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"母に追い出された私が、介護を手放すまで" 第4話

「……マリさん、これ、お肉がくて噛めないわ。それに付けがしょっぱすぎるわよ。由美子のは、もっとお肉を叩いて柔らかくして、汁を利かせてにしてくれたのに」

マリの額に、青筋がピシリと浮いた。 「お義母さん、これでもさく切ったんですよ? 文句を言わずにべてください」

「だって噛めないんだもの! 無理してみ込んだら喉に詰まっちゃうじゃないの! 由美子なら、こんな乱暴な料理絶対に作らなかったわ!」

「じゃあ由美子さんを呼び戻せばいいじゃないですか!!」

ガシャン、とマリが湯呑みを机に叩きつけた。 茶のの空気が瞬にして凍りついた。 秀が慌てて「おいおい、マリ、母さんにそんなすなよ」と割って入るが、マリは般若のような形相で夫を睨みつけた。

「あなたこそ、マスカット買ってきて座ってるだけで何もしないじゃない! お義母さんの介護のレトルトも、とろみ剤も、買い置きが全部切れてるのよ! 由美子さんがどこで何を買ってたのか、引き継ぎもしないで追いしたのはあなたでしょ!!」

穏な沈黙が流れる、母の枝は所なげにさくを縮め、テレビの音量をげた。 (由美子なら……私が何も言わなくても、柔らかい茶碗蒸しやお粥を、ちょうどいい温かさでしてくれたのに……) そんな愚痴は、り狂う嫁と息子のではが裂けても言えなかった。

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そして翌朝――の午。 実の洗面所から、引き裂くようなマリの絶叫が霊した。

「いやああああっっ!! ちょっと秀、来てよ!! これ何なのよ!!」

聞を広げていた秀が、面倒くさそうにスリッパを引きずって洗面所へ向かった。

「朝からなんだよ、声をすなよ。所迷惑だろ」

洗面所の引き戸をけた瞬、秀腔を、の奥がツンと痺れるような烈な悪臭が直撃した。 アンモニアと便の混ざりった、濃々しい異臭。

洗濯で、ゴム袋もつけずにち尽くすマリの元。 そこには、茶褐と黄のシミがびっしりとこびりついた、母のリハビリパンツとズボンが、丸められた状態で転がっていた。

「……うわっ、くせえ! なんだこれ!?」 秀は反射をつまみ、退りした。

マリの瞳には、りと疲労の涙が溜まっていた。指先が刻みに震えている。 「お義母さんの着よ! 昨から取り替えてなかったのよ! 脱カゴの底に押し込まれてて、完全に乾いて布に染み付いちゃってるの! 触りたくもないわよ、こんなの!!」

「お、おい……お、女同士なんだから、でチャチャッと洗っといてくれよ」

のその無責任極まりない言が、マリの理性の導線にをつけた。

「はあぁっ!? なんで私がの親の排泄物を素で洗わなきゃいけないのよ! 血の繋がったあなたの母親でしょ!? 自分で洗いなさいよ!!」

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「俺は男だぞ!? 母親の着なんか洗えるわけないだろ! おは専業主婦みたいなもんなんだから、それくらいしろよ! 由美子だって文句つ言わずに毎やってたんだからさ!」

「由美子さん、由美子さんって、いい加減にして!!」 マリはに落ちていた洗濯洗剤のボトルを、洗面台の鏡に向かって投げつけた。プラスチックの鈍い破壊音が響く。

「由美子さんは実の娘だからやってたのよ! 私は赤のよ! あなたが『同居して母の面倒を見る』って見得を切ったからついてきたのに、あなたは果物買ってきてソファで寝転がってるだけじゃない! 汚いの世話は全部私に押し付ける気だったの!?」

号は、廊を伝って母の寝へとなだれ込んでいた。 ベッドのを起こした枝は、敷布団の湿り気をじながら、シーツの端を震える指で握りしめていた。 昨夜、夜に尿じて何度も「秀」と呼んだのだ。 けれど、階の寝で眠る息子は度もりてこなかった。結局、自力でポータブルトイレへこうとしてわずに粗相をし、恥ずかしさのあまり汚れた着を脱カゴの底へ隠したのだった。

(由美子なら……夜に私がさく咳払いをしただけで、すぐに起きてきてくれたのに……。オムツが汚れても、嫌な顔つせずに『丈夫よ、すぐ綺麗にするからね』って拭いてくれたのに……)

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