"妊娠8か月の私に28人分のおせちを作らせた義母" 第2話
私が作ればは保証される。妊娠をにホテルを退職した私にも、宅で続けられる仕事になる。売が定したら共同経営者として名をすから、今は梨のを応援してほしい。それが彼女たちの理屈だった。
「私は共同経営を頼んでいません。今は作りません」
そう言ってエプロンをすと、千鶴子は玄関のへった。閉じ込めるような激しいきではない。ただ、私が靴を履こうとすれば体が触れる位置にち、い声で言った。
「今やめたら、梨が詐欺師みたいになるのよ。康平の妹を困らせて平気なの?」
「困らせたのは、注文を受けたです」
「あなたが昨まで作ると言ったから、受けたの」
私は族6分ならと答えただけだ。しかし義母は、言った言わないの話へ持ち込もうとした。義父も居からてきて、「今だけ丸く収めればいい」と私をなだめた。
私はスマートフォンの録音を始し、エプロンのポケットへ入れた。ホテルでトラブルが起きた、記憶だけで報告をかないことを教えられていた。自分が今すぐをられないとしても、何が起きたかは残せる。
「誰が、何分を、いくらで受注したのか、もう度説してください」
私が尋ねると、梨は骨に眉をひそめた。千鶴子は質問には答えず、康平も承していると繰り返した。
広告
注文していた料理が取り消された件も夫へ報告済みだという。
私は宅配料理の名を聞き、洗面所へ入って検索した。公式サイトに毒や営業止の告はない。話をすると、私たちの所で1231受け取りの迎料理6分が予約されていたが、1226に注文者本からキャンセルされていた。
注文者は康平だった。キャンセルの連絡をしたのは女性で、「妻の入院が決まったためになった」と説していたという。返先は、支払いに使った康平のカードではなく、側が案内した振込で別名義の座が指定されていた。
私は録音を止めず、台所へ戻った。
「注文したで毒がたというのは、嘘ですね」
義父が聞から顔をげ、梨のが止まった。千鶴子だけはじず、「急に休業したと聞いただけ」と言い換えた。返のことを尋ねると、今度は梨が「仕入れ代へ回した」と認めた。
康平は料理代と末の事代費として、計18万4000円を払っていた。そのうち料理代12万6000円が梨の座へ移され、材購入に使われたという。残りの事代は、予約そのものがキャンセルされていた。
「兄さんのおなんだから、族のために使って何が悪いの」
「康平は、私を休ませるために払ったんです」
「同じで料理が完成するなら、結果は同じでしょう」
広告
梨は本気でそうっていた。完成した料理が並び、族がび、将来の商売にもつながる。途で誰が何ち続けるかは、彼女の考える“結果”に含まれていなかった。
私は産科へ話した。助産師は症状を聞くと、すぐ横になって血圧を測り、が140を超えているか、目のちらつきが続くなら受診するよう言った。居の血圧計で測ると、は152だった。
「病院へきます」
私がコートを取ると、千鶴子は今度こそを空けた。ただし、は義父が朝から酒をんだためせず、タクシーはで40分以かかるという。梨は配達用にを使うから送れないと断った。
私は配アプリをいた。すると梨が、作業台に置かれた注文表を裏返した。の裏には、翌に域の信用庫へ提する《創業計画》の部が印刷されていた。
融資希望額は500万円。
共同経営者の欄には、やはり私の名があった。
タクシーが来るまで、私は創業計画を撮した。梨はを取り返そうとしたが、私は腹をかばって歩がり、「触らないでください」と言った。義父はようやくちがったものの、娘を止めるのではなく、私たちのへ曖昧にをしただけだった。
計画には、私がホテルで12、調理に従事したとかれている。実際は宴会調理の補助から始まり、半はメニューの原価計算やアレルギー表示の確認を担当していた。
数字そのものはきく違っていないが、私は梨の事業へ参加すると度も言っていない。
広告
おすすめ作品
-
完結第10話
腎臓をあげた私に離婚届――夫の隣には若い女
三歳の娘を育てる裕子は、重い腎臓病になった夫・英司を救うため、自分の腎臓を一つ提供した。ところが手術後、体調を崩した裕子を待っていたのは、夫からの暴言と冷たい仕打ちだった。やがて英司は、若い女との新生活を理由に離婚届を突きつけ、娘まで奪おうとする。そんな裕子の味方になったのは、意外にも義母だった。命を救ってくれた妻を平然と捨てようとする夫。すべてを失いかけた裕子は、娘と自分の人生を守るため、反撃を決意する。夫婦|真実|裏の顔|真相|第二の人生1.4万字5 286 -
完結第12話
新婚旅行に便乗する義母を空港に残した結果
新婚旅行で大阪へ向かうみちると健二。ところが、何かと二人の予定に入りたがる義母・恵子が「私の航空券も買って!」と空港から電話をかけてきた。何度断っても諦めない義母を避け、二人は夜行バスで出発。これで夫婦水入らずの旅行になるはずだった。しかし恵子は、二人の荷物に目をつけ、とんでもない方法で後を追おうとする。さらに健二の友人・圭司の借金騒動まで絡み、大阪では思いもよらない珍事件が発生。暴走する義母と、それに振り回される人々のドタバタコメディ。嫁姑|夫婦|真相1.3万字5 281 -
完結第18話
3年ぶりの帰省、弟嫁がゴミ箱を漁っていた理由
