みかん小説
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"20人の宴会、妻は2つの鞄を用意していた" 第13話

18万円の仕事

美紀が仕事を再した最初の朝、私は午8に優奈を迎えにった。事に決めた曜だけ幼稚園へ送り、午5まで預かる。それが、美紀が3週の仕事へ集するための分担だった。

玄関から見えた机には、彩から返してもらったノートパソコンとさなペンタブレットが並んでいた。5ぶりに起した制作ソフトの画面をに、美紀は何度もショートカットキーを確かめている。

机の横には、会社員代に作った画面設計のファイルが積まれていた。母が同居していた頃は着物箱のに押し込まれ、所さえなかった物だ。美紀は古い制作物をそのまま使うのではなく、今の基準と違う部分に付箋を貼り、学び直す項目を理していた。

「5空いてるから、と同じようにはできない。でも、できないままかどうかは、やってみないと分からない」

緊張していても、誰かに許を求める声ではなかった。

「無理なら断ってもいいんじゃないか」と言いかけ、私はやめた。配する形で、美紀の選択を私が決めるところだった。

「優奈の迎えは任せて。変更があれば連絡する」

私がそう言うと、美紀はく頷き、画面へ向き直った。

依頼されたのは、品宅配サービスの注文画面を齢者にも使いやすくする改修だった。文字のきさ、ボタンの位置、誤操作を防ぐ確認表示。

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美紀は以覚だけに頼らず、最の仕様を調べ、3つの案を作った。

作業初は、1かけても納得できるボタンが1つしかできなかったという。昼にもをつけず修正を続けようとした、彩から「以と同じ速さでなくていい」と連絡が来た。美紀はそこで初めてパソコンを閉じ、温め直したスープをんだ。

初回のオンライン会議では声がかったが、担当者から「利用者が迷う理由をよく見ていますね」と言われると、表し緩んだという。

その、私は週3回、優奈を迎えにった。夕は弁当で済ませず、簡単でも自分で作る。の皿は器洗いへ入れ、優奈には伝いを求めなかった。

会社で会議が引いたもあった。以なら「今は無理」と美紀へ連絡していただろう。私は事に決めた同僚へを引き継ぎ、幼稚園の閉園刻より20分く着いた。

優奈はで待つ私を見つけても、すぐにはってこなかった。先に促され、ゆっくりづいてくる。私は「遅くなってごめん」と言いそうになり、には遅れていないことに気づいた。娘は、約束どおり来るかどうかを確かめていたのだ。

「今は来たね」

その言を、私は忘れないようにした。

ある、優奈が自分のコップを持ってきた。

「これ、優奈が入れてもいい?」

「したくなっただけでいいよ」

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私が答えると、娘は器洗いへそっと置いた。皿の音がしても肩をすくめなかった。それだけの変化にしそうになったが、回復を急かしてはいけないとい直す。

3週、美紀は納品を終えた。修正は2回で承認され、契約どおり18万円の請求を送った。入を確認した美紀は、通帳を閉じるにしばらく額を見つめていた。

「昔は、もっときな仕事もしてたのにね」

額だけの話じゃないんだろう」

「うん。これは、私が自分で決めて働いて、私の名で受け取ったおだから」

美紀は18万円の部で、しい仕事用の子を買った。残りをどう使うかは私に相談しなかった。それが当然のことなのだと、私はを挟まず受け止めた。

子が届いた、優奈は段ボールにクレヨンで〈ママのおしごといす〉といた。美紀はその部分だけを切り取り、机の横へ貼った。宴会の蔵庫から剥がされていた娘の絵と並び、に母子のが戻っていった。

翌週、私はカウンセリングでげた封筒を美紀へ渡した。表には、こう記していた。

〈私が見なかった11か

美紀は封をけず、私に尋ねた。

「これは、許してもらうためにいたの?」

私はすぐに答えられなかった。正しい返事を探していること自体、まだ許しを得るための文章にしたい気持ちが残っている証拠だった。

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