"夫から届いた23年分の請求書" 第5話
「戻ってきたなら、もう終わりでいいだろう」と夫は言った。私は「終わりにするためではなく、話を続けるために戻った」と答え、その夜から部へ布団を敷いた。
事分担の試が始まった。隆司は曜と曜の夕、悠斗は呂掃除と週回のごみし、私は残りの事と洗濯を担当した。買い物は共アプリへ必な物を入れ、帰宅がいが買う。
初週、隆司は度、惣菜を買って並べた。悠斗はごみの回収を忘れ、袋が週残った。私は気づいても代わりにさなかった。
「教えてくれてもいいじゃない」
悠斗が満を言った。
「度は教えた。次から自分で予定へ入れて」
「母さん、急にたくなったね」
「今まで、失敗するに全部直してきたから、あなたは私がしていることに気づかなかった。たくするためじゃなく、担当を返しているの」
悠斗は納得しなかったが、スマートフォンへ回収を登録した。
曜の朝、息子が弁当箱を差しした。代から、私が残り物を詰めてきた物だ。
「今、弁当ないの?」
「勤務のは、自分の昼で精いっぱい。の晩に頼まれたら作れるもあるけど、毎は無理」
「コンビニだといんだよ」
「万円の計費に、昼代は入っていないよ」
悠斗は苛ってをた。
その夜、彼はでべて帰り、費が増えたと父親へ訴えた。
広告
隆司は、母さんは自分の料を守るために族の活を壊していると言った。
私は、与の割を入れるなら以のように事を続けろと言われるのか、それとも事を分けるなら収入も平等に管理するのか尋ねた。隆司は答えをせなかった。
翌、悠斗は会社くの部へ引っ越したいと言いした。通勤を減らしたいが、賃がいため、初期費用を両親へしてほしいという。
隆司はすぐ、万円ならすと答えた。私は、悠斗自の貯と毎の活費を確認してから決めたいと言った。
「また数字?」
息子はうんざりした顔をした。
「暮らしは、賃だけじゃない。今まで私が用した事や洗剤も、自分で買う。助けるかどうか決めるために、計画をりたい」
悠斗の取りは万円、貯は万円しかなかった。社会で、ゲームやに使っていた。へ万円入れれば、残りは自由に使えるとっていたという。
「父さんが養ってきただから、俺も今は貯めなくていいとってた」
その言葉を聞き、隆司の表が変わった。自分が族を養ったという誇りが、息子に、誰かが活の台を用するのが当然だと教えていた。
私たちは万円を贈らず、万円だけ貸すことにした。悠斗はか貯し、残りを自分で用する。
広告
にいるは、万円に加えて自分の昼と用品を負担する。
「父さんはしてくれるって言ったのに」
「母さんが反対したからじゃない」
隆司が初めて言った。
「僕も、をすことが父親の役目だといすぎていた。おがで暮らせるか確かめずに、また払おうとした」
悠斗はり、ほどを利かなかった。それでも料に万円を貯座へ移し、休に産を回り始めた。
族が自するは、謝と笑顔だけがあるわけではない。頼れるとっていた相から条件を示されれば、裏切られたようにじる。それでも、そのりまで避けて全部してあげることが、親の優しさではなかった。
かの準備期に、悠斗は度だけ貯を崩した。友の結婚祝いと会社のみ会がなり、予定した万円を積みてられなかった。翌に万円入れればよいと軽く考えていた。
私は翌の取りから、賃予定額、費、費、通信費を引かせた。万円を貯めれば、自由に使えるはほとんど残らない。悠斗は初めて、自分がへ払っていた万円が、実際の活費のごく部だったとった。
「母さんの料理代まで請求されたら、俺は赤字だな」
「回ごとに請求するつもりはない。でも無料だから価値がないわけではないよ」
悠斗は引っ越しをか延ばし、自分で決めた貯額を作った。
私は弁当を毎作らず、週末に緒に品だけ作り置きした。包丁の使い方が危なっかしくても、途で奪わなかった。
広告
おすすめ作品
-
完結第14話
デブでダサいと捨てられた妻
