"父の「一万円」に隠された借金" 第8話
「は京のことらなかったからね」
「今もらないだろ」
「父ちゃんが毎、何も言わずくところだとってた。でも、今回し分かった」
しのは仏壇の現留を見た。
「らないって怖いね」
隆夫にも、そのが分かった。
父は族を配させたくなくて何も話さなかった。
族も「万円が届くから丈夫」とい込み、何も聞かなかった。
互いをっているのに、互いの苦しさをらなかった。
。
栄吉がへ帰ってきた。
玄関をけた父は、例よりし痩せていた。
「ただいま」
子が真っ先にっていく。
しのは荷物を受け取り、隆夫は父のを見る。
「まだ痛い?」
「しな」
夕。
しのが計簿を持ってきた。
「あなた」
栄吉は嫌な予がしたらしく、箸を置いた。
「何だ」
「来から決めます」
「何を」
「仕送り」
栄吉の顔が張る。
「毎万円じゃなくていいです」
「でも」
「稼げたら万円でも、万千円でもいい」
「……」
「で仕事がなかったら千円」
「……」
「怪したらゼロ」
栄吉が顔をしかめる。
「ゼロはまずいだろ」
隆夫がを挟んだ。
「ゼロなら“今はゼロ”ってけばいい」
父が睨む。
「簡単に言うな」
「借して万円送る方が簡単じゃないだろ」
子が笑いをこらえた。
しのも元を緩める。
「そういうこと」
栄吉だけはしばらく満そうだった。
けれど最には、さく言った。
「分かった」
その瞬から、万円は約束ではなくなった。
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からにかけ、佐藤の活は以より忙しくなった。
栄吉は田畑の仕事へ戻ったが、膝の痛みのせいで以ほどけない。隆夫が学から帰ると、い肥料袋を運び、田の畦を直した。
ある、栄吉が言った。
「お、勉するんじゃなかったのか」
「夜やる」
「農作業ばっかりしてたら京けんぞ」
「誰のが悪いからやってるとってるんだよ」
父は言い返せなかった。
それでも隆夫は勉を続けた。
数学。
械製図の基礎。
野寺から借りた技術関係の本。
難しい部分は何度も読み直した。
栄吉は表って褒めなかったが、夜に隆夫が机へ向かっていると、以より静かにしていた。
借の返済も始まった。
の農作業で得た現の部。
しのがの藁細で貯めていた。
栄吉が京から持ち帰ったわずかな残。
全部をわせても、まだりない。
「今の、く」
栄吉が言った。
しのは反対しなかった。
「ただし、無理しない」
「ああ」
「が痛かったら休む」
「ああ」
「借りしない」
栄吉は黙った。
「返事」
「分かった」
隆夫が横から言う。
「聞こえない」
「うるさい」
族の会話が、以よりしだけ軽くなっていた。
。
隆夫は県を通じて紹介された京の職業訓練所へ願をした。
同に、昼働ける械部品も探した。
格する保証はない。
活費も必。
簡単なではなかった。
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それでも以のように「京へきさえすれば何とかなる」とはっていない。
調べる。
準備する。
技術をつける。
それが父の失敗から自分が受け取ったものだった。
の終わり。
訓練所から通が届いた。
格。
隆夫は封筒をけ、しばらくけなかった。
「母ちゃん」
「どうした」
を見せる。
しのの顔がるくなる。
「よかったじゃない!」
栄吉は畑から戻ったばかりだった。
通を渡すと、無言で最まで読んだ。
「受かった」
隆夫が言う。
「ああ」
「何かないの」
「何が」
「おめでとうとか」
栄吉はを返した。
「まだってもないだろ」
隆夫は呆れた。
それでも父がその夜、で酒をしんでいたことを、母だけは見ていた。
昭。
隆夫はを卒業した。
京へ向かう朝、今度は自分がボストンバッグを持って留所へっている。
数まで父を見送っていた所。
今度は父と母が自分を見送っている。
「忘れ物ない?」
しのが何度も聞く。
「ないよ」
「所は」
「持った」
「は」
「ある」
栄吉は何も言わなかった。
バスが来る直、父が封筒を差しした。
「何これ」
「持っとけ」
には千円入っていた。
「いらないよ」
「京着いたら何かとかかる」
「借りたじゃないよね」
父が隆夫のを叩いた。
「馬鹿にするな」
「本当に?」
「田んぼの米売っただ」
隆夫は受け取った。
「ありがとう」
栄吉はしだけ頷いた。
京での活は、最初から楽ではなかった。
宿は畳半。
呂なし。
便所共同。
さな流し台を同じ階のと使う。
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