した。公平は話で順を説し、必なら病院へくよう勧めた。自分が迎えにくとは言わなかった。
美咲たちは夜来を受診し、無事に帰宅した。翌、美咲は公平へ「助かった」とだけメッセージを送った。
公平は、母親が失敗するのを待って親権を得たいわけではないと自分へ言い聞かせた。悠にとって必なのは、の完璧な親ではなく、複数のが正しい対応を共することだった。
試期の3回目、美咲は悠と2で泊旅へく計画をてた。発症、母子だけでしたことは度もない。公平は病院の所、移、事の候補を調べようとしたが、美咲から自分で準備すると止められた。
公平はを抑え、確認事項の覧だけを渡した。美咲は旅館へ事内容を問いわせ、予備の医療用品と保方法を準備し、現の夜診療所も調べた。公平の方法と順番は違ったが、必な点は押さえていた。
旅当、が事故で1止まった。予定していた昼が遅れ、悠の数値ががり始めたが、美咲はホームで補を取らせ、予約先へ到着を連絡した。
広告
公平がったのは、すべて落ち着いたの共記録だった。
《遅れたけど対応済み。悠は元気》
その文を見た、公平はより先に、自分が呼ばれなかった寂しさをじた。息子の危へ対応することが、父親として必とされる最も分かりやすい瞬だったからである。
帰宅した悠は、母親が駅員へ落ち着いて相談したことを楽しそうに話した。公平は美咲の細かな違いを探さず、「2でけてよかったね」と答えた。
夜、公平は弁護士へ、妻の単独養育にもきな問題はなかったと報告した。自分に利になるかもしれない報をすことに瞬迷ったが、調は相の失敗を集めるではない。息子にとって、母親も全に過ごせるである方がよい。
弁護士は、公平が主な養育者だった事実と、美咲がこれから学べることは矛盾しないと言った。過の実績だけで相を永に補助な親へ固定すれば、子どもの支援は広がらない。
公平は、自分が守りたいものを改めて考えた。親権という名、自分の居所、息子の定。そのつはなっているが、同じではない。息子の定を守るためなら、美咲が親として成することを恐れてはいけなかった。
庭裁判所の調査官が悠と面談することになった。公平も美咲も、何を話すべきか教えないよう求められた。
広告
面談当の朝、公平は普段どおり朝を作り、息子へ「困っていることをそのまま話せばいい」とだけ伝えた。
悠は面談、内容を話さなかった。公平も聞かなかった。数週、調で伝えられたのは、息子が「今の学を変わりたくない」「父親とみたいが、母親とも毎週会いたい」と希望していることだった。
美咲は顔を伏せた。公平は勝ったような気持ちにはなれなかった。悠の希望には、母親を失いたくないがはっきり含まれていた。
調査官は、子どもの向だけで結論が決まるわけではないと説した。ただ、現の学と医療体制が定し、公平が主な養育を担ってきたことはく考えられる。方、公平の収入と今の居について具体性が必だった。
その頃、公平は医療用品を扱う会社の庫管理職に採用された。週4は午4まで、1は宅で発注業務をう。与は以よりいが、学からの緊急連絡に対応できる条件だった。
採用をった美咲は、「親権のために都のいい仕事を選んだのね」と言った。公平は否定しなかった。悠と暮らすために選んだ仕事であり、それは悪いことではない。
方、美咲も会社へ勤務の調を申請した。役職をつり、週2は宅勤務にする案だった。収入は減るが、息子とのを増やせる。
「仕事を捨てる必はないよ」と公平は言った。
「あなたに言われたくない。
広告
おすすめ作品
-
完結第11話
病院へ行かない黒い車
