"母に追い出された私が、介護を手放すまで" 第8話
そこへ万円の固定費がのしかかってくれば、毎数万円の赤字が確実に発する。
「秀……あなた、お義母さんので全部お釣りが来るって言ったわよね!? 同居すれば活が楽になるって言ったわよね!!」
「い、いや……俺はそんなにかかってるなんてらなかったんだよ! 由美子のやつが勝にいサービスを契約してたんだ!」
「嘘をつくんじゃないわよ!!」 マリの声が、隣の庭先まで響き渡る。
営業マンは困惑したように線を泳がせながら、無な最通告を突きつけた。
「あの……サインをいただけない、今末をもちまして介護ベッドならびに歩器は引き揚げさせていただきますが、よろしいでしょうか?」
秀は脂汗をダラダラと流しながら、震えるでペンを握るしかなかった。 私が静かに引き抜いた「契約者」という名の防壁。 その代償のみが、容赦のない請求の束となって、兄夫婦の首を締めげ始めていた。
そのの夕暮れ、私のスマートフォンに直子から着信が入った。
『由美子、ビンゴよ』
受話器の向こうの直子の声は、興奮と呆れが入り混じっていた。
『川美穂。やっぱりお兄さんの元部だったわ。当歳、派遣社員として営業部にいた子よ。、の倫関係が美穂の婚約者にバレて、会社に内容証が送りつけられたの。
広告
会社はお兄さんを役職止にして総務へ遷、美穂は依願退職。……ここまでは社内の過ログで確認できたわ』
「じゃあ……あの百万円は、そのの示談?」
『いいえ、ここからがゲスいのよ』 直子は嘲笑するように息を吐いた。
『お兄さん、美穂と切れてなかったのよ。「妻とは絶対に婚する、退職がたら緒になろう」って甘言を弄して、退職もズルズル関係を続けてたの。でも、今の、美穂が別の男性からプロポーズされてね。お兄さんに「今すぐ奥さんと別れて結婚してくれないなら、過の倫を奥さんに全部バラす。切れとして百万円払いなさい」って脅されたらしいわ』
パズルのピースが、音をてて噛みった。
「……だから、母さんの定期預を崩したんだ」
『そう。値切って値切って、なんとか百万円でを打たせたのよ。先、美穂の弁護士座に振り込まれた記録を、うちのネットワークで確認したわ。お兄さん、完全に自分の半の始末の始末に、お母さんの命の綱の老資を横領したのよ』
吐き気がした。 実の母を騙し、「リフォーム代」と嘘をついて老資を奪し、への止め料に充てていた男。 そして、その棒猫のような男を「頼りになる跡取り」と盲信し、尽くしてきた娘を追いした愚かな母。
「……ありがとう、直子。
広告
これで、すべてのカードが揃ったわ」
『由美子、いつでも弁護士てられるからね。あんな奴ら、徹底に締めげてやりなさい!』
通話を終えた私の界に、夕暮れののかりが広がった。 その頃、実のリビングでは、もうつの「致命な破綻」が幕をけていた。
曜の朝。 実の固定話がけたたましく鳴り響いた。 パートにかける準備をしていたマリが、苛ちながら受話器を取る。
『あ、もしもし! 桜タクシーですが! 杉本枝様の定期配で、表にをつけてもう分待ってるんですが、まだてこられませんか!?』
「……は? タクシー? 頼んでませんけど」
『何言ってるんですか! 毎週曜の午分、内科クリニックへの通院送迎で、由美子様から予約をいただいてるんですよ! メーター回してますからね!!』
マリは受話器を放りし、茶のへび込んだ。 「お義母さん! 今、病院のなの!? なんで言ってくれなかったのよ!」
