毎週月曜日、会社の金庫から1万円だけが消える。 疑いを向けられたのは、土曜の夜に出入りしていた無口な清掃員・佐々木誠だった。ロッカーからは、消えた金額と同じ3万円が見つかり、誰もが彼を犯人だと思い始める。 しかし、44歳の配送主任・高瀬直人だけは、その状況に違和感を覚えていた。 本当に金庫から金は盗まれたのか。なぜ清掃員は何も説明しようとしないのか。そして、12年前の古いタイムカードに残されていた佐々木の名前。 調べるほどに、消えた1万円は過去の事故と、会社が長年隠してきた“ある責任”へとつながっていく。 犯人を作れば、会社は楽になる。 その言葉の意味を知った時、直人は信じていた上司と、12年前の自分自身に向き合うことになる――。