"百円だけの香典" 第8話
を捨てたわけではないが、が倒れれば従業員の庭まで困るのだと考えるようになったからだ。
最初は「源吉さんのは待ってくれた」と満を言う相もいた。
健はそのたびにをげた。
「父には父のやり方がありました。でも、俺は俺のやり方でこのを残したいんです」
議なことに、本当に困っている相ほど理解してくれた。
むしろ今まで曖昧だった支払い期が決まり、双方にとって仕事がしやすくなった面もあった。
ある休、トヨが押し入れから古い典帳を全部した。
冊くある。
「これ、もう捨てようかね」
健はし考えた。
父のには、「典帳を燃やしてしまってもいい」とまでかれていた。
けれど健は首を振った。
「残そう」
「どうして?」
「昔こういう付きいをしてたっていう記録だから」
帳面が悪いわけではない。
そこにかれた額を。
絶対に返さなければならない。
と考えることが。
荷になる。
それだけだ。
トヨも納得した。
「じゃあ、もう返すためには見ない」
「うん」
「でも、お父さんが誰にいくら包んだかは残しておく」
「それでいいとう」
で帳面を箱へ戻した。
父の学ノートも緒に入れた。
表の帳面には。
額。
裏のノートには。
理由。
つを並べて。
初めて。
源吉というが。
見える。
そのの夕方、の取引先の社がへやってきた。
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しい械部品の相談だった。
話が終わると、男はふといしたように言った。
「そういえば、うちの町内でも典をなくしようって話がてるよ」
健は驚いた。
「さんの葬式の話をした奴がいるらしい」
「誰です?」
「俺だよ」
男は笑った。
あの。
って。
帰った。
だった。
「最初は失礼なだとったけどな。考えてみれば、葬式のたびに何千円もったり来たりさせるのも変な話だ」
男は子を被りながら続けた。
「まあ、百円までは無理だろうけど」
健も笑った。
それでいい。
同じにする必はない。
誰かが。
度。
疑問を持つ。
そこから。
変化は。
始まる。
源吉の回忌を迎える頃には、町の冠婚葬祭もしずつ変わっていた。百円とくはくなかったが、典返しをやめる、親者だけで葬式をす、町内会で額の目を決める区など、それぞれのやり方がまれていた。
もちろん、昔ながらの盛な葬式を選ぶもある。
健は。
それも。
違いではないとっていた。
切なのは。
誰かに。
制されないことだった。
源吉の回忌は、族との古参職だけでった。
栄作もやってきた。
法が終わり、皆で簡単な事をしている、栄作が仏壇のへ座った。
「兄貴」
さな声だった。
「おの息子は、ったより頑固だぞ」
健はろから聞いていた。
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栄作はしを置いた。
「でもまあ、おも相当頑固だったからな」
トヨが笑った。
「そこはそっくりですよ」
部に穏やかな笑いが広がった。
健は仏壇の父の写真を見た。
以は。
父のようにならなければ。
とっていた。
を守り。
町のに慕われ。
困っているを助ける。
けれど今は。
父と同じことを。
する必はない。
とっている。
源吉自も。
最まで。
迷っていた。
付きいを切にしながら。
その付きいが。
を苦しめることを。
恐れていた。
助けたい。
でも。
借りにしたくない。
古い習慣を。
壊したい。
でも。
まで。
なくしたくない。
答えが。
ないまま。
んだ。
だから。
息子へ。
残した。
「おが決めろ」
という形で。
夕方、健はでへった。
父が使っていた机は、今も事務所の隅にある。
引きしには。
あの学ノート。
そして。
。
健は久しぶりにいた。
最の部分には、こんなことがかれていた。
《付きいをなくすな。困っている奴がいたら助けろ。ただし、助けたことを帳面にいて、何かに取り返そうとするな。まで貸し借りにしたら、誰も苦しいに助けてくれと言えなくなる。》
昔読んだより。
今の方が。
が。
よく分かった。
田の千円。
娘の靴。
って帰った社。
受付に座った母。
最まで反対していた叔父。
全部。
父の葬式から。
始まった。
健はノートを閉じた。
のでは、仕事を終えた職たちが自転で帰っていく。誰かが「お先に」
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