"24年育てた息子の結婚式に、私の席はなかった" 第8話
実母が聞かされていた嘘
約束したの午、優斗は也さんを連れてきた。彼女は玄関でくをげ、靴をそろえてから、私の顔を慮がちに見た。
「お体の具はいかがですか。今は、無理をなさっていませんか」
優斗が先に廊を歩き、いつもの席へ腰をろした。母親同士を会わせれば、自分の抱えた問題も収まる。そんな期待が、私の子まで引いてみせるつきに表れていた。
「体調は悪くありません。私が式を欠席した理由を、どのように聞いていますか」
也さんは、座りかけた子にを置いたまま答えた。
「体調を崩されたので、私に代わりを、と。恵子さんにも納得していただいていると聞いていました」
「私が、自分から席を譲ったのですか」
優斗がを挟もうとしたが、彼女は携帯を取りした。確認するように画面をたどり、私のほうへ向けた。
《母さんは体調が悪くて欠席する。母親の席に座ってほしい。本とも話はついてるから、配しないで》
送ったのは優斗で、付は式の夜だった。私に来ないでと言い、分かってくれてありがとうと返した、そのあとの刻がついていた。
私は自分の携帯を隣へ置いた。優斗の希望どおり欠席すると確認した文章と、それで丈夫だという返事を見せた。
也さんは2つの画面を見比べたあと、息子へ向き直った。
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「私が席に座るために、恵子さんには来ないでと言ったの?」
「そういう話にすると、おかしくなるだろ。母親が2いたら、説が変だから」
「私は、お元気なら緒にていただけるとっていたのよ」
優斗は膝に載せた類入れの角を押した。
「だから、あのだけの話なんだって。もう式は終わったんだから、これからのことを話そうよ」
也さんが私を見た。泣きそうな顔をされても、私の胸が穏やかになるわけではなかった。夫との過も、く息子のそばにいなかった事実も、なくならない。
それでも、彼女が欠席の事をらなかったことと、それまでのことは分けて考えなければならなかった。
「い、私が優斗を育てる責任を果たしてこなかったことは、謝って済むことではないとっています」
彼女はそう言い、私の招待状が載った棚へ目をやった。
「そのうえで、お祝いののお席まで奪うつもりはありませんでした」
私はその言葉に、許すとも許さないとも答えなかった。代わりに、今見せてもらったメッセージを記録として残したいと頼んだ。彼女は承し、連絡先を交換して、その画面を送ってくれた。
優斗は類入れからをした。管理会社から届いた、保証の変更についての案内だった。
「じゃあ、こっちを先に決めよう。也さんにお願いできれば、母さんにも負担がなくなるだろ」
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を彼女のへ滑らせたが、也さんはを伸ばさなかった。
「私は引き受けるとは言っていません」
「でも、母親なんだから、できることはしたいって」
「あなたと会って、話をしたいとは言いました。暮らしを支える約束はしていません」
優斗はを引き寄せ、私と彼女を順に見た。片方に断られればもう片方へ頼めると考えていたのだろう。さっきまで2の母親を困りもののように言っていた息子が、今はどちらの返事も変えられずにいた。
「それじゃ、何のために来てもらったんだよ」
「恵子さんと、お話をするためです。あなたの代わりに、誰かを説得するためではありません」
也さんはそう答えた。私も、保証の方法は管理会社と本で相談してほしいと伝えた。
優斗はしばらく類をしまえずにいたが、やがて角が折れたままの案内を鞄へ押し込んだ。来るには私が引き受けるはずだった問題を、自分で持って帰ることになった。
2が帰ると、隣にいた彦がてきた。途から会話を聞いていたらしく、卓の空いた席を見て舌打ちをした。
「余計なことまで話したな。さんには、あのはおに頼まれていたと説するからな」
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