「健一が事故に遭ったの。危篤よ。すぐ病院へ向かいなさい!」 義母からの電話を受けた由美子は、夫の安否を案じ、家の前に用意されていた黒いハイヤーへ飛び乗った。 しかし車は、病院とはまったく違う方向へ走り出す。やがて連れて行かれたのは、電波も届かない山奥の古びた宿だった。 問い詰める由美子に、運転手は申し訳なさそうに告げる。 「すみません……指示どおりです」 夫の事故、義母の悲鳴、そして病院へ向かうはずだった車。すべては、由美子を家から遠ざけるために仕組まれた罠だった。 その裏で、夫と義母は何を終わらせようとしていたのか。 25年間、黙って耐えてきた妻が、たった一言から家族の嘘を暴き始める――。因果応報|夫婦|真相1.7万字5 166 -
完結第11話
消えた指輪と義父の手帳
結婚2年目の美咲は、義母・富美子から突然、亡き義父が贈った大切な指輪を盗んだと疑われる。 防犯カメラには、夜中に美咲が仏間へ入る姿が映っていた。だが美咲は、ただ窓を閉めただけ。身に覚えのない疑いをかけられたうえ、夫の亮介までもが「バッグを見せれば終わる」と言ったことで、美咲は家を出る決意をする。 しかしその後、義姉から告げられたのは、7年前にも同じような“盗難騒ぎ”があったという事実だった。 さらに、亡き義父の手帳には、富美子が隠し続けてきた家族の秘密が残されていた。 消えた指輪は、誰が持ち出したのか。 そして義母はなぜ、真実を知りながら美咲を疑い続けたのか――。嫁姑|真実|親子関係1.6万字5 560 -
完結第10話
隠し子を知っていた55歳妻
結婚30年。55歳の律子は、61歳の夫・正典から突然「好きな人がいる」と告げられる。相手は34歳の女性。そして2人の間には、3歳の男の子までいた。しかし律子は驚かなかった。「れん君でしょう? 1年前から知っていました」。夫の顔から血の気が引く。離婚届を差し出されても、律子は微笑んで「離婚しません」と拒否した。夫への愛が残っていたからではない。この1年間、弁護士への相談、財産や年金の確認、仕事探しまで、誰にも知られず自分の人生を立て直す準備をしていたからだ。30年間、自分の人生を夫の都合で決められてきた妻は、最後の別れの日だけは自分で選ぶと決めていた――夫婦|不倫1.4万字5 2592 -
完結第11話
貧乏人と呼ばれた食卓
長男夫婦が3連休に帰省し、久しぶりに家族で食卓を囲むはずだった。 母の真紀子は、息子夫婦のために煮物や豚汁を用意し、昔と変わらない温かい夕飯を作ろうとしていた。ところが、台所で2人きりになった瞬間、長男嫁の美沙は笑いながら言い放つ。 「あんたの手作りとか無理だから、高級寿司出せよ、貧乏人」 その一言で、これまで見過ごしてきた違和感が一気に表へ出る。人を持ち物や育ちで見下す美沙の本性。そして、真紀子の過去まで侮辱された時、普段は温厚な夫・隆志が静かに立ち上がった。 「今日限りで絶縁だ」 さらに隆志が呼び出した“ある男”の登場によって、美沙の家庭に隠されていた価値観と金の問題まで明らかになっていく。 古い皿、手作りの料理、そして家族として本当に大切なものとは何か。 一度壊れた食卓から、それぞれの人生が大きく動き出す――。絶縁|親子関係1.7万字5 1408 -
完結第13話
古い工場を渡された嫁
食品会社を一代で守ってきた山代会長は、ある夜、庭で長男夫婦の会話を偶然聞いてしまう。 「お母様、これから先どれだけ生きられるかしら」 信じていた嫁が、自分の命も会社も、すでに財産として数えている――。その一言をきっかけに、会長はある決断をする。 自分は重い病にかかり、会社も危機にある。そう家族に告げ、2人の嫁に後継者を決めるための試練を与えたのだ。 華やかな長男の嫁・彩佳には会社を。 不器用で人の良すぎる次男の嫁・ユナには、地方にある廃業寸前の古い工場を。 誰もが、勝者と敗者は決まったと思っていた。 しかし3か月後、会社を手に入れた嫁と、古い工場へ送られた嫁の運命は、誰も予想しなかった形で逆転していく――。兄弟姉妹|嫁姑|相続|親子関係2.0万字5 501 -
完結第14話
