"断っただけで「要注意世帯」" 第8話
代も認めた。
古いノートパソコンの作が遅くなり、詳しそうな田へ何度か相談していたという。
健司は確認した。
「予定表も、そのパソコンに保されていますよね」
田はし考えた。
「見ようとえば見られました」
代の顔が青くなった。
民がで提した予定は、自治会役員がパソコンへ転記していた。
旅。
張。
帰宅予定。
緊急連絡先。
すべて保されている。
しかもパスワードは、集会の机の裏へ貼られた付箋にいてあった。
管理会社の担当者が呆れた。
「個報ですよ。こんな管理では駄目です」
「役員しか入らない部だとっていました」
代はさな声で弁解した。
だが実際には、森田が設備修理で入り、田がパソコンを直し、管理会社や業者も入りしている。
報は代が考えていたほど閉じられていなかった。
田への疑いはまった。
ところが、井静の事件を理するうちに矛盾が見つかった。
静が自治会へしていた予定では、娘宅へ泊まるのは曜から曜だった。
しかし実際には、娘から急に連絡があり、曜の夜に発していた。
変更は族とのLINEだけで決まり、自治会には伝えていない。
もし犯がパソコンの予定表だけを見ていたなら、曜夜に静のが空いていることはらないはずだった。
広告
「誰かが実際に部を見てたんじゃないか?」
健司が川へ話すと、川はすぐ答えた。
「朝の確認だ」
曜朝、静はにいた。
曜朝、チャイムを鳴らしても返事がなかった。
その点で初めて、「予定よりくになった」ことが分かる。
担当表を調べると、その曜朝に静宅を確認したのは田だった。
再び民の線が集した。
田は初めて声を荒げた。
「俺じゃない!」
「でも、井さんがいないことはっていましたよね」
「朝って返事がなかったから、柿本さんに報告しただけだ!」
代も頷いた。
「田さんから報告は受けています」
健司が聞いた。
「その報、そのどうしました?」
代は考え込んだ。
見守り担当者用の自治会LINEへ、
《307号・井さん確認》
とき込んだという。
参加者は自治会役員だけではなかった。
当番をするも複数入っている。
つまり静が予定に留守だという報は、田だけがっていたわけではなかった。
川がいため息をついた。
「この制度、報が広がりすぎなんだよ」
健司も同じことを考えていた。
全のために留守をらせる。
全のために朝のを共する。
全のために予備鍵を集める。
つつは善から始まった。
しかし犯罪に利用するから見れば、
《いつが空いているか》
《誰の鍵があるか》
広告
《誰が暮らしか》
を度に把握できる仕組みになっている。
犯が誰なのかは、まだ分からない。
けれどつだけ確かなことがあった。
盗難を防ぐはずの見守り制度が、盗難を容易にする報網へ変わってしまっていた。
それでも健司は、自分たちのまでは狙われないとっていた。
予定表をしていない。
自治会へ予備鍵も預けていない。
自分と凛が注すれば丈夫だ。
その考えが甘かったと気づいたのは、曜の午6過ぎだった。
仕事を終え、学童から帰った凛と203号へ入った瞬、健司は違を覚えた。
リビングの引きしが数センチいている。
寝のクローゼットの扉も、朝とは位置が違う。
派に荒らされてはいない。
だからこそ気だった。
「凛、玄関からて」
「え?」
「いいから。廊で待って」
すぐ警察へ連絡した。
内を確認した結果、なくなっていたのはつの封筒だった。
現は入っていない。
は、婚の類のコピー、凛の戸籍関係類、学の連絡先資料、保険関係の類、普段使っていない座のキャッシュカードだった。
警察官も首を傾げた。
「目の物じゃないですね」
「そうなんです」
「個報を狙った能性もあります」
玄関にこじけた跡はない。
窓も施錠されている。
健司宅の予備鍵を持っているのは健司本と、元妻の真理だけだった。
真理は現、張。
警察から「のため鍵を交換してください」と言われ、健司はそののうちに鍵業者を呼んだ。
広告
おすすめ作品
-
完結第20話
四十九日の絶縁
夫を突然亡くした三十七歳の裕子。悲しみに暮れる間もなく迎えた四十九日法要の日、帰宅した彼女を待っていたのは、ゴミ捨て場に放り出された自分の荷物だった。「息子が死んだら嫁は赤の他人よ!」そう言い放つ姑は、さらに幼い二人の子供まで裕子から引き離そうとする。だが、姑が三歳の息子だけを異常に可愛がる裏には、恐ろしい計画が隠されていた。子供たちを守るため、裕子は静かに反撃の準備を始める。そして数か月後、助けを求めて電話してきた姑に、裕子が告げた言葉とは――。人生逆転|裡切られた|嫁姑|夫婦|相続|裡の顔|介護2.3万字5 930 -
