"親孝行214点の姉が降りた日" 第13話
以なら正子は何度も続けて話をかけたものだが、今は《帰ったら話ください》とメッセージをつ送るだけになった。
隆弘は母から借りた18万円を半かけて返した。
正子は最まで「返さなくていいのに」と言っていたが、そのたび絵美が「返してください」と夫の横から言うため、族の笑い話になっている。隆弘自も以よりのことをするようになり、病院の通院担当のには自分で会社の予定を調するようになった。
悠は毎第2曜を母の通院として空けている。
ただし航のサッカー会や美緒の学事となれば、別のへ変更する。
以のように、「母親と子供のどちらを優先したか」を点数で評価するはいない。
度だけ、程変更を頼んだに正子が冗談で言った。
「じゃあ悠、マイナス2点ね」
悠はすぐ返した。
「今度点数言ったら、母さんがマイナス10点だから」
それ以来、正子も点数をにすることはほとんどなくなった。
ある、父の《お願い》のノートが恵子の部から実へ戻ってきた。
「もう持ってなくていいの?」
悠が聞くと、恵子は「うん」と答えた。
最の3枚も、元の所へ挟んであった。
悠は改めてページをいた。
《正子 0》
父が妻へつけた数字だけを見ると、瞬、母は何もしていなかったようにも見える。
しかしは逆だった。
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《正子には頼みすぎている。お願いとにするにやらせているので数字に来ない。》
そのには、父が最にいたらしい文章が残されていた。
《番くにいるほど、してもらったことを数えなくなる。》
悠はその文をく眺めた。
父も最初から分かっていたわけではない。
病気になり、自分では来ないことが増え、族へ何度も頼るようになって、ようやく気づいたのだろう。
「母さん、これ読んだんだよね」
恵子が尋ねると、正子はし恥ずかしそうに笑った。
「お父さん、もっとく言えばよかったのにね」
恵子は髪を入れず返した。
「お母さんもね」
正子が苦笑した。
誰も鳴らなかった。
その、族が実へ集まった理由は、正子の73歳の誕だった。
隆弘と絵美、悠と佳奈、孫たち、恵子と莉奈がそろい、座卓には寿司や唐揚げ、サラダ、誕ケーキまで並んだ。
、正子がふといしたように言った。
「今みんな来たから、5点くらい?」
族全員の声がなった。
「やめて」
正子は声をげて笑った。
恵子も笑った。
以なら、その笑いの裏には「誰が番」「誰がりない」という比較があった。
今はない。
誰が何いたのか。
誰が寿司を買ったのか。
誰が皿を洗ったのか。
誰が正子のために番を使ったのか。
誰も記録しない。
必なだけ、何をしなければならないかを話す。
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仕事、、子供、自分の体調。
来ることも、来ないことも、最初からす。
そして「族なんだから」の言だけで、誰かへ押しつけない。
事が終わり、悠と恵子が並んで皿を洗っていた。
の音ので、悠はから言おうとっていたことをにした。
「姉ちゃん」
「何?」
「父さんの、ごめん」
恵子のがしだけ止まった。
「何が?」
「任せすぎた」
恵子は再び皿を洗い始めた。
しばらくの音だけが続いた。
「今さらだね」
「うん」
「でも、聞いとく」
それだけだった。
「許す」とは言わない。
悠も求めなかった。
過ぎたは戻らないし、恵子が失った仕事や夫婦関係を弟の謝罪で取り戻せるわけではない。
しして、恵子が洗い終わった皿を悠へ渡した。
「今の皿洗い、悠3点」
「また始めるのかよ」
「冗談」
2は笑った。
居では正子が孫たちとケーキを切り分けていた。
航が「俺のだけさくない?」と文句を言い、正子が「じゃあ、おばあちゃんの半分あげる」と言っている。
ただの族の会話だった。
誰も点数をつけない。
夕方、佳奈が「そろそろ帰ろう」と声をかけると、正子は瞬だけ寂しそうな顔をした。
以なら「もう帰るの」「は来ないの」と続けていたかもしれない。
しかし今は、「気をつけて帰りなさい」とだけ言った。
玄関で靴を履きながら、悠は度振り返った。
母がいる。
姉がいる。
兄がいる。
自分の妻や子供たちもいる。
かつて、このには「親孝には点数がある」
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