"「子供3人は全員連れてけ」と言った夫へ" 第5話
変えなかった志望
放課の教で、優馬は子を引いて私の隣に座った。窓のでは運部の掛け声がしていた。君島先の机には、回の面談で使った希望調査票が置かれている。
「先に確認しておきます。お父様から連絡があったからといって、学が優馬君の志望を変更することはありません」
先がそう言うと、優馬の指が膝のでほどけた。話の話を伝えてから、でもそのことを聞いてこなかった。平気だったわけではないのだと、横顔を見て分かった。
「ただ、活の変化で困っていることがあれば、めにっておきたいといまして」
私は転居の連絡先と、学への支払い状況を確認した。すでに届けてある親権者の変更についても、先と認識を揃えた。
「今の学習環境は維持できます。本が希望する受験に備えて、資計画もてています」
先は頷いてから、優馬に向き直った。
「優馬は、どう考えてる?」
「志望は変えません」
優馬は調査票を自分の方へ引いた。学名を指でなぞり、そのの学部の欄まで確かめた。
「数学の記述をもうしげたいです。に勧めてもらった問題集、2周目に入ってます」
そこから面談は勉の話になった。解答の途で説を省いてしまう癖と、のに取り組む範囲。優馬は鞄から問題集をし、先に付箋のついたページを見せた。
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私は隣で聞いていた。での嫌をうかがっているより、ずっとよく話す。答えが分からなければ分からないと言い、納得するまで聞き直していた。
廊へる、先が私を呼び止めた。
「必な連絡は、今もこちらからお母様に確認します。優馬君にを取り持たせることはしません」
私はをげた。優馬はし先で、掲示された模試の程を見ていた。
帰り、優馬はしばらく黙っていた。駅へ曲がるでち止まり、鞄の持ちを握り直した。
「母さん、俺が学きたいって言わなければ、もっと楽だった?」
私はすぐに否定しようとして、言葉を選び直した。
「学費はかかるよ。だから準備してる。でも、あなたが学にきたいことが、私を苦しめてるわけじゃない」
優馬は靴先を見たままだった。
「また夜まで働くなら、違う方法もあるとって」
「働き方を決めるのは私の仕事。受ける仕事の量も、に頼むところも、私が決める。あなたに諦めてもらって解決するつもりはないよ」
駅からてきたたちが、私たちの横を通り過ぎた。優馬は鞄を肩に掛け直した。
「じゃあ、あそこ受ける」
「うん」
「落ちたのことも、自分で考えるから」
私は頷き、緒に歩きした。優馬は途ので問題集を見たいと言った。帰りを急がせずに待っていると、選んだ1冊を持ってきて、どこを使うつもりか説してくれた。
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その晩、浅井先から連絡があった。也が収入と財産の資料を持参するが決まったという。
「学へ連絡した件も、把握しています。お子さんを経由せず、必な確認は代理へしていただくよう伝えました」
私は礼を言って話を切り、提する資料を揃えた。会社の源泉徴収票、確定申告の控え、事業の収支が分かる類。納戸の暗い机で作っていた数字を、今度はるい卓ので確かめた。
会談の、也は先に来ていた。私の鞄を見ると、わざと聞こえるように息をついた。
「賃28万なんて、見え張りすぎなんだよ。子供にまで無理させて」
「優馬の志望は変わりません」
「今はそう言うだろ。いつまで続くんだよ」
浅井先が、双方の収入を確認すると説した。也は自分の資料をした、私の方へ顎を向けた。
「会社の料なら、体分かってますよ。副業だって、夜にやってる遣い稼ぎでしょう。あれを当てにしてるなら、やめた方がいい」
私は鞄から類をし、也のへ置いた。赤字でも借でもない、8続けてきた仕事の数字だった。
「あなたが、やめろと言った仕事の分です」
浅井先が申告をき、事業の所得欄に指を置いた。
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