"裏口に回された仕立て屋" 第2話
装の評判がよく、次の発表会も頼みたいという声ががっている。
「全部、理奈さんがデザインしたんですか」
久美子が娘より先に答えた。「そうなの。子育てしながらを始めるなんて、私の娘ながらするわ」
理奈は否定しなかった。佐子を見つけると、空になった装箱を渡し、「汗のついた物だけ持ち帰って洗ってください」と言った。
「装代を集めたの?」
佐子が声で尋ねると、理奈は笑顔のまま腕を引き、のいない廊へ連れてった。
「今ここでおの話をしないでください。印象が悪くなるでしょう」
「材料費は発表会に払うと言ったわね」
「払います。でも、撮代や会への紹介料、サイト制作でほとんど残っていません。お義母さんは族なんだから、賃までは言わないですよね」
佐子が黙ると、理奈はそれを承とった。「が軌に乗ったら、今度は正式にお願いできますから」
帰宅、佐子は制作ノートをいた。材料費万千円、作業数。裁断、仮縫い、装飾、直しを計すると百だった。
勤務代ので計算しても、賃は万円を超える。デザインの調や採寸にかかったは含めていない。
拓也へ話すると、息子は「理奈が集めたは事業資だ」と答えた。佐子が制作費として集めたではないかと聞くと、宣伝、打ちわせ、撮も制作の部だと言った。
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「母さんは孫のために作ったんだろ。から仕事だったと言うのは違うんじゃないか」
「美の着なら贈ったわ。分まで孫なの?」
拓也は答えず、「今、理奈を追い詰めないでくれ」と話を切った。
翌、ダンス教の保護者から佐子へ連絡が来た。娘の首に赤いかぶれがたため、装の洗濯表示を確認したいという。
佐子は使用した布と装飾材を説し、医療判断はできないので受診を勧めた。洗濯表示のを見せてもらうと、《製作・RINA COSTUME》《縫製・提携》と印刷されていた。
理奈のネットショップはすでに公され、発表会の写真が実績として掲載されていた。顔はぼかされているが、装のデザインと制作程の写真が並び、《デザイナー藤原理奈が点ずつ監修》とある。
程写真のには、佐子の自宅の作業台やまで写っていた。理奈が採寸のに撮ったものだった。
佐子は画面を保し、理奈へ材料費の精算と写真掲載の止を文で求めた。翌朝、返ってきたのは謝罪ではない。
《族の伝いを、から商売にしないでください》
佐子は返信をく代わりに、の記録を系列へ並べた。最初の着は袖直し、次の着は型調、その、教全体分へ広がった。依頼が増えるたび、理奈は《今回だけ》《が始まれば恩返しする》と送っていた。
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採寸会は回あり、佐子は片分かけて教へ通った。子どもが邪で欠席すれば別に拓也のへき、成を見越して縫い代を残した。理奈はそのを《族との交流》として扱っていた。
材料の購入も簡単ではなかった。同じ紺を着分揃えるには、舗へ庫を確認し、番号の違う反物を返品した。の飾りは肌へ触れる角をつずつ削り、裏へ当て布をつけた。
佐子は作業、理奈へ何度も捗写真を送った。ネットショップに載っている程写真は、その画像から佐子の顔や古い名だけを切り取ったものだった。
拓也から再び話があり、ネットの画像を保するのは嫌がらせだと言った。佐子は公されているページを、自分の制作記録として保管しただけだと答えた。
「理奈は産に仕事へ戻れなくて苦労したんだ。母さんはもうもあるし、困ってないだろ」
「困っていないのなら、勝に使っていいの?」
「そうは言ってない。ただ、若いの挑戦を応援してもいいじゃないか」
佐子は、自分も歳でしい仕事を始める能性があるとは言わなかった。息子ので母親のは、もう増えも減りもしない余り物になっていた。
翌、かぶれを相談した母親から診察結果が届いた。な症状ではなくしたが、《製作者へ直接確認できて助かりました》という文に、佐子は複雑な気持ちになった。
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