"夫から届いた23年分の請求書" 第8話
「額より、自分で話して変える方が事だとう」
息子は、父親の会社への貸付を見ていた。返せない約束を黙って続けるより、く相談することを学んだらしい。
夫婦の財布も分け直した。宅費、費、費、共の保険を計座から払い、収入比率に応じて入する。私の負担は万千円、隆司は万円。事はと得得を見ながら、でほぼ半分にした。
隆司は、額だけ見れば自分の方がいと言った。しかし事と収入差を含め、完全な半分ではなく、双方が続けられる負担を探した結果だった。
個の座から何に使うかは原則自由。ただし万円を超える投資や貸付、期の契約は、庭への響を共する。許ではなく報告し、反対されたは理由を話す。
「夫婦なのに、会社の規定みたいだな」
隆司が笑った。
「約束で百万円を貸すには、規定が必でしょう」
私が返すと、彼は謝った。
会社からの返済は半続いたが、そのか止まった。隆司は社へ連絡し、弁護士を通して残額の返済協議を始めた。会社への忠義より、自分と族の活を優先することに、まだ罪悪があると話した。
「社員が困るとうと、眠れない」
「あなたが百万円をしても、会社の仕組みが変わらなければ、またりなくなる」
広告
隆司は部の経営相談を勧め、資管理の改善案を社へ提した。受け入れられなければ転職も考えると伝えた。
夫が会社を救い、全社員に謝されるような展にはならなかった。社とは関係が悪化し、昇も止まった。それでも個資産を差しし続けるより、職務としてできることを示す方を選んだ。
私も再試験の勉を続けた。隆司が夕を作る向かいで、医療制度の参考を読む。が別のことをしながら同じ部にいるが増えた。
別々の財布にして最初の、湯器が故障した。交換に万円かかる。共費からすのか、収入差に応じて分けるのか、初めてきな臨支を話しった。
隆司は半分ずつと言い、私は収入比率を主張した。以なら夫が全額払い、「僕が養っている」という記憶がつ増えただろう。今度は相談員にも確認し、収入比率で負担して記録を残すことにした。
私は万円、隆司は万円をした。私にとって軽い額ではなかったが、自分が暮らすへ自分でしたという実があった。隆司も、全額払うことで発言権まで買う形にならずに済んだ。
事の連絡とち会いは隆司が担当した。彼が最の種を選びかけたため、私は浴を残したいと反対し、でカタログを見直した。
広告
事を分担することは、担当者へ全ての決定権を渡すことでもなかった。
には、私が自分の料から万円の腕計を買いたいとった。以の私なら、夫が稼いだではないと分かっていても、庭に必のない物へ使うことへ罪悪を持っただろう。隆司へ値段を話すと、もっとい物で分ではないかと言われた。
「見は聞いた。でも、計費を入れた残りから買うかどうかは私が決める」
隆司は満そうだった。数、彼も釣り具へ万円使いたいと話した。私は、会社への貸付で損をしたのに今必なのかと反対した。
「君の計と、僕の釣り具は何が違う?」
聞かれて、私は言葉に詰まった。自分の支は自の証しに見え、夫の支は無責任に見えていた。どちらも共費を払ったの個資からすなら、同じルールで考えるべきだった。
私たちは互いに許をすことをやめ、購入の貯がいくら残るかだけ確認した。私は計を買い、隆司は釣り具を古品へ変えた。それぞれが自分で選んだ結果だった。
しい計を職へ着けてっても、が劇に変わることはなかった。ただ、刻を見るたび、誰かに与えられた遣いではなく、自分で働き、自分で選んだ物だとえた。
同に、隆司が休に釣りへる姿を見ても、自分だけ好きなことをしているとはじなくなった。
別々の財布とは、を隠すためではなく、互いのさな選択を所しないための所だった。
広告
おすすめ作品
-
完結第20話
四十九日の絶縁
夫を突然亡くした三十七歳の裕子。悲しみに暮れる間もなく迎えた四十九日法要の日、帰宅した彼女を待っていたのは、ゴミ捨て場に放り出された自分の荷物だった。「息子が死んだら嫁は赤の他人よ!」そう言い放つ姑は、さらに幼い二人の子供まで裕子から引き離そうとする。だが、姑が三歳の息子だけを異常に可愛がる裏には、恐ろしい計画が隠されていた。子供たちを守るため、裕子は静かに反撃の準備を始める。そして数か月後、助けを求めて電話してきた姑に、裕子が告げた言葉とは――。人生逆転|裡切られた|嫁姑|夫婦|相続|裡の顔|介護2.3万字5 930 -