32歳の玲奈は、3年ぶりに実家へ帰り、弟の妻・南が別人のように痩せていることに驚く。夕食の席でも南の前には料理がなく、家族は誰も気に留めない。その深夜、台所で物音を聞いた玲奈は、ゴミ箱を漁る南の姿を目撃する。「食べられるものを探していました」――その言葉をきっかけに、母と弟が南に強いていた異常な暮らしが明らかになっていく。さらに、南が隠し持っていた手帳には、翌朝に迫る恐ろしい約束が記されていた。玲奈は弟嫁を守るため、信じていた家族と向き合う決意をする。因果応報|人生逆転|兄弟姉妹|嫁姑|夫婦|修羅場2.4万字5 615 -
完結第12話
五歳の母ちゃん
両親を事故で亡くしたシンジは、五歳の妹・楓を育てながら、昼も夜も働いていた。そんなある日、楓が「母ちゃんが来た」と言って連れてきたのは、同じ保育園に通う五歳の少女・リサだった。ところが彼女は、家族しか知らない昔の出来事を次々に話し、シンジを息子のように気遣う。信じられない再会に戸惑いながらも、兄妹は少しずつ彼女に心を開いていく。しかし、リサ自身の記憶が薄れていくという異変が起こり始める。もう一度母に会いたかった兄妹が、大切なものを守るために選ぶ道とは。兄弟姉妹|真実|真相|第二の人生1.2万字5 153 -
完結第12話
結婚式に来ないと怒鳴る義母→義父「もう会場にいるぞ?」
母の美容院を継いだ誠は、医師の新と結婚して三年。夫婦仲は良好だったが、医者一家の義母からは学歴や職業を理由に見下され、嫌がらせを受け続けていた。そんな中、義弟の陸が看護師のかな子と結婚することに。義母は二人の豪華な披露宴を自慢し、誠への嫌味をますます強めていく。そして迎えた結婚式当日。朝早くから会場にいた誠のもとへ、義母から突然の怒鳴り電話がかかってきた。しかし、義父が電話を代わった瞬間、思いがけない事実が浮かび上がる。嫁姑|夫婦|真実|裏の顔1.6万字5 411 -
完結第10話
正月の高級焼肉、嫁の席だけ外した義母の誤算
結婚して六年、藤森美代は毎年正月になると、夫の実家で親戚たちの世話を押しつけられていた。集合写真にさえ入れてもらえず、いつも一人だけ台所で過ごしてきた。今年は赤坂の高級焼肉店で集まると聞き、ようやく皆と食事ができると思っていたのだが、出発直前、義母から「嫁の分は予約してない」と告げられる。怒った夫はその場で帰宅を決意。ところが、二人が帰った途端、義母と義姉は思いがけない事態に追い込まれる。高級焼肉の予約に隠されていた、二人の本当の狙いとは……。兄弟姉妹|嫁姑|夫婦|ATM扱い1.7万字5 1796 -
完結第12話
結婚式当日「新婦が救急搬送」私、ここにいますけど?
高校時代から付き合ってきた健二と、ようやく結婚することになった警察官の愛。式の準備をほとんど任せきりにする健二に寂しさを感じながらも、愛は幸せな結婚生活を信じていた。 ところが結婚式当日の朝、式場に「新婦の愛さんが病院に運ばれた」という連絡が入る。愛本人は、ウェディングドレス姿で控室にいるというのに。 しかも病院の女性は、健二を呼んでほしいと言っているらしい。そこへ遅れて現れた健二は、愛の姿を見るなり顔色を変えた。 病院にいる「愛さん」は誰なのか。そして、長年信じてきた婚約者が隠していた秘密とは――。因果応報|人生逆転|夫婦|修羅場1.3万字5 900 -
完結第18話
夜勤明けに鍵を替えられた私
看護師長として働く千歳は、後輩に昇進で追い抜かれ、仕事を休みがちになった夫・徹を支えようとしていた。ところが徹は次第に横柄になり、家事を押しつけ、「妻なら夫に従え」と言い始める。そんなある朝、夜勤を終えて帰宅した千歳は、玄関の鍵が替えられていることに気づく。「ダメ嫁への躾だ。謝れば入れてやる」と笑う夫に、千歳は「あっそ。さようなら」とだけ告げて立ち去った。妻が本気で戻らないと知った徹は、どんな行動に出るのか。自分の人生を取り戻そうとする女性の再出発を描く物語。人生逆転|嫁姑|夫婦|金銭問題2.6万字5 1025 -
完結第10話
もやしと消えた仕送り
フリーランスのデザイナーとして働く里見は、一人暮らしの母・春江に毎月10万円を仕送りしているつもりだった。ところが、久しぶりに訪ねた実家で目にしたのは、冷やご飯ともやしだけの寂しい食卓。母は仕送りなど一度も受け取っていないと言う。家計を任せていたのは、優しく頼りになる夫の久し。疑念を抱いた里見が夫のスマホを確かめると、そこには信じがたい送金記録と、妻をあざ笑うメッセージが残されていた。さらに、夫が隠していた給与明細にも不可解な数字が……。信じていた家族の裏切りを知った里見の反撃が始まる。裏切られた|嫁姑|親子関係|金銭問題1.5万字5 882 -
完結第10話
「中卒女に現場は無理」職人10人が辞めた結果
中学卒業後、十五歳で職人の世界に飛び込んだ堀江千夏。三十二歳で工務店の現場責任者に抜擢されるが、古参の職人頭・岩木は「中卒の女に現場が回せるか」と嘲笑う。やがて岩木を含む十人が一斉に退職。大型介護施設の改修工事は納期目前なのに、残された職人はわずか三人だった。しかし千夏には、十七年間積み重ねてきた技術と、二十冊を超える黒い手帳があった。仲間とともに現場の立て直しに挑む千夏。その一方で、手帳に記された資材の数字が、会社に隠された不審な事実を浮かび上がらせていく。職場逆転|因果応報|人生逆転|修羅場1.3万字5 363