"断っただけで「要注意世帯」" 第12話
と言うと、はすぐ、
「あなたにだけは言われたくない」
と返した。
周囲からさな笑いが起きた。
劇な解ではない。
過が消えたわけでもない。
それでも同じ所にいられるようになった。
それだけで、以とは違っていた。
健司と美奈の関係も同じだった。
最初の2かは挨拶だけ。
凛と美奈の息子・悠斗が公園で遊ぶため、完全に避けることはできなかったが、健司から無理に以の関係へ戻そうとはしなかった。
あるの。
スーパーで美奈の自転がパンクしていた。
悠斗も緒で、とも傘をさして困っている。
で通りかかった健司は、度通り過ぎかけた。
それからし、窓をけた。
「乗ります?」
美奈は驚いた。
「いいんですか?」
「子どももいますし」
それだけだった。
内で事件の話はしなかった。
へ着くと、美奈は、
「ありがとうございました」
とをげた。
健司も、
「はい」
とだけ答えた。
翌週、今度は凛が学のプリントを忘れ、悠斗がまで届けてくれた。
美奈は玄関のチャイムを度鳴らした。
健司がると、
「これ、凛ちゃんのです」
と渡し、のを覗くことも、活について質問することもなく帰っていった。
さな境界を守る。
その積みねで信頼が戻るかもしれない。
戻らないかもしれない。
健司は急いで答えをさなかった。
広告
やがて事件から1が過ぎた。
グリーンコート町にはしい自治会が選ばれていた。
46歳の会社員の女性で、昼は仕事をしているため、自治会活のくは複数ので分担する方式へ変わった。
代は役員かられた。
それでもマンションの壇備には参加している。
以なら、
「このはここに植えてください」
と全部決めていた。
今では別のから、
「こっちの方が当たりいいんじゃない?」
と言われると、度満そうな顔をしてから、
「じゃあ試してみましょうか」
と答える。
それも変化だった。
見守り制度もきく変わった。
毎朝の訪問はない。
宅予定表もない。
自治会で鍵も預からない。
暮らし、齢者、持病のある、子育て世帯など、本が希望するだけ否確認サービスへ登録する。
朝、スマートフォンや専用端末でボタンを度押す。
反応がなければ、まず本へ話。
その、事登録された族。
必なだけ管理会社へ連絡する。
誰かが勝に部へ入ることはない。
凛は6になった。
ある平の朝。
「お父さん!」
その声で健司はび起きた。
計を見ると720分。
「やばい!」
「寝坊した!」
「凛も目覚ましかけてよ!」
「学に責任押しつけないで!」
で慌ててパンを焼き、牛乳をみ、支度をした。
玄関をびすと、エレベーターに代がっていた。
広告
「おはようございます」
「おはようございます」
代は凛のを見た。
「今は髪がねてるわね」
瞬、昔のように、
《女の子なんだから》
と続けるのかとった。
代も言いかけたようだった。
しかし途でやめた。
「寝坊したの?」
凛が笑った。
「お父さんが」
「言わなくていい」
3でし笑った。
1階へりると、自治会掲示板が目に入った。
1、
《見守り活・非協力世帯》
と健司の名が貼られた所だった。
今は、
《祭りボランティア募集》
そのにさく、
《参加できるだけで構いません》
とかれていた。
凛が掲示板を覗き込んだ。
「お父さん、祭り伝う?」
「凛は?」
「友達と遊ぶ」
「じゃあ俺、いなくてもいいじゃん」
「焼きそば係やってよ。おいしかったから」
「俺が焼いたわけじゃないだろ」
掲示板を見ると、焼きそば係は17から19。
健司はし考えて、自分の名をいた。
義務ではない。
断っても非協力とは呼ばれない。
自分で選んで関わる。
そうえば、所付きいはそれほど嫌なものではなかった。
婚、凛とでしいへ移る、健司は所とは最限の関係だけでいいとっていた。
関係が増えれば面倒も増える。
それは今でも違っていないとう。
しかしこので、川に助けられた。
美奈や悠斗とも関わった。
