"嫁の「逃げて」で暴かれた妻の計画" 第11話
美佐との婚続きもめた。
類へ署名した、なほど涙はなかった。
たぶん、私がしていた《美佐》というは、最初から私のにしかしていなかったのだ。
優しい妻。
毎朝噌汁を作ってくれる。
がたいと言って包んでくれる。
その姿は、私の財産へづくために作られた役だったのかもしれない。
それでも、全部が嘘だったと断言することさえ、私にはできない。
の気持ちはそこまで簡単ではないからだ。
もしかすると3のどこかで、本当に穏やかながあったのかもしれない。
しかし、私を病に仕て、を無して施設へ入れようとし、財産までかそうとした事実が消えることはない。
私はその事実だけを見てきることにした。
再び暮らしになったは、最初の頃ひどく静かだった。
朝、自分で噌汁を作る。
洗濯を回す。
散歩へる。
誰かが「あなた」と呼ぶ声はない。
それでも、議と以ほど孤独ではなかった。
ある週末、インターホンが鳴った。
ドアをけると桜がきなバッグを持ってっていた。
「お義父さん、蔵庫見せてください」
「挨拶より先にそれか」
「になったからって、どうせ適当にべてるでしょう」
桜はのいい女性ではない。
昔から言葉もい。
しかしキッチンへ入ると、持ってきた容器を次々蔵庫へ入れ始めた。
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根の煮物。
魚の蛮漬け。
ひじき。
噌汁の具。
「こんなにべきれないよ」
「凍してください」
「はいはい」
私はそのろ姿を見ていた。
美佐はいつも優しい言葉をくれた。
桜はほとんどくれない。
それでもあの、危険をじた瞬に何も迷わず私へ話をしてくれたのは桜だった。
「桜」
「はい?」
「ありがとうな」
彼女が振り向く。
「あの、おが話してくれなかったら、私はどうなっていたか分からない」
「急に何ですか」
「血もつながっていないのに、よくそこまでしてくれたとって」
桜はしばらく私を見ていた。
それからし眉を寄せた。
「血がつながってるとか、つながってないとか、関係あります?」
「え?」
「お義父さんはお義父さんでしょう。族じゃないですか」
それだけ言うと、彼女はまた蔵庫へ向き直った。
私はの奥がくなるのをじた。
族とは、優しい言葉をくれるのことだとっていた。
違った。
本当に困った、何も得にならないのにって来てくれる。
危険なら危険だと言ってくれる。
違っていれば止めてくれる。
たぶん、そういうを族と呼ぶのだ。
也も以より頻繁に顔を見せるようになった。
男同士なのでげさな会話はない。
「元気?」
「見れば分かるだろ」
「飯ってる?」
「桜がほど置いていく」
そんな程度だ。
それでも緒に夕飯をべるが、以より切にえるようになった。
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季節がつ巡った。
桜がこんなことを言った。
「お義父さん。野へきませんか?」
私はし黙った。
「あののことがあるから嫌でしょうけど、野そのものが悪いわけじゃないでしょう。本当は葉、見たかったんじゃないですか」
私は窓のを見た。
い錠剤。
サービスエリア。
たい目で私を探す美佐。
全部が瞬で戻ってきた。
しかし今度は、その記憶の最に桜の声があった。
《お義父さん、く逃げてください》
「こうか」
私は言った。
「今度はで」
数。
私たちは再び速をった。
あのと同じサービスエリアにもち寄った。
駐へ入った瞬だけは胸がざわついた。
しかし、をりると也が缶コーヒーを買いにき、桜が「お義父さん、何みます?」と普通に聞いた。
ただそれだけの景だった。
「温かいのを頼む」
「ブラック?」
「今は甘いやつ」
「珍しいですね」
そんなやり取りをしているうちに、あのの恐怖はしずつれていった。
野の諏訪へ着くと、古は赤や黄の葉に包まれていた。
美佐が言っていた通り、本当に美しい所だった。
ただし、私の隣を歩いているのは彼女ではない。
也と桜だった。
展望のけた所で、桜が通りかかったへ頼んだ。
「すみません。3で写真を撮っていただけますか?」
私は真んにった。
也が。
桜が。
「お義父さん、もうし笑ってください」
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