"父の「一万円」に隠された借金" 第9話
朝に起き、械部品へく。
旋盤の切り屑を片づけ、部品を運び、先輩の作業を見る。
夕方から訓練所へ通い、製図や械の基礎を学ぶ。
夜、宿へ戻るのはを過ぎた。
最初の週で、隆夫は父の言葉をいした。
京は仕事がある。
しかし、働かなければべられない。
賃。
費。
代。
教科代。
は驚くほどく減った。
それでも嫌ではなかった。
の旋盤が属を削る様子を見ているだけで面い。
図面通りに部品が来がる。
械の音。
油の匂い。
にしずつ技術が残っていく。
父が京へ来るなと言った理由は分かった。
同に。
自分が来たかった理由も違っていなかったとった。
。
京オリンピックがづくと、はますます騒がしくなった。
しい。
幹線。
テレビ。
には国の姿も増えた。
でも、
「これから本はもっと変わる」
という話を聞いた。
隆夫は京の変化のへ自分が入っていることを実した。
父の京と、自分の京。
同じ。
でもっている所はし違った。
京へて半。
隆夫は初めて実へ現留を送ることにした。
料はくない。
宿代。
費。
訓練所の費用。
しでも貯したい。
全部計算すると、送れるは千円程度だった。
郵便局で封筒をにした、隆夫は瞬迷った。
父なら万円にする。
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りなければ借りる。
けれど自分はしない。
千円を入れる。
にはこういた。
《初めての料から千円送ります。全部送ると父ちゃんみたいになるので、これだけです》
週。
父から返事が届いた。
《千円もいらん》
そのにしさく、
《母ちゃんが受け取った》
とある。
隆夫は宿で笑った。
さらにその次の。
実からが来た。
には、父が稼ぎ先から今送った額がかれていた。
千百円。
母の字で、
《で休みだったそうです。今はこれだけだって》
最に、
《ちゃんと言えるようになりました》
とある。
隆夫はその文を何度も読んだ。
父が変わった。
たった千百円減っただけ。
けれど佐藤にとっては、きな変化だった。
栄吉は初めて、
「今はりなかった」
と族にらせたのだ。
万円という仮面をした。
末。
隆夫は正休みでへ戻った。
父はまだ京から帰っていなかった。
の夕方、玄関がく。
「ただいま」
栄吉だった。
本来はまで戻らないはずなのに、現が数休みになるため、無理をして帰ってきたという。
「交通費もったいないだろ」
隆夫が言う。
「うるさい」
「借してないよね」
「してない」
父は自信を持って答えた。
しのが笑う。
卓には雑煮と漬物、しだけ酒。
が揃った。
栄吉が京の話をする。
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隆夫もの話をする。
以なら、
「京なんか」
と言っていた父が、
「旋盤覚えたか」
と尋ねる。
「まだ簡単なのだけ」
「械壊れた直せるのか」
「それはまだ」
「使えんな」
「じゃあ父ちゃん直してみろよ」
「俺はらん」
子が笑う。
しのも笑う。
族ので、京という言葉が以ほどくなくなっていた。
それからが過ぎた。
隆夫は訓練所を修し、勤めていたで正式な械として働くようになった。
旋盤。
フライス盤。
簡単な修理。
しずつできることが増えていく。
方、栄吉は稼ぎを続けていた。
しかし膝は、々悪くなった。
昭。
しのから隆夫へ報が来た。
《チチ トウキョウデ タオレル レンラクコウ》
隆夫はすぐ父の飯へ向かった。
栄吉は病院にいた。
現で転落したわけではない。
膝が急にかなくなり、資材を持ったまま座り込んだのだという。
医師は、
「もう所での労働は避けた方がいい」
と告げた。
栄吉は嫌だった。
「まだ働ける」
「歩けないだろ」
隆夫が言う。
「何か休めば」
「何回同じこと言うんだよ」
父は黙る。
その夜。
隆夫は病院くの堂で父と向きった。
数、自分が初めて京へ来たに入ったとは違う。
けれど状況は似ていた。
父が働けない。
が減る。
以なら、また借してへ送ったかもしれない。
「今、にいくら送ったの」
隆夫が尋ねる。
「千」
「もう送った?」
「ああ」
「残りは」
「送らん」
隆夫はし笑った。
「歩したな」
「何が」
「昔なら借りて万円にしてた」
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