"24年育てた息子の結婚式に、私の席はなかった" 第14話
私の名で働く
「伝票の理は、具体にどんなことをされていましたか」
品卸会社の面接で、担当者は私の履歴に目を落として尋ねた。事務の奥から、話を受ける声と、類をそろえる音が聞こえていた。
私はスーパーで続けてきた仕事を説した。納品された品物と伝票の数量を照すること。返品があったには控えを残し、発注した数と実際に届いた数を確かめること。できしたをい浮かべながら、経験した範囲を話した。
「表計算ソフトは、どの程度使えますか」
「決まった欄への入力はできます。自分で複雑な表を作る仕事は、まだ経験していません」
言い終えると、利なことを言ってしまったかもしれないとった。けれど担当者は、簡単な入力の課題をし、分からないところがあれば聞いてくださいと言った。
私は品名と数量を順に確かめた。操作に迷ってが止まったところは、そのまま尋ねた。ったふりをしてめるより、今できることを見てもらいたかった。
採用の連絡を受けたのは、面接から1週ほどたった頃だった。勤務と条件を確かめ、スーパーの仕事を引き継いでから、しい職へ通い始めた。
最初は保したファイルを探すにもがかかった。隣の担当者に教わった操作をノートへき、に帰って順を読み直した。
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研修に何でもできるようになったわけではないが、同じことを尋ねる回数はしずつ減っていった。
ある、入力の伝票を見て、注文の控えと規格が違うことに気づいた。同じ品名でも、箱に入っている数が違う。私は確認を頼み、修正された伝票を受け取ってから入力した。
「川さん、先に気づいてくれて助かりました」
担当者はそれだけ言って、次の仕事へ戻った。私は返事をしてから、自分のノートの端を押さえた。く続けてきた仕事が、ここでも役につことがうれしかった。
まいも決め直した。期賃貸をて、駅からし歩くアパートへ移った。賃は自分の収入で払い続けられる額にし、の清算で受け取ったおは、これからの暮らしのために分けて置いた。
しく買った卓はさかったが、仕事のノートと夕の皿を並べても困らなかった。器棚には、で何度も持ち比べて選んだ青いマグカップを置いた。
美恵子が遊びに来た、そのカップをにして笑った。
「恵子さん、こういうが好きだったのね」
「私も、選んでから気づいたの。に取ると、これがいいとって」
曜の午、急いで誰かの夕を準備する必はなかった。私たちはお茶をみ、くにあるの話をした。次に会うは、互いの予定を確かめて決めた。
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しい職から最初の与細を受け取った夜、彦から連絡が来た。
《もう1度、2で暮らすことを考えないか。1では何かと便だ。今までのことは、お互いに流そう》
私は細を机に置き、その文章を読んだ。振り込まれた額だけでなく、勤務したも、自分の名も載っていた。来もここで働くために、覚えたい仕事があった。
《あなたと暮らし直すつもりはありません。今、復縁についての連絡は控えてください》
返事を送ったあと、携帯を伏せた。これから何をべるかを考え、蔵庫をけた。彦の返事を待ってから決めることは、もうなかった。
数、田弁護士から確認の連絡が入った。残っていた事務なやり取りのあとで、先は、もう1つ尋ねてよいですかと言った。
「優斗さんから、今もをお送りしてよいかと問いわせがありました。所をらせてほしいという話ではありません。受け取っていただけるか、先に確認してほしいとのことです」
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