"父の「一万円」に隠された借金" 第10話
栄吉もしだけ笑った。
「母ちゃんに殺される」
「それだけ?」
父は窓のを見る。
「俺も疲れた」
隆夫はその言葉を聞き逃さなかった。
父が初めて、「働けない」ではなく「疲れた」と言った。
「帰ったら」
隆夫が言う。
「仕事どうする」
「田んぼだ」
「膝悪いのに」
「できることする」
隆夫は考えた。
そして翌、勤め先のへ相談した。
自分の父が建設現で働いている。
械の専技術はない。
体も悪い。
何か軽作業はないか。
すぐに仕事が見つかったわけではない。
けれどから、形内の農具修理が経験者を探しているという話を聞いた。
「経験者って、父ちゃん械直せないよ」
隆夫が言うと、は笑った。
「農なら農具の扱いは分かるだろ。修理そのものは若いがする。客から話聞いたり、部品運んだりならできる」
隆夫は父へ話した。
栄吉は嫌がった。
「おに仕事探してもらうほど落ちぶれてない」
「落ちぶれるって何だよ」
「自分の仕事くらい」
「父ちゃん」
隆夫は遮った。
「族に助けてもらうの、そんなに嫌?」
栄吉が黙る。
「昔の万円と同じじゃん」
その言は効いた。
父は何も言えなくなった。
結局、にへ戻ったあと、栄吉は農具で週に数働き始めた。
最初は満そうだった。
しかし農の客と話し、械の調を聞き、若い備士へ伝える仕事はと性にった。
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「京かなくてもになるんだな」
ある、栄吉が言った。
隆夫は笑った。
「今さら?」
父も笑った。
になると稼ぎへく。
それしかないとっていた代が、しずつ変わり始めていた。
その翌。
今度は妹の子が卒業ので悩むことになった。
子は護師になりたいと言った。
県の学へくにはがかかる。
栄吉は最初、
「女なんだから元で就職でもいいだろ」
と言った。
子は泣いた。
隆夫が聞きつけて、実へ話した。
「父ちゃん」
『何だ』
「子の学、反対してるって?」
『かかる』
「俺のもかかっただろ」
『おは男だ』
「関係ない」
『おに言われることじゃない』
隆夫は腹がった。
「じゃあまた万円借りて送るの?」
話の向こうが静かになる。
「父ちゃんが番嫌だったの、なくて選べないことじゃないの?」
栄吉は何も言わなかった。
数。
父からが来た。
《子の学、かせることにした》
それだけだった。
から母に聞くと、栄吉は農協へき、学費用の相談をしたという。
借ではある。
けれど今回は、族全員で話しった。
返済額。
期。
計への負担。
全部をしのと子へ説した。
「父ちゃん、借したじゃないか」
隆夫が正にからかうと、栄吉は言った。
「これは隠してない」
「そこ?」
「だ」
しのが横から笑った。
「とてもです」
佐藤では、「借をしない」
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よりも、「黙ってで背負わない」ことの方が切になっていた。
隆夫は、それでいいとった。
族だから、全員がいつもい必はない。
苦しいが、
「今は無理だ」
と言える方がいい。
助ける側と助けられる側は、いつか入れ替わる。
父が族を支えるもある。
息子が父を助けるもある。
それで族なのだ。
隆夫が京へてく経った頃。
はきく変わっていた。
オリンピックに造られたは当たりの景になり、しいビルが次々建った。隆夫が働くにも、以より型の械が入った。
隆夫は現の若い輩へ、械の操作を教えるになっていた。
ある、歳のが言った。
「佐藤さん、俺、学とかかずにく稼ぎたいんですよ」
隆夫は笑った。
昔の自分と同じだった。
「何で」
「勉嫌いだし、京来れば仕事あるじゃないですか」
隆夫は具を置いた。
「仕事はある」
「じゃあ」
「でも、も同じ仕事できるとは限らんぞ」
は満そうな顔をする。
隆夫は瞬、父になった気分がした。
「俺の親父も同じこと言ったんだよ」
「何て?」
「腕本で来るなって」
昔は腹がった。
今はが分かる。
技術があれば絶対というわけではない。
会社がなくなることもある。
体を壊すこともある。
けれど、何かつできることがあれば、自分で次の所を探しやすい。
「勉したくないならしなくてもいい」
隆夫は言った。
「でも何も持たずに来たら、より体使うしかなくなる」
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