完結第20話
「息子が高熱なのに来い!」夫一家に185万円の請求書を押しつけられた私の正体
夫と義家族から「何もできない専業主婦」と見下され、金銭まで搾り取られてきた松岡美央。しかし彼女には、世界的なホテルグループの最高責任者という、誰にも明かしていない秘密があった。ある夜、高熱を出した息子を看病していると、義母から三十件以上の着信が届く。「緊急事態だから今すぐ来なさい!」慌ててホテルへ駆けつけた美央を待っていたのは、豪華な食事を楽しむ夫一家と、185万円もの請求書だった。裡切られた|怒り|嫁姑|夫婦|親子関係|修羅場2.6万字5 1719 -
完結第18話
「片親の貧乏人」と息子を叩いた社長、母の正体を知って絶句
結婚の挨拶から帰宅した息子・祥太の頬には、くっきりと平手打ちの跡が残っていた。婚約者の父親から「片親の貧乏人」と罵られ、結婚まで白紙にされたという。二十五年間、女手一つで息子を育ててきた桃江は、静かに電話をかけた。実は彼女は、父の急逝を受けて大企業の社長に就任したばかり。しかも相手の食品会社は、長年その企業との取引に支えられていた。桃江の正体を知り、突然態度を変える婚約者一家。しかし、亡き父が残した調査記録には、結婚騒動をはるかに超える重大な秘密が隠されていた。因果応報|親子関係|修羅場2.6万字5 3518 -
完結第20話
高熱の娘を置き去りにした姉は、私の夫と不倫旅行中だった
結婚五年目の美和は、実の姉・麻里奈から生後十一か月の姪を十日間預けられる。ところが、姉が海外旅行へ出発した直後、幼い心ちゃんの容態が急変。必死に救急搬送する美和だったが、姉にも出張中の夫にも連絡がつかない。不審に思って姉のSNSを調べると、南国の写真に写り込んでいたのは、見覚えのある夫の腕時計だった。怒り|夫婦|親子関係|不倫1.8万字5 1800 -
完結第10話
泥の作業着と誇り
高校卒業から十七年ぶりの同窓会。咲は、夫が農家だと話した途端、華やかな暮らしを自慢する同級生のレナから大勢の前で笑いものにされてしまう。「泥だらけの旦那なんて恥ずかしくないの?」心ない言葉に傷つきながらも、咲は「世界一自慢の夫よ」と言い返した。やがて、仕事帰りの夫・大地が泥のついた作業着で迎えに現れると、再び嘲笑が巻き起こる。しかし次の瞬間、幹事の西村が顔色を変え、夫に向かって深々と頭を下げた。誰も知らなかった大地の本当の姿が、少しずつ明らかになっていく。人生逆転|夫婦|真相|第二の人生|修羅場1.7万字5 580 -
完結第18話
離婚翌日、父と食事中の私を「また金持ちに寄生か」と笑った元夫の末路
結婚生活のすべてを一円単位で折半しながら、家事だけは妻に押しつけていた夫・亮介。「お前は寄生虫だ」と離婚を突きつけられた綾乃は、静かに別れを受け入れた。 その翌日、実父と高級ホテルで食事をしていると、偶然現れた亮介と不倫相手が「もう次の金持ちを捕まえたのか」と嘲笑する。因果応報|夫婦|真実|金銭問題|修羅場|不倫1.9万字5 463 -
完結第21話
赤ペンで消した夫
四十一歳の黒沢洋子は、出版社で腕を認められるベテラン校正者。編集長として出世した夫・和也を支え、七年間、穏やかな結婚生活を送ってきた。ところがある夜、夫から頼まれた若い女性作家の原稿に、見覚えのある文章を発見する。それは、かつて夫が洋子だけに囁いた愛の言葉だった。疑念を抱いた洋子が調べ始めると、原稿の裏には夫の不倫だけでは済まない重大な秘密が隠されていた。やがて和也は、女性作家との十日間の執筆合宿へ出発する。何も知らず帰宅を楽しみにする夫に、洋子は静かに最後の準備を進めていた。夫婦|真実|修羅場|不倫2.3万字5 653 -
完結第10話
産後七日目の決別
帝王切開からわずか七日。傷の痛みと貧血に苦しむ真帆に、夫の直人は「産んだ人が自分で育てればいい」と冷たく言い放った。生まれたばかりの娘を守るため、真帆は実家へ避難する。ところが直人と義母は、彼女を「産後うつで勝手に家出した妻」に仕立て上げ、親族に嘘を広め始めた。追い詰められた真帆は弁護士に相談し、あの日の暴言が記された助産師の記録を手に入れる。そして、夫の勤務先から届いた一通の回答書が、直人の主張を根底から覆そうとしていた――。夫婦|裡の顔|修羅場|不倫1.9万字5 505