"親孝行214点の姉が降りた日" 第8話
「ちょっと調しただけよ」
全員が瞬、を理解来なかった。
「調って、何を?」
恵子の声がくなった。
正子は観したように答えた。
「恵子ばっかり点数がいと、みんなやる気がなくなるでしょう」
「私の点数、12点も引いたの?」
「だって200点を超えたら、もう誰も追いつけないじゃない」
恵子の顔が赤くなった。
「何それ。私が本当にやったことを記録するための表でしょう?」
「分かってるわよ。でも、あんただけ圧倒だったら、隆弘も悠も来なくなるでしょう」
「分かってない!」
恵子が母へ鳴ったのは、そのが初めてだった。
点数をつけること自体を周囲から批判されながらも、恵子はなくとも「実際に誰が何をしたか」だけは正確に残しているつもりだった。その数字まで母自が都よく操作していたとなれば、半く続けてきたことすべてが滑稽にえてくる。
悠は、ふと別のことに気づいた。
「母さん、もしかして俺たちを実へ来させるために点数をいじってたの?」
正子は答えなかった。
しかし、その沈黙が答えだった。
秀夫がくなって以、子供たちが実へ来る回数は目に見えて減っていた。正や盆、法事、何かきな用事があるには集まるものの、普段は話だけで済ませることが増えていた。
「ポイント始まってから、みんなより来るようになったでしょう」
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正子はさな声で言った。
「最初は私も変だとった。でも毎週誰か来るようになったし、みんな私の予定を聞くようになった。だから、競ってくれた方がいいとったのよ」
佳奈は信じられないように義母を見た。
「それって、族を競わせていたということですよね」
正子は否定来なかった。
さらに話を聞くうち、もっと厄介なことまで分かった。
正子は過数かのに何度か、「めまいがする」「腰が痛くてけない」と子供たちへ話している。そのうち何度かは、実際には救急性のない軽い症状だった。
「来るかどうか試したの?」
悠が聞くと、正子は顔を伏せた。
「でいると、だったのよ」
「だからげさに言ったの?」
「げさにっていうか……誰か来てくれたらするから」
そのにいた誰も、すぐには正子を責められなかった。
夫をくし、広いに残された72歳の母が寂しいことは理解来る。しかし族のを確かめるために体調良を利用し、点数まで操作していたとなれば、話は別だった。
恵子はしばらく座卓の表を見つめていた。
自分が母のために作った制度を、今度は母が自分の寂しさを埋めるために利用していた。
「もうやめる」
恵子が言った。
悠が顔をげた。
「ポイント?」
「今は、もう見たくない」
そのの夜、族のグループLINEから《親孝ポイント》のファイルが削除された。
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半く続いた点数制度は、誰かが勝ったわけでも負けたわけでもないまま、突然消えた。
しかし本当の問題は、それから3週に起きた。
ポイント表が消えてから、族のには奇妙な静けさが戻った。恵子から毎週ランキングが送られてくることもなくなり、正子も以ほど頻繁に「来てほしい」と言わなくなった。その結果、皮肉なことに、きょうだいが実へ顔をす回数もしずつ減った。
悠は識して週に度、母へ話するようにしていた。子供たちの話をしたり、薬をんでいるか確認したりする程度だったが、以より話すはくなった。正子も「今は何点?」などと冗談を言わなくなり、族の関係がしずつ普通へ戻っているように見えた。
ある曜の午8過ぎ、仕事帰りの悠のスマートフォンが鳴った。
正子だった。
『悠、ちょっと息苦しいんだけど』
悠はを肩へ寄せた。
正直、その瞬に最初に浮かんだのは、「またか」という気持ちだった。
母自が、以はしたことのない症状をきく言い、誰が来るか試したことを認めている。その記憶がある以、すぐに緊急事態だと信じ切れない自分がいた。
「血圧測った?」
『測った』
「いくつだった?」
『よく、見えないのよ』
その声がいつもと違った。
言葉と言葉のに、い呼吸が混じっている。
悠の背にたいものがった。
「姉ちゃんいる?」
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