"百円だけの香典" 第6話
相が苦しいには、返してもらうことを考えず助ける。
額を記録し続けることだけが、付きいではない。
しかし、葬儀が無事に終わりかけた午。
今度はの古参職・松井が健を裏へ呼びした。
「健さん、典のこととは別に、ちょっと話がある」
松井の顔は刻だった。
「の支払い、来分まで持つのか」
健は息を詰めた。
父がくなったしみと葬式の騒ぎに紛れ、まだ誰にも話していなかった問題があった。
鉄の帳簿には。
源吉がぬ直まで隠していた。
かなりきな未回収が残っていたのである。
葬儀翌、健はの事務所で帳簿を広げた。父がくなってから初めて詳しく確認した売掛は像以にく、半以支払いを待っている取引先が何軒もあった。景気が悪い期に「来でいい」「収穫が終わってからでいい」と源吉が待ち続けた結果だった。
古参の松井が配したのも無理はなかった。
17分の料。
材料代。
気代。
械の修理。
は黒字ではあったが、元にある現は決してくない。
「典を普通に受け取っていたら、いくらかしになったんじゃないですか」
若い従業員が悪気なく言った。
健は答えられなかった。
現実だけを考えれば、その通りだった。
源吉ほど町に顔が広いなら、普通に典を受け取ればかなりの額になった能性がある。
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そので葬式代を払い、残りをへ回すこともできた。
栄作も同じことを言った。
「見栄を張って百円なんて言って、を潰したら本末転倒だぞ」
「葬式のでを続けるつもりはないよ」
「綺麗事ばかり言うな」
叔父の言葉は厳しかったが、健自もだった。
父の考えを守った結果。
従業員をに迷わせる。
それでは何のもない。
そのの夕方、健は父の机を理していた。
引きしの奥から、郵便貯の通帳と通の封筒がてきた。
封筒には《葬式代》とかれている。
には現と、葬儀への支払い予定額を計算したが入っていた。
源吉は自分の葬式を典で賄わなくても済むよう、しずつを準備していたのだ。
さらに通帳を見ると、毎わずかな額が積みてられている。
健はしばらく父の子に座ったままけなかった。
父はただ理を語っていたわけではない。
典を減らすなら。
その分。
自分の葬式代を。
自分で用する。
そこまで考えていた。
松井へ見せると、古参職はく息を吐いた。
「親方らしいな」
「ってたんですか」
「いや。でも、あのならやりそうだ」
松井はし笑った。
「何でもに迷惑かけるの嫌いだったからな。典減らせって言いながら葬式代を子どもに押しつけるようなじゃない」
の問題は、それとは別に解決しなければならない。
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健は未回収を軒ずつ理し、本当に支払えないと、ただ甘えている取引先を分けることにした。父がで待っていた相にも、今はを守るため期限を決めて話をする必がある。
それは、父と同じやり方を続けることではなかった。
むしろ。
父の考えを。
次の形へ変えることだった。
数、の会社社がへやってきた。
「葬式で余計なを受け取らなかった代わりと言ったら変だが、来の注文をし増やしたい」
健は驚いた。
「同で仕事をいただく必はありません」
「同じゃない。さんのところなら仕事を任せられるとってるからだ」
それなら、と健はをげた。
を返しうのではない。
仕事で。
関係を続ける。
父が残した「付きい」というものが、しずつ違った形に見えてきた。
葬儀から1かほど経つと、町の噂もしずつ落ち着いた。それでも「は典を百円しか受け取らなかった」という話だけは残り、商の先や共同浴で話題になることがあった。には「あれだけのを持ってるから格好つけられるんだ」と皮肉を言うもいた。
トヨは最初、その噂を聞くたび傷ついた。
「やっぱり、けちだとわれてるんだね」
ある晩、夕を作りながら呟いた。
健は「言いたいには言わせておけばいい」
と答えたが、母にとっては簡単ではない。
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