完結第13話
俺を睨む「氷の女」が、双子の前で笑った日
妹を事故で亡くし、遺された六歳の双子を男手一つで育てる伊吹公平。仕事と育児に追われる毎日の中、彼が最も苦手としていたのは、職場で「氷の女」と恐れられる経理主任・桐谷エリカだった。ところがある日、保育園へ迎えに行った公平は、娘たちに囲まれて優しく微笑むエリカの姿を目撃する。しかも、誰にも甘えようとしなかった内気な妹・りこが、彼女の服を握って離さない。冷たい視線の裏に隠されていた意外な素顔。そして、少しずつ変わり始める三人の暮らし。孤独を抱えた大人たちと、小さな双子が紡ぐ、温かな家族の物語。人生逆転|兄弟姉妹|裡の顔|親子関係|金銭問題1.9万字5 302 -
完結第18話
離婚翌日に6億円当選、実家で弟に「居場所はない」と拒絶された私
十五年間の結婚生活を終え、四十二歳で一人になった沙耶。途方に暮れていた彼女に、突然、六億円を超える宝くじの当選という奇跡が訪れる。両親を助け、人生をやり直そうと実家へ帰った沙耶だったが、弟の健太は「この家に姉ちゃんの居場所はない」と冷たく言い放った。理由も分からず傷つく沙耶。しかし、弟夫婦が十二年間背負ってきた現実を知り、彼女の考えは大きく揺らぎ始める。さらに当選を打ち明けた夜、健太が突きつけた一言が、家族の隠してきた本音を浮かび上がらせる。六億円があっても取り戻せないものとは――。人生逆転|兄弟姉妹|親子関係|金銭問題1.8万字5 674 -
完結第20話
「息子が高熱なのに来い!」夫一家に185万円の請求書を押しつけられた私の正体
夫と義家族から「何もできない専業主婦」と見下され、金銭まで搾り取られてきた松岡美央。しかし彼女には、世界的なホテルグループの最高責任者という、誰にも明かしていない秘密があった。ある夜、高熱を出した息子を看病していると、義母から三十件以上の着信が届く。「緊急事態だから今すぐ来なさい!」慌ててホテルへ駆けつけた美央を待っていたのは、豪華な食事を楽しむ夫一家と、185万円もの請求書だった。裡切られた|怒り|嫁姑|夫婦|親子関係|修羅場2.6万字5 1719 -
完結第10話
元夫に投げつけられたカード、残高は一億五千万円
「もう二度と、俺の前に現れるな」離婚の日、夫の大地に冷たく突き放され、ひな子は六歳の息子とともに家を追い出された。渡されたのは、養育費を振り込むという一枚のキャッシュカードだけ。ひな子はそれを封印し、工場で働きながら必死に息子を育ててきた。三年後、口座を解約するため銀行を訪れると、なぜか支店長自らが現れ、特別応接室へ案内される。通帳に記されていた残高は、なんと一億五千万円。さらに差し出されたのは、元夫の筆跡で「ひな子へ」と書かれた一通の封筒だった。あの日の冷酷な離婚には、誰も知らない秘密が隠されていた――。夫婦|真実|第二の人生|金銭問題|熟年離婚1.6万字5 948 -
完結第20話
高熱の娘を置き去りにした姉は、私の夫と不倫旅行中だった
結婚五年目の美和は、実の姉・麻里奈から生後十一か月の姪を十日間預けられる。ところが、姉が海外旅行へ出発した直後、幼い心ちゃんの容態が急変。必死に救急搬送する美和だったが、姉にも出張中の夫にも連絡がつかない。不審に思って姉のSNSを調べると、南国の写真に写り込んでいたのは、見覚えのある夫の腕時計だった。怒り|夫婦|親子関係|不倫1.8万字5 1800 -
完結第10話
泥の作業着と誇り
高校卒業から十七年ぶりの同窓会。咲は、夫が農家だと話した途端、華やかな暮らしを自慢する同級生のレナから大勢の前で笑いものにされてしまう。「泥だらけの旦那なんて恥ずかしくないの?」心ない言葉に傷つきながらも、咲は「世界一自慢の夫よ」と言い返した。やがて、仕事帰りの夫・大地が泥のついた作業着で迎えに現れると、再び嘲笑が巻き起こる。しかし次の瞬間、幹事の西村が顔色を変え、夫に向かって深々と頭を下げた。誰も知らなかった大地の本当の姿が、少しずつ明らかになっていく。人生逆転|夫婦|真相|第二の人生|修羅場1.7万字5 580