"兄を笑った銀行一家へ、300億円の解約通知" 第4話
消された席に来たたち
ホテルをて、兄のアパートへ戻った。駅までので買ったおにぎりを机に置いても、兄は袋をけなかった。ジャケットを脱ぎ、携帯の連絡先をから眺めていた。
「何か連絡するところがある?」
「夕方の集まり、断らないとな」
披宴へ呼べなかったたちのために、兄は別の席を用していた。若い頃に働いていた居酒の2階で、30まで座れる部だという。
最初にかけた相は寺田修平だった。建材の資材課で、兄とく働いている同僚だ。
「寺田、悪い。今なんだけど、結婚そのものがなくなった」
話の向こうの声がきくなった。兄はしを置き、今朝の来事をく説した。笑い話にしようとしたところで言葉が止まり、私の方を見た。
「だから、夕方もやめようとって」
『なんで俺たちまで、会えなくなるんだよ』
漏れてきた声に、兄が目をげた。
『6だな。おはに来い。ほかのへの連絡、伝うから』
兄は断りかけて、を閉じた。やがて引きしから便箋をし、机のに広げた。定規で線を引いた、きの名簿だった。
「元の名簿は、向こうで捨てられた。これはき損じだ」
私を含めて26の名があった。隅にはさく「静おばさん、通側」とかれている。会社の、代の友、昔の同僚。兄は名の横に、誰とくに座ってもらうかまでいていた。
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「結局、式に呼んでいいのはおだけになったんだ。費用を全部すから、客も決めるって」
「25、断ったの?」
「うん。内だけになったって、俺から」
兄は伯母の名のに指を置いた。女方の招待客は114いた。内だけという言い方で断ったのは、兄の側にいるたちだけだった。
「嫌じゃなかった?」
「嫌だったよ。でも、絵里さんと暮らす方を事にしたかった」
兄は便箋をへ引き寄せた。
「あの、ちゃんと言えばよかったな。来てほしいがいるんだって」
午6、居酒の階段をがると、寺田が入で待っていた。兄の肩を叩いてへ押し、私には軽くをげた。
「1だけ仕事が抜けられなかった。あとは来てるぞ」
名簿から消された25のうち、24がいた。伯母の静が通側の席でをげ、その隣の子を引いた。兄は入にったまま、何度も部を見回した。
「今は、その……」
「話は座ってからでいい」
寺田が兄の着を受け取った。乾杯の言葉は決まっていなかったが、誰かが「まずべよう」と言い、空の皿に料理が載り始めた。兄の箸がくのを見て、私は昼のおにぎりがそのままだったことをいした。
しばらくして、寺田が声を落とした。
「転職の話も、これでなくなるんだな」
「俺は、もともと返事してないよ」
「分かってる。あの条件、まだ持ってるか」
私が聞くと、女方の関連会社へ移るよう勧められていたという。
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収620万円の今の仕事を辞めて、480万円からの総務職へ。課代理の肩きとむを用する、と言われたらしい。
「会社にも先に話を通されてさ。俺、辞めませんって説したんだ」
兄はそう言ってから、いつものように笑いかけた。けれど寺田が黙って聞いていると、その笑いが消えた。
「あれは、きつかった。22勤めた会社で、自分の話なのに俺だけ何もらなかったから」
寺田は頷いた。げさに慰める代わりに、兄の取り皿へ焼き魚を置いた。
「その話は、会社でも俺がってる。1で抱えるなよ」
兄はさく礼を言った。伯母がこちらを気にしていたので、兄が皿を持ちげて見せると、ようやく笑顔になった。
会計のに、宇野から話が入った。との説のは、曜の午、都内の会議で調できたという。続いて成沢に代わった。
『お兄様にも、ご都がえばお越しいただきたいのです。お名を改めて確認したのですが、柏琢磨様でいらっしゃいますね』
「はい。兄をごじなんですか」
成沢は呼吸置いた。
『創業のお借り入れの類は、まだお元にございますか』
私は部のを振り返った。兄は伯母に呼ばれ、子ごとし寄って話を聞いていた。今夜は、兄のために空けられた席があった。
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