父の三回忌を終えた日、長女の恵子は突然、家族の前に一枚の表を広げた。 「今日から、お母さんへの親孝行は全部点数にします」 通院の付き添い、買い物、掃除、泊まりの見守り。母を支えた行動には点数がつき、断れば減点される。最初は姉の暴走にしか見えなかったその制度は、やがて家族の不満と過去の傷を次々に浮かび上がらせていく。 さらに母の通帳から消えた18万円、父が残した《お願い》のノート、そして破られていた最後のページ。 半年後、母が本当に倒れた夜、誰よりも高い点数を取っていた恵子は静かに告げる。 「私、もうお母さんとは同居しない」 親孝行とは何なのか。 誰かを支えることに、点数をつけた家族が最後に知った“数字にできないもの”とは――。