代のには傷つけられたが、見守りのおかげで助かったがいることもった。
はできることはできる。
けれど、完全に誰とも関わらず暮らしているわけではない。
広告
おすすめ作品
-
完結第13話
夫の赴任先にいた「妻」
夫の単身赴任先を訪ねた美玲を迎えたのは、見知らぬ若い女性だった。 「うちの主人のお友達ですか?」 その一言で、2年間信じてきた結婚生活は音を立てて崩れ始める。夫・隼人は、赴任先で別の女性と暮らし、彼女には「妻とはもう終わっている」と話していた。 しかし、美玲が知ることになる夫の秘密は、不倫だけではなかった。 義母の介護を理由に仕事を辞めさせられ、義実家で“嫁”として家事と介護を背負わされていた美玲。そんな中、義母の部屋に設置されていた見守りカメラが、夫の人生を揺るがす決定的な会話を記録していた。 妻として、嫁として、都合よく扱われ続けた美玲が、最後に取り戻したものとは――。夫婦|修羅場|不倫2.0万字5 690 -
完結第13話
離婚後に生まれた息子
10年間の不妊治療の末、「子供もできなかった」と姑に責められ、夫・健一から離婚を告げられた38歳の由美。ところが離婚から2週間後、最後に受けた治療が実っていたことが判明する。由美は悩んだ末、元夫には知らせず、実家で1人の男の子を出産した。それから1か月。離婚から10か月後のある日、玄関に現れたのは健一と、彼が再婚する28歳の美香だった。「来月、結婚式をするんだ」と招待状を差し出そうとした健一。しかし、由美の腕に抱かれた赤ん坊を見た瞬間、その笑顔が消える。「その子……まさか俺の?」。10年間「子供を産めない妻」と責められ続けた由美の人生が、そこから大きく動き始める。夫婦|真相|修羅場2.0万字5 4372 -
完結第13話
閉じ込められた臨月の妻
妊娠38週、予定日まであと12日の加奈。夫が海外出張へ出た2日後、突然訪ねてきた義両親は「様子を見に来た」と言いながら、家事や学歴を責め続けた。そして義母に促され、家庭用サウナの中を確認しようと入った瞬間、背後で扉が閉まる。外側には南京錠。スマートフォンまで奪われた。「私たちから息子を奪った罰よ」。そう言い残し、義両親は5泊7日の温泉旅行へ出発した。水もなく、いつ陣痛が始まってもおかしくない密室。しかし加奈には、義両親が知らないことがあった。このサウナは、かつて一級建築士だった加奈自身が安全設計に関わった機種だった――。嫁姑|親子関係|修羅場2.0万字5 1077 -
完結第12話
面接官の誤算
夢だった大手企業の最終面接。 24歳の小館達郎は、人事の仕事に憧れ、努力を重ねてようやく最終面接までたどり着いた。だが、中央に座っていた人事部長は、彼の学歴や家庭環境を見下し、面接の途中で冷たく言い放つ。 「低学歴の貧乏人は、面接する必要なし。不採用で決まりだな」 母子家庭で育ち、必死に支えてくれた母への思いまで踏みにじられた達郎。悔しさをこらえながらも、彼はその場で言い返さず、静かに会社を後にした。 しかし1か月後、達郎は再び同じ会社へ呼び出される。 案内されたのは、あの日と同じビルの役員会議室。そこには人事部長の佐野、社長、そして達郎のよく知る一人の男が座っていた。 達郎の姿を見た瞬間、佐野の顔色が変わる。 あの日の「不採用」は、ただの終わりではなかった。 一人の応募者を見下した面接官が、会社全体に隠されていた問題を暴き出すきっかけになる――。真実|修羅場1.8万字5 780 -
完結第10話
父の葬儀の日_夫は愛人を車に乗せて去った
48歳の由美は、3年間ほぼ1人で父を介護し、78歳の父を見送った。ところが葬儀の帰り、20年連れ添った夫・浩司は、愛人と思われる女性を助手席に乗せたまま、喪服姿の由美を雨の駅前で車から降ろす。「俺だって1日付き合って疲れてるんだ」。由美は泣かず、父が亡くなる2日前に渡してくれた古い革鞄を開いた。中にあったのは、1通の手紙、弁護士の名刺、そして夫の会社に関する資料。手紙の最初には、「浩司君に、私の通帳も印鑑も渡してはいけない」と書かれていた。なぜ父は、娘の夫をそこまで警戒していたのか。由美は父が最後に残した手がかりを追い始める。夫婦|親不孝|金銭問題|修羅場|不倫1.5万字5 649 -