「家で鏡くらい見ろよ」「太ってるし、服もダサい」。長年連れ添った夫から外見を馬鹿にされ、最後には別の女性を選ばれた妻は、何も言い返さず離婚届に判を押した。夫は、自分に捨てられた妻がこれからも地味で冴えない人生を送ると思っていた。しかし1年後、同窓会の会場で偶然再会した元妻を見た瞬間、その余裕は消える。髪型も服装も、立ち居振る舞いも以前とはまるで違う。だが、本当に夫を青ざめさせたのは“痩せて綺麗になったこと”ではなかった。離婚後の1年間で、彼女が取り戻していたものを知った時、元夫は初めて、自分が何を捨てたのか思い知らされる夫婦|熟年離婚2.0万字5 801 -
完結第15話
3日だけ帰るはずだった妻
「お盆は3日だけ実家に帰るね」。そう告げた恵子に、夫は「せいせいする」、20歳の息子まで「そのまま帰ってこなくていい」と笑った。だが2人は知らなかった。恵子は半年かけて必要な荷物を実家へ移し、離婚届にもすでに署名していたことを。翌朝8時30分、28年間の結婚生活を終わらせた恵子は、そのまま実家へ向かう。一方、妻がいなくなった家には夫の愛人が大きなキャリーケースを持って現れ、3人で新生活を始めようとしていた。ところが翌朝、ガス、電気、水道が次々と止まり、さらにリフォーム会社から告げられた一言で夫の顔色が変わる。「この土地と建物の所有者は、佐藤恵子様です」――。夫婦|熟年離婚2.3万字5 400 -
完結第12話
3万円を払った元タクシー運転手
雨の月命日、64歳の笠原和子は、夫の墓参りへ向かうため一台のタクシーに乗った。 目的地まではわずか5kmほど。ところが運転手はメーターを動かさず、遠回りをした末に、霊園の前で「料金は3万円です」と告げる。 相手は足の悪い高齢女性。文句を言えず、泣き寝入りするとでも思ったのだろう。和子はその場では静かに3万円を支払い、何も言わずに車を降りた。 しかし、運転手は知らなかった。 後部座席に座っていたその“おばあちゃん”が、40年間タクシーとハイヤーの運転席に座り続けてきた元プロの運転手だったことを。 そして彼の声も、名前も、車両番号も、すべて記録されていたことを。 翌日、和子が正式に動き出した時、悪質な運転手と会社が隠してきた過去が少しずつ明らかになっていく――。真相|金銭問題1.8万字5 463 -
完結第10話
「洗剤を入れた嫁」にされた私
45歳の私は、助産師として夜勤をこなしながら、夫と2人で静かに暮らしていた。 そんなある日、夫から義父の認知症を理由に、義両親との同居を頼まれる。家族のためならと受け入れた私だったが、同居が始まってから、義母の態度は少しずつ変わっていった。 夜勤明けに責められ、家事を押しつけられ、身に覚えのない悪口まで夫に吹き込まれる日々。それでも夫は、いつも義母の言葉だけを信じた。 やがて私は、義父の“認知症”にある違和感を覚える。 そしてある夜、義母はついに言い放った。 「食事に洗剤を入れたでしょう!」 その嘘を信じた夫は、私に「出ていけ」と告げる。 1か月後、私は離婚届を持って、もう一度あの家の玄関に立った。 その時、義家族が本当に恐れていたものが、ようやく明らかになる――。嫁姑|夫婦|裡の顔|真相1.5万字5 175 -
完結第11話
四十九日の780万円
義父の四十九日法要が終わった夕方、亮平は義母から一枚の返済予定表を渡された。 そこに書かれていた金額は、7,800,000円。返済者の欄には、なぜか婿である亮平の名前があった。 義母は「家族の借金だから」と当然のように言うが、亮平はその借金の存在すら知らされていなかった。さらに妻の彩も、3年前から毎月7万円を実家へ払い続けていたことを打ち明ける。 誰から借りた金なのか。なぜ絶縁したはずの姉へ、今も返済が続いているのか。そして、義父が本当に残したかったものは何だったのか。 古い通帳と父のノートを調べ始めた時、森下家が7年間隠してきた“家族の借金”の正体が、少しずつ崩れ始める――。祖父母と孫|第二の人生|親子関係1.7万字5 325 -