枝はこたつに入り、ぼんやりとテレビを見つめたまま、満そうにを尖らせた。 「そんなの、私が覚えてるわけないじゃないの。由美子はいつもになったら着を着せて、靴を履かせて、タクシーに乗せてくれたわよ。あなた、気が利かないわねえ」
「私が気が利かないですってぇ!?」 マリの絶叫が炸裂した。
「私、今これからスーパーのシフトが入ってるのよ! 今から病院に付き添ったら遅刻してクビになっちゃうわよ! 秀、あなたが連れてきなさいよ!!」
広告
おすすめ作品
-
完結第15話
離婚半年後、元義母が私の新居を奪いに来た
離婚から半年。十歳の娘ユアと新居で暮らし始めたゆいのもとへ、元義母の智恵子が引っ越しトラックを連れて現れた。「今日から同居ね」と一番広い部屋を使おうとする智恵子は、その家を息子が買ったものだと信じ込んでいた。実際には、ゆいが自分の収入で購入した家だった。離婚の事実を告げても引き下がらず、今度は不倫を疑い始める元義母。さらに、元夫が隠していた裏切りまで明らかになり、ようやく手に入れた母娘の平穏な暮らしが脅かされていく。嫁姑|裏の顔|絶縁|金銭問題|不倫2.0万字5 1161 -
完結第15話
義母の老人ホーム代120万円を勝手に約束した夫
医療機器メーカーで働く結衣は、結婚以来、夫の翔太と義母の幸子に頼まれるまま、家電の買い替えや旅行代を負担してきた。月7万円の仕送りも、半分出すと約束した夫は一円も払わない。それでも家庭を壊したくない一心で我慢していたが、義母はついに結衣の勤務先へ送金を催促する電話をかけてくる。さらに夫は、義母が希望する高級老人ホームの入居金120万円まで、結衣に無断で支払う約束をしていた。夫のスマホに届いた一通のLINEをきっかけに、結衣は自分の人生を取り戻す決意をする。人生逆転|嫁姑|夫婦|絶縁|介護|金銭問題2.7万字5 1836 -
完結第12話
義妹の荷物40箱を拒否したら、夫の勝手な約束が発覚
五十六歳のかず子の家に、義妹が経営するネットショップの商品が突然四十箱も届いた。預かると聞いていたのは小さな荷物だけ。受け取りを断ると夫は激怒し、かず子が大切にしている二階の六畳間を倉庫にすればいいと言い放つ。そこは、三十年以上家族を優先してきたかず子が、ようやく手に入れた自分だけの場所だった。さらに翌朝、配送会社から渡された書類には、身に覚えのない集荷予定と自分の名前が。夫と義妹は、かず子に何をさせるつもりだったのか。裏切られた|兄弟姉妹|夫婦1.8万字5 520 -
完結第10話
腎臓をあげた私に離婚届――夫の隣には若い女
三歳の娘を育てる裕子は、重い腎臓病になった夫・英司を救うため、自分の腎臓を一つ提供した。ところが手術後、体調を崩した裕子を待っていたのは、夫からの暴言と冷たい仕打ちだった。やがて英司は、若い女との新生活を理由に離婚届を突きつけ、娘まで奪おうとする。そんな裕子の味方になったのは、意外にも義母だった。命を救ってくれた妻を平然と捨てようとする夫。すべてを失いかけた裕子は、娘と自分の人生を守るため、反撃を決意する。夫婦|真実|裏の顔|真相|第二の人生1.4万字5 1121 -
完結第15話
高齢女性を後回しにした受付――絵を替える女性の正体
町の内科クリニックに長年通う68歳の静子は、知人の山田さんが何度も診察の順番を飛ばされていることに気づく。受付の沼田は、特定の患者ばかりを優先し、理由を尋ねる山田さんには冷たい態度を取っていた。やがて山田さんは、受診することさえ怖くなってしまう。心配した静子が付き添った日、山田さんの顔色が急に悪くなるが、受付は取り合おうとしない。そんなとき、待合室で絵を掛け替えていた一人の女性が口を開く。その何気ない一言から、長年見過ごされてきた受付の問題が明らかになり始める。人生逆転|介護|金銭問題1.4万字5 345 -
