"3か月寝たきりの娘を、婿に黙って連れ出した日" 第6話
見つけてほしかったもの
「嫌になんてなっていないよ。ずっと会いたかった」
私は子をベッドへ寄せた。なぜそうったのか、すぐに聞きたかったが、さやかが顔をげるまで待った。
「あのがね、お母さんはもう疲れたんだって。私のことを、厄介者だとってるって」
娘の声は細かった。私は掛け布団を握りそうになったを、膝へ戻した。
「お母さんが部に来るにも、言われたの。余計なことを話して、これ以お母さんを困らせるなって」
病院へこうと誘ったとき、娘が健を見てから首を振ったことをいした。あのとき私は、娘自も今の治療を望んでいるのだと受け取った。
「私が病院の話をすると、った?」
さやかは頷いた。眠くて考えられないがく、起きているときには同じ説を繰り返されたという。母親まで自分を見放しているのなら、夫に従うしかないとってしまったのだと。
「でも、怖くなって……別のお医者さんに診てほしいって言った。そうしたら、お母さんに何があってもらないぞって」
娘はそこで息を継いだ。私は枕元の呼びしボタンを押した。護師が様子を見て、今は休みましょうと言うと、さやかは何かを言い残すように私を見た。
「話はあとで聞けるから。今はここまでにしよう」
私はそのに触れた。
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娘は私を困らせまいとして黙っていた。私は、黙っている娘を納得している娘だとっていた。そのに健が入り込み、私たちの言葉を別のへ変えていた。
次にゆっくり話せたのは、さらに数たってからだった。医師は状態がしずつ落ち着いてきたと説してくれたが、傷の治療も栄養状態の改善も、まだ先がかった。
私は着替えを理しながら、から必なものを持ってこようかと尋ねた。娘は考え、急に顔をげた。
「お母さん、あの布団、まだ捨ててない?」
畳んでいた肌着を、私は鞄のへ置いた。
「捨てていないよ。何か、残しておきたいものがある?」
「ベッドの横……隙に、薬があるの。赤いのが2つ」
私は娘を見た。見つかった薬について、まだこちらからは話していなかった。
「んだふりをして、残したの。捨てたら、もう何をまされていたか分からなくなるとって」
健はみ終わった器や袋を片づけ、部のごみも自分で持ちしていたという。娘が残せたのは、ベッドのすぐ脇に隠した2錠だけだった。
「見つかるのが怖くなかった?」
「怖かった。掃除すると言われるたびに、そこを見てしまいそうで。でも……」
さやかは窓の方を見た。カーテンの隙には午のがあった。で話すときのように入ばかりを気にせず、そのを見ながら続けた。
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「私がいなくなったあと、お母さんが片づけるかもしれないでしょう。そのとき、これをんでいたんだって、分かってほしかった」
持っていた肌着が膝から落ちた。私は拾えなかった。
娘は、私が扉をけるを信じて待っていたわけではなかった。自分がいなくなった部で、私が何を見つけるかを考えていた。
「ちゃんと見つかったよ」
顔をげたさやかに、私はもう1度言った。
「あなたが指した所を、警察のに調べてもらったの。2つとも、事に預かってくれている」
さやかは目を閉じた。目尻から流れた涙がの方へ落ち、私は柔らかいでそっと押さえた。娘をく抱きしめる代わりに、傷に触れないところへを置いた。
「お母さん、あのとき来てくれたんだね」
「遅くなって、ごめんね」
謝って済むとってはいなかった。今すぐ許してほしいとも言えなかった。ただ、娘が残そうとした言葉を、本の声で聞けたことを、私は繰り返し確かめていた。
娘は私の袖に指をかけた。私はその指をほどかず、子に座り直した。
その、さやかは医療側と相談しながら、いに分けて警察にも話した。私が代わりに説するのではなく、娘自の記憶を聞いてもらった。疲れたら途でやめてよいと言われ、娘は自分で休憩を頼むこともできた。
ある聴取のあと、廊で待っていた私に、刑事が声をかけた。
庭内の事や薬の扱いについて、改めて確かめたいという。
「健さんは、自分だけが用したのではないと説しています。お母さんが与えたものもある、と」
私は瞬、娘の病へ戻りかけたを止めた。
娘が助けてくれと声もせない状態になったことまで、私のせいにするつもりなのだろうか。
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