"親孝行214点の姉が降りた日" 第9話
『まだ仕事だとう』
「母さん、救急呼んで」
『そこまでじゃないわよ』
「いいから呼んで。俺も今からく」
話を切った直、悠は恵子へ連絡したがなかった。続いて隆弘へ話すると、今度はつながった。
「兄ちゃん、母さんのにってくれ。息苦しいって」
『どうしたんだよ』
「分からない。今回は声がおかしい」
話の向こうで隆弘が瞬黙った。
『また?』
その言に悠は腹がった。
しかし、自分も最初に同じことをった。
「今回は本当におかしい。頼むからってくれ」
隆弘はすぐをした。
正子は玄関くの子に座り込んでおり、顔も悪かった。救急搬送された病院で検査を受けた結果、脈を起こしていたことが分かった。
幸い、すぐ命に関わる状態ではなかった。しかし数の入院と検査が必になり、今は薬の調と定期な経過観察が必だと説された。
病の待には、恵子、隆弘、悠、絵美、佳奈が集まった。
誰もすぐには話さなかった。
本当に母が苦しい夜、族全員が瞬「またげさに言っているだけではないか」と疑った。
正子が族を試し続けた代償が、最も悪い形で現れたのである。
「これ、母さんにも責任あるよな」
隆弘が言った。
恵子が兄を見る。
「だからって、次からかなくていい理由にはならないよ」
「分かってるって」
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「分かってないから、最初に“また?”って言ったんでしょう」
隆弘の顔が険しくなった。
「姉ちゃんだって話になかったじゃないか」
「仕事だったの」
「それだって理由だろ」
また以と同じ争いが始まりそうになったところで、佳奈が静かに止めた。
「誰が悪かったかはで話せます。今は退院の活をどうするか決めた方がいいです」
数、医師と病院の域連携から族へ説があった。正子は現点で常介護が必な状態ではなく、の回りのこともほとんど自分で来る。しかし薬管理、通院、急変の対応を考えると、このまま完全な暮らしを続けることにはのがあるという。
悠は、当然恵子が「実に戻って私が見る」と言うものだとっていた。
隆弘も、正子自も、おそらく同じだった。
恵子は実にんでいる。
親孝ポイントでは誰よりも得点だった。
父のから、最もく族を支えてきた。
だから今回も恵子になる。
族全員が、無識にそう考えていた。
ところが病でしばらく黙っていた恵子は、静かに言った。
「私、もうお母さんとは同居しない」
そのにいた誰も、すぐにはを理解来なかった。
「何?」
悠が聞き返す。
「退院する頃には、私と莉奈は別の部に移る」
正子の顔が張った。
「恵子?」
「ずっと考えてたの」
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恵子の声は震えていたが、言葉ははっきりしていた。
「お父さんのも、お母さんの今も、結局“恵子がいるから恵子でいい”になるでしょう」
「でも、今までずっとやってくれたじゃない」
正子がわず言った。
その言葉に、恵子は母をまっすぐ見た。
「今までやったから、もうやらないの」
病が静まり返った。
「莉奈がを卒業したら、私、もう度フルタイムで働く。自分で部を借りて、自分の活を作り直したい」
正子は傷ついたような表をした。
しかし悠には、姉を責めることが来なかった。
186点。
父のの84回。
その数字のに、姉はどれだけ自分のを置いてきたのだろう。
最得点だったが、最初に介護からりた瞬だった。
その初めて、族の誰もが気づいた。
順位など、最初から何のもなかったのだと。
恵子が同居をやめると宣言した翌、病ので隆弘がをいた。
「だったら、うちで母さんを見るか」
悠はわず兄を見た。
「本気か?」
「しょうがないだろ。うちの方が実にもいし、部だってつ空いてる」
隆弘は、解決策を提示した自分にししているようにも見えた。これで族のから介護するが消えずに済むと考えたのだろう。
「絵美もいるから、昼だって何とかなるし」
その瞬、隣にいた絵美の表が消えた。
「ちょっと待って」
隆弘が議そうに妻を見る。
「何?」
「今、何で私がいるから丈夫って言ったの?」
「だってお、俺よりく帰るだろ。週3はパートだし」
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