完結第15話
看護師を捨てた元彼、10年後に妹の名刺を踏みつけた
看護師のヒナは、起業を夢見る恋人・大志を支えるため、夜勤を増やして生活費を払い、家事も一人で引き受けていた。ところが大志は事業に成功すると、社長令嬢との婚約を決め、ヒナを一方的に捨ててしまう。それから10年。偶然再会した大志は、独身のヒナを見下し、看護師の仕事まで大声で馬鹿にし始めた。そこへ現れた妹の桃が、冷静に言い返す。しかし大志は、桃が差し出した名刺を床に落とし、靴で踏みつけてしまう。その名刺が何を意味するのか、知りもしないまま……。因果応報|兄弟姉妹|夫婦|絶縁|金銭問題|不倫1.6万字5 519 -
完結第15話
認知症の父を「逮捕しろ」と叫ぶ姑――孫の一言で形勢逆転
夫を突然亡くした佳苗は、幼い二人の子どもを育てながら、認知症になった父の介護も引き受けることになった。心身ともに限界を迎えるなか、支えになってくれたのは小学六年生の息子・亮太だった。家族で父の実家へ引っ越し、ようやく穏やかな暮らしを取り戻したかに思えたが、何かにつけて佳苗を責める姑が、またもや騒ぎを起こす。ある日、仕事中の佳苗に亮太から緊急の電話が入った。急いで帰宅すると、家の前にはパトカーが。家の中でいったい何が起きたのか。姑の言い分に対し、亮太が語り始めたのは……。祖父母と孫|嫁姑|絶縁|親子関係|介護|認知症1.6万字5 425 -
完結第10話
離婚して10年、元夫が鍵を替えなかった理由
二十二年間連れ添った夫・正彦の無口さに耐えきれず、四十八歳で離婚したみつ恵。それから十年後、正彦が脳梗塞で倒れたと娘から連絡が入る。入院に必要な荷物を取りに、かつての自宅を訪ねたみつ恵は、返しそびれた合鍵で玄関が開くことに驚く。なぜ十年も鍵を替えなかったのか。部屋には、昔と変わらない食器や、みつ恵が置いていったスリッパが残されていた。やがて見つけた一通の手紙には、二十二年間聞けなかった夫の想いが綴られていた。別れた二人は、もう一度向き合えるのだろうか。夫婦|第二の人生|介護|退職金|熟年離婚1.3万字5 307 -
完結第12話
竹林の向こうの白衣
八歳のティアラは、重い喘息を理由に山奥の療養施設へ預けられた。だが本当の理由は、両親が天才と呼ばれる兄の教育に専念するためだった。家族に忘れられた少女を支えたのは、施設の人々と小児科医の竹之内先生。やがて彼女は自分の名前を変え、医師になる道を選ぶ。努力の末に脳神経外科医となった洋子は、ある冬の深夜、救急搬送された患者と向き合うことに。かつて自分を置き去りにした家族との思いがけない再会が、彼女の人生を大きく揺さぶり始める。兄弟姉妹|真相|絶縁|親子関係1.7万字5 614 -
完結第12話
五歳の母ちゃん
両親を事故で亡くしたシンジは、五歳の妹・楓を育てながら、昼も夜も働いていた。そんなある日、楓が「母ちゃんが来た」と言って連れてきたのは、同じ保育園に通う五歳の少女・リサだった。ところが彼女は、家族しか知らない昔の出来事を次々に話し、シンジを息子のように気遣う。信じられない再会に戸惑いながらも、兄妹は少しずつ彼女に心を開いていく。しかし、リサ自身の記憶が薄れていくという異変が起こり始める。もう一度母に会いたかった兄妹が、大切なものを守るために選ぶ道とは。兄弟姉妹|真実|真相|第二の人生1.2万字5 280