"父の「一万円」に隠された借金" 第4話
父は京で何を見ているのか。
何をそんなに嫌がっているのか。
から落ちてもへらせない。
借してまで仕送りする。
その京を、隆夫は何もらない。
に入り、学が休みへ入る直。
隆夫は担任の野寺へ言った。
「先」
「何だ」
「京きたいんですけど」
野寺は笑った。
「就職の話か」
「違います。休みに」
「で?」
「父ちゃんのところ見に」
野寺の表がし変わった。
「お父さんには言ったのか」
「言いません」
「られるぞ」
「分かってます」
それでも隆夫は決めていた。
自分の目で見なければ、父の言葉も、自分のも、何も決められない。
しのは最初、反対した。
「京なんてで」
「父ちゃんの所分かるだろ」
「分かるけど」
「ってくる」
母はしばらく隆夫の顔を見ていた。
やがて箪笥から封筒をした。
「これ」
には旅費が入っていた。
「父ちゃんには言わないからね」
「うん」
「着いたら報でもいいかららせなさい」
「分かった」
発のの夜。
隆夫は夜列へ乗った。
窓のの景が、暗のを流れていく。
をれるのは、修学旅を除けば初めてだった。
父が毎通っている。
父が万円を作るために往復している。
隆夫はい座席へ体を預けながら、眠れない夜を過ごした。
そして翌朝、列が野へづく頃。
窓のから、が消えていた。
野駅へりた瞬、隆夫はち止まった。
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の流れが、の祭りのより激しかった。
きな荷物を抱えた。
背広姿の会社員。
制の学。
駅員の声。
靴音。
汽の蒸気と、どこからともなく漂う煙の匂い。
駅からると、にはが途切れずっていた。トラックが何台も連なり、くには事の架が伸びている。父が話していた「どこへっても事している京」は、誇張ではなかった。
隆夫は、母から聞いた所を何度も見ながらとバスを乗り継いだ。
昼を過ぎた頃、ようやく父が暮らす飯へ着いた。
細いトタン張りの建物だった。
隆夫が像していた社員寮とはまるで違う。
入にはのついた靴が並び、洗濯物がに揺れている。へ入ると、汗と湿った作業着と煙が混ざった匂いがについた。
「誰だ?」
配の男が奥からてきた。
「佐藤栄吉の息子です」
「栄吉さんの?」
男は目を丸くした。
「形から来たのか」
「はい」
「親父さん、まだ現だよ」
隆夫は飯のへ通された。
部に。
い布団。
さな棚。
壁には作業。
父の寝所は番奥だった。
布団の横の箱に、族写真が枚てかけてある。
の正。
こたつに入る母、隆夫、子。
とも笑っている。
父だけが写っていない。
撮ったのが父だからだった。
隆夫は写真をに取った。
その裏には、栄吉の字でくいてあった。
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《昭正》
ただそれだけ。
「栄吉さんな」
配の男がろから言った。
「毎晩それ見てるよ」
隆夫は振り返った。
「毎晩?」
「ああ。酒むでもないし、博打もしない。料ても使わんだ」
「じゃあ、何で借なんか」
男の表が変わった。
「お、ってるのか」
「会社から来ました」
男はし困ったような顔をした。
「それは親父さんから聞いた方がいい」
夕方。
仕事を終えた男たちが次々と戻ってきた。
でくなった作業着。
埃のついた顔。
疲れた取り。
そのに父がいた。
隆夫を見るなり、栄吉はを止めた。
「……何してる」
「来た」
「見りゃ分かる」
「父ちゃんの仕事見に」
栄吉の顔が険しくなった。
「誰に所聞いた」
「母ちゃん」
「しのが来いって言ったのか」
「俺が勝に来た」
「帰れ」
「今来たばっかりだよ」
「帰れ」
隆夫も腹がった。
「何でそんなに俺に京見せたくないんだよ」
周囲の男たちが気まずそうに線をした。
「借までして万円送って、何格好つけてるんだよ」
その言葉を聞いた瞬、栄吉の顔が変わった。
隆夫の腕を掴む。
「ろ」
「痛いよ」
「来い」
飯のまで引っ張りされた。
「で何言ってる」
「本当のことだろ」
「だからって」
「怪したことも言わない。借したことも言わない。何なんだよ」
栄吉は息子を睨んだ。
「おには関係ない」
その言で、隆夫のりが爆発した。
「関係あるよ! その借りた、俺らが使ってるんだろ!」
栄吉が黙った。
隆夫はそこで、父のち方に違を覚えた。
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