親孝行214点の姉が降りた日
父の三回忌を終えた日、長女の恵子は突然、家族の前に一枚の表を広げた。 「今日から、お母さんへの親孝行は全部点数にします」 通院の付き添い、買い物、掃除、泊まりの見守り。母を支えた行動には点数がつき、断れば減点される。最初は姉の暴走にしか見えなかったその制度は、やがて家族の不満と過去の傷を次々に浮かび上がらせていく。 さらに母の通帳から消えた18万円、父が残した《お願い》のノート、そして破られていた最後のページ。 半年後、母が本当に倒れた夜、誰よりも高い点数を取っていた恵子は静かに告げる。 「私、もうお母さんとは同居しない」 親孝行とは何なのか。 誰かを支えることに、点数をつけた家族が最後に知った“数字にできないもの”とは――。兄弟姉妹|親不孝|親子関係2.0万字5 0 -
完結第10話
子どもを救って、僕は処分された
交差点で飛び出しかけた子どもを避けるため、市営バス運転士の北川蓮はとっさに急ブレーキを踏んだ。 子どもとの接触は避けられた。しかし車内では、降車しようとして立ち上がった高齢女性が転倒し、右手首を骨折してしまう。 翌朝、会社が蓮に差し出したのは「前方確認不足による危険運転」を認める謝罪文だった。 信号は見落としていない。子どもは確かに車道へ出かけていた。けれど、乗客を傷つけたこともまた事実だった。 会社は早く責任を運転士ひとりに押しつけようとし、世間は記事の見出しだけで蓮を責める。そんな中、蓮のもとに差出人不明の一通の手紙が届く。 そこには、事故の日に誰も語らなかった“もう一つの真実”が書かれていた。 守った命と、傷つけてしまった人生。 正しさだけでは割り切れない事故の先で、若い運転士が本当の責任と向き合っていく物語。因果応報|人生逆転1.5万字5 0 -
完結第10話
米寿の席で外された嫁
米寿祝いの席で、義母は親族の前で突然言った。 「秋子さんには、明日から店へ来てもらわなくて結構です」 33年間、朝早くから和菓子店《松月堂》を支えてきた秋子。餡を練り、注文を管理し、繁忙期には夜まで働いてきた日々は、義母の一言で“家族の手伝い”として片づけられた。 しかも店から外された秋子に、今度は義母の通院や世話を任せるつもりだった。 何も言わず席を立ったその夜、秋子は古い段ボール箱の中から、亡き義父が残した一通の封筒を見つける。 そこに入っていたのは、秋子を守るための遺言ではなかった。 店の帳簿に隠されていた不自然な金の流れ、説明されていない借金、そして義父が最後まで言えなかった家族の秘密。 「家族だから」という言葉の下で、誰が何を背負わされていたのか。 33年間奪われてきた時間と仕事の価値を、秋子が静かに取り戻していく物語。人生逆転|嫁姑|親子関係1.5万字5 1220 -
完結第11話
荷造りの日に消えた夫の行き先
7年間、脳梗塞で倒れた夫・修一を支え続けてきた香織。 仕事を辞め、食事も薬も通院もすべて管理し、夫が再び歩けるようになるまで寄り添ってきた。ところが回復した修一が最初に告げたのは、感謝ではなく「離婚してほしい」という言葉だった。 理由は、妹のいる新潟で暮らしたいから。 香織は、自分の7年間がすべて否定されたように感じる。だが荷物を整理する中で、夫が密かにつけていた一冊のノートを見つける。そこには、香織への感謝と罪悪感、そして誰にも言えなかった本音が記されていた。 さらに引っ越し当日、迎えに来たはずの義妹が突然言い放つ。 「兄は引き取りません」 夫は本当に妻から逃げたかったのか。義妹はなぜ直前で拒んだのか。そして香織が7年間守り続けていたものは、夫だったのか、それとも自分自身の恐怖だったのか。 介護、夫婦、家族の責任、そして人生の後半をどう生きるかを描く、静かな再出発の物語。夫婦|介護1.6万字5 739