"俺を脅し続けた同級生が、留守中の家で出会った男" 第2話
いがけない質問だった。
犬を飼った経験はない。
はかかる。
仕事だってまだ決まっていない。
普通なら断るところだった。
だが、段ボールのでさく震える犬を見ていると、どうしても「無理だ」と言えなかった。
両親がいなくなったあとの自分と、しなって見えたのかもしれない。
「……俺が飼います」
女の子の目が輝いた。
「本当?」
「ああ。も持ちだから、さんにられることもないし」
犬塚という男はしばらく俺を見ていたが、やがてく頷いた。
「途で捨てるなよ」
「そんなことしません」
「なら頼む」
そのから、俺の暮らしはではなくなった。
犬にはマロンと名付けるつもりだった。
ところが女が帰り際に言った。
「ワンコって名にしよう」
「そのままじゃない?」
「かわいいでしょ?」
柄な犬塚が無言でこちらを見ている。
俺は即座に頷いた。
「ワンコにします」
こうして俺のには、茶い雑種犬のワンコがやってきた。
そして俺はまだらなかった。
こののに会った女と恐ろしく無な男が、き詰まっていた俺のを、いもしない方向へかしていくことになるとは。
ワンコが来てから、朝起きる理由ができた。
以は予定のないは昼くまで布団のにいることもあったが、今は7になると枕元でを鳴らされる。
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仕方なく起きて散歩へき、帰れば餌をやって自分の朝飯も作るようになった。
「お、俺より規則正しいな」
そう話しかけると、ワンコは尻尾を振った。
返事などしないのに、議とのが静かではなくなった。
そして週末になると、あのの女が遊びに来るようになった。
名はメイ。
犬塚も必ず緒だった。
は毎回、きな袋にドッグフードやおやつを詰めて持ってきた。俺が「こんなにもらえません」と言っても、犬塚は「ワンコの分だ。おにやってるんじゃねえ」と押しつけてくる。
「ワンコ、元気だった?」
「昨も会っただろ」
「昨と今で違うかもしれないもん」
メイはそう言いながらワンコを抱きしめる。
犬塚は縁側に座り、その様子を妙に満そうに眺めていた。
最初はメイの父親だとっていた。
しかし、どうも違うらしい。
「犬塚、ジュース」
「はい、お嬢」
「犬塚、おやつ」
「はい、お嬢」
「犬塚、そこ邪魔」
「すみません、お嬢」
学にここまで従順なを、俺は初めて見た。
逆に気になって仕方ない。
だが犬塚の顔を見ると、とても「どういう関係なんですか」と聞ける雰囲気ではなかった。
その代わり、俺はしずつ犬塚とも話すようになった。
無で怖いが、に面倒見がいい。
ワンコの予防接種について俺が何もらないと分かると、物病院を紹介してくれた。
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首輪も、物は切れることがあると言って丈夫なものを持ってきた。
「犬塚さんって犬好きなんですね」
「別に」
「かなり詳しいですよ」
「昔飼ってただけだ」
そこで話は終わった。
度、俺が冗談半分で言った。
「犬塚さん、俺でよかったら友達になります?」
すると犬塚は本気で嫌そうな顔をした。
「何で俺がおと友達にならなきゃいけねえんだ」
「そんな全力で断らなくても」
「俺はお嬢と友達になりたいんだ」
メイが呆れた顔を向ける。
「と子どもは普通、友達って言わないよ」
「じゃあ何ならいいんですか」
「犬塚」
「はい」
どうやら犬塚にとって、それで分らしい。
そんな変わったのおかげで、俺の活はしずつるくなった。
ハローワークで採用通を渡されても、以ほど落ち込まなくなった。帰ればワンコがいるし、週末になればメイと犬塚がやって来る。
きていて楽しい。
そんなふうにったのは久しぶりだった。
ただつ。
健のだけは変わらなかった。
ある夕方、インターホンが鳴った。
画面を見て胸が沈む。
健だった。
「ある?」
玄関をけるなり、挨拶もせずそう言った。
「今はもう無理だよ」
「無理じゃねえんだよ。作れよ」
その声に反応して、廊の奥からワンコがてきた。
健は眉をひそめた。
「何だ、その犬」
「飼い始めたんだ」
「へえ。ないって言ってる奴が犬飼ってんの?」
健はワンコへづいた。
ワンコがく唸る。
「お、俺に吠えてんのか?」
「健、やめろよ」
俺がへ入ると、健は笑った。
「相変わらずえな、お。
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