"父の「一万円」に隠された借金" 第7話
だったら、自分で選ぶしかない。
帰りの列に乗る、隆夫はもう晩だけ飯に泊まった。
夕、男たちが将を指したり煙を吸ったりしている、栄吉は珍しく昔の話をした。
父が最初に京へたのは、隆夫がまだ歳の頃だった。
その、形はだった。
米の収入だけでは、までの活費がりない。
子はまだまれていない。
祖父も病気がちだった。
「最初はいくら送ったの」
隆夫が聞く。
「千円」
「万円じゃなかったの?」
「そんなに稼げなかった」
翌は千円。
その次は千円。
目の、初めて万円送れた。
しのからが届いた。
《万円もありがとう。これで隆夫の靴が買えます》
「それからだ」
父は言った。
「何が」
「万円にした」
隆夫は父の顔を見る。
「毎?」
「ああ」
「何で」
「万円送れば、は何とかなるとった」
いつしか数字が約束になった。
京へく。
万円を送る。
に帰る。
栄吉ので、そのつが父親としての役割になっていった。
「度決めたら、変えられなくなった」
「誰も変えるなって言ってないだろ」
「分かってる」
「母ちゃんだってってた」
「ああ」
「じゃあ何で」
栄吉は笑わなかった。
「見栄だな」
隆夫はだった。
父が自分で認めるとはわなかった。
「父親が見栄張っちゃ駄目なのか」
「借するほど張るなよ」
それには栄吉も苦笑した。
しばらくして、父は言った。
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「お、帰ったら母ちゃんに言っとけ」
「何を」
「来は減るかもしれんって」
「自分で言えば」
「に帰ったら言う」
「逃げるなよ」
「うるさい」
その、崎が横から笑った。
「栄吉さん、息子には勝てないですね」
「おは黙ってろ」
飯に笑いが起きた。
隆夫は初めて、父が京で誰かと笑っているところを見た。
父はここでではなかった。
苦しいだけでもない。
仲がいて、仕事があり、には笑う。
それも京の部なのだ。
翌朝。
栄吉は野駅まで隆夫を送った。
ホームには、方へ帰る、京へ来たが入り混じっている。
列が入る直、父が言った。
「隆夫」
「何」
「京来るなら」
隆夫は父を見る。
「俺みたいに、腕本で来るな」
隆夫はし笑った。
「分かった」
「勉嫌いでもやれ」
「分かったよ」
「あと」
「まだあるの?」
栄吉はし迷った。
「なくなったら言え」
隆夫は笑った。
「父ちゃんに?」
「ああ」
「借して送ってくるだろ」
栄吉は隆夫のを軽く叩いた。
「気言うな」
列がき始めた。
窓の向こうで父がさくなる。
京へ来るまで、父はきなだとっていた。
何でもっている。
何でもできる。
族を養うい。
今は違う。
父も迷う。
見栄を張る。
違える。
怖がる。
それでも働いている。
隆夫は、その方が以より父をくじた。
へ戻った隆夫は、希望調査を度返してもらった。
《京方面就職》
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といた文字を線で消す。
そのへ、
《械技術関係の職業訓練所・就職》
といた。
野寺はを見て笑った。
「京で何見てきた」
「いっぱい」
「お父さんの仕事も?」
「はい」
「どうだった」
隆夫はし考えた。
「俺がってた京と違いました」
「悪かったか」
「悪いっていうより……」
うまく言葉にならない。
「きいものの裏に、がいっぱいいました」
野寺は頷いた。
「当たりだけど、見ないと分からんよな」
それから教師は、県内の職業訓練所、械、卒業者を採用する会社の資料を集めてくれた。
隆夫は初めて、自分が京へくことと、技術を学ぶことを緒に考えるようになった。
ただ「からたい」だけではなくなった。
方、しのは夫の借をどう返すか考えていた。
計簿の余に数字をく。
農協への支払い。
の肥料代。
隆夫の費用。
子の学用品。
削れるものはくない。
「俺、京くのやめようか」
ある晩、隆夫が言った。
しのは顔をげた。
「何で」
「かかるだろ」
「だから?」
「父ちゃんの借もあるし」
母は鉛を置いた。
「隆夫」
「何」
「父ちゃんが借した理由、分かった?」
「に送るため」
「そうだね」
「だから」
「じゃあ、そのせいであんたがやりたいことやめたら、お父ちゃん番嫌がるよ」
隆夫は黙った。
「それに」
しのは計簿を閉じた。
「借は族で返せばいい。でもまで返済に使う必ない」
母がそんな言葉を言うとはわなかった。
「母ちゃん、変わったな」
「何が」
「なら京やめろって言いそう」
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