完結第20話
遺産は腐った倉庫だけ
父・正一を8年間介護した次男の浩司。しかし遺言で、兄の裕二には家、田畑、預金、車が渡され、浩司に残されたのは荒れ果てた倉庫と、4時20分で止まった腕時計だけだった。兄夫婦に家を追い出され、娘の大学入学金82万円さえ用意できない浩司。四十九日にも仏壇へ入れてもらえず、家族で倉庫に父を供養した時、作業台の奥にある西壁から不自然な音が響く。壁の中から現れた鉄扉と巨大な金庫。父が時計に隠した暗号を解いた時、兄が見下した遺産の本当の価値と、20年前から封じられていた家族の秘密が動き始める。親子関係|介護|金銭問題3.0万字5 344 -
完結第17話
果樹園の奥の家
夫・健太郎は、妻の栞が父から相続した長野の果樹園を任され、週5日を山で過ごしていた。ある日、「東京へ出荷に行く」と聞いていた栞は、昼食を届けようと果樹園へ向かう。ところが山の奥で見つけたのは、知らない平屋と2人の幼い子ども、そして健太郎を「パパ」と呼ぶ声だった。そこには、健太郎と6年間家族として暮らしてきたという女性までいた。さらに調べると、秘密の家や東京のマンションに使われた金は、栞自身が果樹園へ補填した1300万円と会社資金4700万円、合計6000万円と一致する。そして夫が栞と結婚した本当の理由まで明らかになる。「あなたは、健太郎の借金を返すために選ばれた人でしょう」――。夫婦2.5万字5 286 -
完結第7話
山奥に捨てられた下半身不随の妻妻は立ち上がる
建築会社の社長・鈴木佳奈は、工事現場から転落し、体を動かせないまま入院生活を送っていた。献身的に支える夫・健二は、周囲から理想の夫と称賛されている。だが夜になると、彼は佳奈の実印を持ち出し、署名を偽造し、愛人と会社や不動産を奪う計画を進めていた。さらに佳奈は、真夏の山中へ自分を置き去りにする相談まで耳にする。誰にも意思を伝えられないと思われていた彼女は、密かに回復しながら証拠を集め始める。夫婦22年の信頼を利用した計画の奥には、最初の転落事故へつながる秘密も隠されていた。人生逆転|夫婦1.1万字5 170 -
完結第10話
預けた通帳が消えた日
六十七歳の山田静は、膝の手術費を用意するため、息子夫婦に預けていた通帳を返してほしいと頼んだ。 しかし嫁の美香は、薄く笑ってこう言った。 「お母さん、私たちにお金なんて預けましたっけ?」 夫と二人で魚屋を営み、三十年かけて貯めた老後の資金。息子を信じて渡した通帳も印鑑も、いつの間にか静の手元から消えていた。さらに息子の健一まで、母をかばうどころか「知らない」と目をそらす。 不安を抱えた静が耳にしたのは、預金を使い切ったあと、彼女を認知症扱いして施設へ入れようとする恐ろしい計画だった。 家族を信じ続けた母が、ようやく気づいた真実。 奪われたのはお金だけではなかった。 自分の人生そのものを取り戻すため、静は亡き夫との思い出が残る藤沢へ向かい、静かな反撃を始める――。怒り|親不孝|親子関係|介護|金銭問題1.5万字5 388 -
完結第10話
退職祝いは「孫の勤務表」
42年間勤めた会社を退職したその夜、62歳の高橋信夫は、娘夫婦から一枚の紙を渡された。 そこに書かれていたのは、退職祝いの言葉ではなく、《おじいちゃん担当表》。孫の送迎、夕食作り、買い出し、風呂と寝かしつけ――信夫の自由になったはずの時間は、家族によって勝手に埋められていた。 さらに、娘夫婦は一時的な滞在のはずが、期限のない同居を考えていた。信夫の書斎は孫の部屋にされ、保育園の書類には本人の知らない署名まで残されている。 「家族のため」という言葉の裏で、誰の時間が犠牲にされていたのか。 退職後の人生を奪われかけた父が、自分の居場所と家族との距離を取り戻していく物語。親不孝|第二の人生|親子関係1.6万字5 244