完結第12話
花嫁が追い出した親友
幼なじみであり、仕事の相棒でもある親友・陸人の結婚式。 車椅子で生活する平井圭人は、心から親友の幸せを祝うつもりで式場へ向かった。だが、そこで待っていたのは、花嫁・美智からの冷たい拒絶だった。 「あなたがいると品格が下がる」 そう言われた圭人は、静かに式を去ろうとする。しかし美智はそれだけでなく、陸人との長年の友情まで断ち切るよう迫ってきた。 親友を困らせたくない圭人は、一度は身を引こうとする。 だが、美智は知らなかった。 目の前にいる車椅子の男が、陸人の人生を大きく変えた人物であり、さらに彼女が見下していた相手こそ、陸人が働く会社の代表だったことを。 結婚式当日、花嫁の一言から、隠されていた過去と本当の人間性が明らかになっていく――。怒り|修羅場1.9万字5 1588 -
完結第10話
預けた通帳が消えた日
六十七歳の山田静は、膝の手術費を用意するため、息子夫婦に預けていた通帳を返してほしいと頼んだ。 しかし嫁の美香は、薄く笑ってこう言った。 「お母さん、私たちにお金なんて預けましたっけ?」 夫と二人で魚屋を営み、三十年かけて貯めた老後の資金。息子を信じて渡した通帳も印鑑も、いつの間にか静の手元から消えていた。さらに息子の健一まで、母をかばうどころか「知らない」と目をそらす。 不安を抱えた静が耳にしたのは、預金を使い切ったあと、彼女を認知症扱いして施設へ入れようとする恐ろしい計画だった。 家族を信じ続けた母が、ようやく気づいた真実。 奪われたのはお金だけではなかった。 自分の人生そのものを取り戻すため、静は亡き夫との思い出が残る藤沢へ向かい、静かな反撃を始める――。怒り|親不孝|親子関係|介護|金銭問題1.5万字5 388 -
完結第12話
花嫁が僕を犯人にした朝
結婚式まで、あと1時間20分。 ホテルの支度室で、花嫁・白石奈緒は切り裂かれたウェディングドレスを前に、衣装修復担当の朝倉湊を指さした。 「ドレスを切ったのは、この人です」 しかし湊には分かっていた。昨夜、保管室で彼が見た時、ドレスはすでに切られていた。そして奈緒は、震える声で「明日の式を止めてほしい」と頼んでいたのだ。 なぜ花嫁は、自分を助けようとした男を犯人に仕立てたのか。 やがて、ドレスの内側に縫い込まれていたはずの封筒、消えた書類、三浦家の融資計画、そして花嫁本人の不可解な沈黙が、結婚式の裏に隠された別の真実を浮かび上がらせていく。 切られたのは、ドレスだけではなかった。 守るべき秘密と、押しつけられた罪。その境目に立たされた一人の修復師が、自分の人生を取り戻していく物語。人生逆転|真実|修羅場1.7万字5 98 -
完結第10話
12年前も、彼が犯人だった
毎週月曜日、会社の金庫から1万円だけが消える。 疑いを向けられたのは、土曜の夜に出入りしていた無口な清掃員・佐々木誠だった。ロッカーからは、消えた金額と同じ3万円が見つかり、誰もが彼を犯人だと思い始める。 しかし、44歳の配送主任・高瀬直人だけは、その状況に違和感を覚えていた。 本当に金庫から金は盗まれたのか。なぜ清掃員は何も説明しようとしないのか。そして、12年前の古いタイムカードに残されていた佐々木の名前。 調べるほどに、消えた1万円は過去の事故と、会社が長年隠してきた“ある責任”へとつながっていく。 犯人を作れば、会社は楽になる。 その言葉の意味を知った時、直人は信じていた上司と、12年前の自分自身に向き合うことになる――。真実|裡の顔|修羅場1.5万字5 297