"親孝行214点の姉が降りた日" 第11話
「何のノート?」
「父さんが病院に誰が来たとかいてたやつ。最だけ破ってあるだろ」
「らないわよ」
答えが妙にかった。
悠は母を見た。
「母さん、破った?」
正子は黙った。
その沈黙に、また嫌な予がした。
「何で?」
正子はしばらく何も言わず、そのゆっくりちがって寝へ入っていった。数分、古い茶封筒をに戻ってくる。
には、ノートから破られた3枚のが入っていた。
「何で持ってたんだよ」
正子は答えず、座子へ座った。
悠が最初のをく。
父の字だった。
番に、《この数字について》とかれている。
そのの文章を読んだ瞬、悠は息を止めた。
《これは点数ではない。》
たった文で、これまで族が見てきた数字のが反転した。
続きには、こうかれていた。
《自分が族に何回頼み事をしたか忘れないために記録している。数字がい者ほど、私がく負担をかけただ。》
悠は何度も読み返した。
恵子、84。
それは「最も親孝だったの得点」ではなかった。
父が84回、娘へ頼った記録だった。
さらに次のには、《恵子には頼みすぎた。仕事や莉奈のことがあるのに、断らないので甘えてしまった》とかれていた。
隆弘については、《忙しいと言われると頼みにくくなった》、悠については、《子供がさいので慮したが、その分恵子へ頼んだ》と記されている。
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そして正子の名だけは、数字が0だった。
最初、悠は母には何も頼んでいなかったというかとった。
しかし、そのに説があった。
《正子にはもっと頼っている。ただ、妻だからしてくれるのが当たりになり、“お願い”とにするにやらせてしまっている。だから数字に来ない。》
悠はその文章を読み、い顔をげられなかった。
父もまた、最になってようやく気づいたのだ。
番くにいるほど、「してもらった」とすら数えなくなることに。
最のには、さらに文があった。
《この数字を、族の働きを比べるために使わないこと。》
そのには、し震えた字で続いていた。
《親孝に点をつけたら、頼まれた側は、してきたことだけではなくまで採点された気持ちになる。》
悠はを持ったまま、母を見た。
「母さん、これってたんだよな」
正子はさく頷いた。
「何で恵子に見せなかった?」
「恵子が、最初の数字を見つけたにすごくんだから」
父だけは自分の苦労を分かってくれていた。
そうっている娘に、「これは得点のではない」と言えなかったのだと正子は説した。
「でもは似てるだろ。父さんは姉ちゃんに負担をかけすぎたって、ちゃんと分かってた」
「分かってる」
「じゃあ、どうして隠したんだよ」
正子はい黙っていた。
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やがて、さな声で答えた。
「恵子に、これからも私のことを見てもらいたかったから」
悠は母の顔を見た。
それが番聞きたくない答えだった。
夫をくした、になるのが怖かった。婚した恵子が実へ戻ってきてくれた、正子はからした。
もし父の最の文章を見せれば、恵子は「私はもう分やった」とうかもしれない。
だから隠した。
親孝ポイントについても本当は最初から違があったが、恵子がそれを理由に実へ残り、息子たちも頻繁に来るようになったため止めなかった。
「母さん、それ、姉ちゃんのを自分のために使ってたのと同じだよ」
正子の目から涙が落ちた。
「分かってる」
「今分かっても……」
そこまで言いかけ、悠はを閉じた。
父の、自分も何度「姉ちゃんお願い」と言っただろう。
姉が断らないことをりながら、自分の事を優先してきた。
母だけを責める資格が自分にあるとはえなかった。
その夜、悠は恵子へ話した。
父の最のページについて、最初から全部話した。
姉はい何も言わなかった。
そして最初にたのは、にもさな笑い声だった。
『お父さんらしいね』
「らないの?」
『ってるよ。お母さんにも、あんたたちにも』
しを置き、続けた。
『自分にもね』
「何で姉ちゃんが?」
『私、あの84って数字を見た、やっと勝ったってったから』
誰に勝ったのか、自分でも分からないという。
介護に来なかった弟たち。
分かってくれなかった元夫。
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