"合格発表の日、父は消えた" 第5話
美咲はそこで指導や庭相談を受けることになっていた。
だが集宅の部を借りていたのは、瀬本だった。
内には過の奨学申請、複数の徒の印鑑、所得証の写しが保管されていた。瀬は経済に苦しい徒を支援するふりをして、推薦枠に都のよい物を作りげていた。
企業から予備へは、推薦した学1につき協力が支払われていた。
卒業の就職先も決められており、学が受け取る奨学の部は「指導費」として予備へ戻される仕組みだった。
すべてが違法だったわけではない。
しかし瀬は、条件を満たす学がいない、複数の徒の成績や庭報を組みわせていた。本や保護者には、複雑な支援制度だから類を任せてほしいと説していた。
正雄も最初は、瀬が美咲を助けていると信じていた。
運賃を0円にしたのは、正雄の判断ではない。
タクシーの通常料を表示させたあと、隊が管理用の鍵で記録を修正していた。瀬から受け取った2万円の部は会社へ入り、残りを今井が個に受け取っていた。
「父は、無料で美咲さんを送り続けていたわけではなかったんですね」
千が確認すると、宮はうなずいた。
「ただし、お父様本がを受け取った記録はありません。
広告
通常の勤務として指示されていたようです」
正雄が女の份をったのは、送迎を始めて4かだった。
内で美咲が落とした通信制の徒証を拾い、《佐伯千》とかれていることに気づいた。
正雄は瀬へ説を求めた。
瀬は、実名では父親に居所をられるため、に借りているだけだと話した。学受験までには正式な份へ戻すと約束した。
正雄は同に署名した責任もあり、すぐには問題にしなかった。
だが、送迎のたびに美咲から話を聞くうち、学の推薦や奨学にも娘の名が使われているとった。
失踪の1か、正雄は美咲へ尋ねた。
「千の成績表を見たことがあるのか」
美咲は答えられなかった。
瀬から、これは本当の千も承している支援計画だと説されていたからだ。
「千さんは学へかないから、使っていいと言われました」
その言葉を聞き、正雄は初めて、実の娘が犠牲にされようとしていると理解した。
それでもすぐに警察へかなかった。
自分も虚偽の入所同に署名していた。娘の個報を使わせた事実がらかになれば、千の受験にも響するとった。
正雄はで証拠を集め、瀬に訂正を迫ろうとした。
失踪当、正雄は美咲をへ乗せたあと、板の集宅ではなく、瀬が待つ都内の予備へ向かった。
広告
美咲は学の推薦類を持っていた。
正雄は瀬へ、類をすべて破棄し、本物の名で美咲を支援するよう求した。応じなければ、娘の格通への細も含めて警察へ話すと告げた。
瀬は、ので話しおうと提案した。
夜7すぎ、3は27号に乗った。正雄が運転席、瀬が助席、美咲が部座席だった。
は予備をたあと、学や駅とは反対方向へんだ。
午742分、国沿いのガソリンスタンドへち寄っている。
当の油記録には、27号の番号と正雄の署名が残っていた。しかし署名の跡は父のものではなかった。
員が個につけていた記には、こうかれていた。
《タクシーなのに運転が部座席で寝ていた。制の女と男が言い争っていた》
27号を運転していたのは正雄ではない。
ガソリンスタンドの防犯写真を修復すると、運転席からりる瀬と、助席でうつむく美咲の姿が確認された。
部座席には、かない正雄が横たわっていた。
瀬はたな証拠を示されても、正雄に危害を加えたことを否定した。
「内でつかみいになったのは事実です。しかし先にをしたのは佐伯さんでした」
予備をた直、正雄はを肩へ止め、警察へくと言いした。瀬が止めようとすると、正雄は胸倉をつかんだ。
瀬が振りほどいた際、正雄はへ転倒し、縁にを打ったという。
広告
おすすめ作品
-
完結第22話
「慰謝料500万円」ママ友が出した弁護士の名刺に驚愕
夫を亡くし、九歳の娘すももを一人で育てる弁護士・水瀬ひまり。ある日、投資で多額の借金を抱えたママ友の香織から、突然「夫との浮気の慰謝料500万円を払え」と迫られる。 証拠として突きつけられたのは、身に覚えのないLINEと、弁護士を名乗る男の名刺。ところが、その名刺には、ひまり自身の名前が記されていた。 偽りの請求、広がる不倫の噂、そして娘の学校生活にまで及ぶ嫌がらせ。ひまりが証拠を集め始めると、思いもよらない金銭トラブルが浮かび上がる。母として、弁護士として、彼女が下す決断とは――。怒り|裡の顔|真相|第二の人生|金銭問題2.8万字5 552 -
完結第12話
昭和39年、給食費泥棒にされた少女
