私は六十二歳。幼いころから、ときどき人には見えない姿や声を感じることがある。 山梨の小さな町で叔母の家を片づけていたある雨の日、廃止された停留所の水たまりに、黄色い傘を差した少年が映った。 そこで出会った老女は、四十年近く前に失踪した息子を今も待ち続けているという。 「まだ帰れない」 少年が残した言葉を手がかりに調べ始めると、破り取られたバスの運行日誌、隠された手紙、そして家族が長年伏せてきた秘密が浮かび上がる。 あの少年は、いったい何を伝えようとしているのか。
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