昭和39年、村の小学校で給食費9,600円がなくなったと騒ぎになり、11歳の岸田和子は担任から泥棒だと決めつけられた。無実を訴えても信じてもらえず、和子は転校を余儀なくされる。それから35年。廃校となった母校で古い出納簿を見つけた和子は、問題の給食費が事件の二日前に全額入金されていたことを知る。なぜ教師は、なくなっていないお金を盗んだと少女を責めたのか。食数の合わない給食記録、突然退職した調理員、沈黙する元同級生。忘れられた帳簿を手がかりに、和子は35年間隠されてきた学校の秘密を追い始める。時代|歴史|昭和|真相3.1万字5 298 -
完結第12話
昭和44年、終電後に消えた駅員――28年目に見つかった記録
昭和44年、長野県の小さな駅で働く杉原修一は、最終列車を見送った夜、8万6,400円の現金とともに姿を消した。父を泥棒と呼ばれながら育った娘の美緒は、28年後、取り壊しが決まった駅舎で古い駅務日誌を発見する。そこには、父が終電の55分後、赤いランプを持って七号橋へ向かったという不可解な記録が残されていた。運休したはずの貨物列車、書き換えられた帳簿、沈黙を守る関係者たち。父はあの夜、何を知り、なぜ帰ってこなかったのか。昭和の小駅に封じられた28年間の謎を追う、家族と真実の物語。時代|歴史|昭和|ミステリー|真実2.9万字5 253 -
完結第12話
雨宮停留所の黄色い傘
私は六十二歳。幼いころから、ときどき人には見えない姿や声を感じることがある。 山梨の小さな町で叔母の家を片づけていたある雨の日、廃止された停留所の水たまりに、黄色い傘を差した少年が映った。 そこで出会った老女は、四十年近く前に失踪した息子を今も待ち続けているという。 「まだ帰れない」 少年が残した言葉を手がかりに調べ始めると、破り取られたバスの運行日誌、隠された手紙、そして家族が長年伏せてきた秘密が浮かび上がる。 あの少年は、いったい何を伝えようとしているのか。日常ホラー|ミステリー|真相|親子関係2.2万字5 201 -
完結第20話
貧乏と俺を捨てた元カノ、次期社長との婚約に隠された誤算
「月収四十万円で、私と結婚できると思ってたの?」七年間付き合った恋人・美香に、収入を理由に婚約を破棄された中島涼。失意の帰り道、公園で出会った風変わりな兄弟との交流が、彼の人生を大きく変えていく。物流の経験を生かして建設会社の経営改革に携わり、少しずつ信頼を築いていく涼。二年後、居酒屋で偶然再会した美香は「次期社長と結婚する」と勝ち誇っていた。しかし、彼女も婚約者も、会社で進んでいた重大な決定を知らなかった。金と肩書きで人を見下した二人を待つ、思いがけない逆転劇。人生逆転|裡切られた|真実|第二の人生|金銭問題2.9万字5 796 -
完結第12話
母の葬儀写真に現れた女――銀の花に隠された秘密
幼いころから、人には見えないものが見える紀子。62歳になった彼女は、87歳の母を亡くした葬儀の日、誰も立っていなかったはずの場所に、黒い服の女が写っていることに気づく。女の胸には、銀色の花のブローチ。さらに母の遺品から、見知らぬ女性との古い写真と、秘密の子どもについて書かれた手紙が見つかった。生前、母が繰り返し呼んでいた「千恵子さん」とは誰なのか。そして、棺のそばで聞こえた「あの子はまだ生きてる」という声の意味とは。葬儀写真に残された不可解な影が、半世紀以上封じられてきた家族の秘密を呼び覚ます。日常ホラー|真相|親子関係2.2万字5 333 -
完結第14話
同窓会でビールを浴びた私に、51人の男が最敬礼
中学卒業から十五年。貧しい母子家庭で育ち、いじめに耐えてきた梅本瑞江は、故郷の同窓会に姿を現した。上品な大島紬をまとった彼女を見て、かつてのいじめの主犯・熊切勢子は激怒。友人の借金を盾に保証人になるよう迫り、ついには瑞江の頭からビールを浴びせてしまう。 さらに勢子は、暴力団組長である夫の力を使い、瑞江を脅そうとする。しかし、連れ込まれた奥の宴会場で、誰も予想しなかった光景が待っていた。 十五年前に見下されていた少女が隠していた、驚くべき現在の姿とは――。人生逆転|真相|第二の人生|修羅場2.0万字5 1788 -
完結第13話
疎開から戻った娘が、再び村へ帰りたがった理由
昭和二十年の秋。戦争で夫と家を失った文江は、集団疎開から戻った十二歳の娘・幸子と、焼け跡の東京でようやく再会した。 ところが三日後、娘は突然「あの村へ帰りたい」と言い出す。母との暮らしを喜んでくれると思っていた文江は、深く傷ついた。 やがて娘の行李から見つかった一通の手紙。そこには、長野の農家で暮らす九歳の少女・千代との、切実な約束が隠されていた。 自分たちの生活さえ苦しい母娘は、その約束にどう向き合うのか。戦後の厳しい暮らしの中で、家族の絆と本当の居場所を見つめ直す、心温まる物語。時代|歴史|昭和|ミステリー|親子関係2.8万字5 170