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"母に追い出された私が、介護を手放すまで" 第14話

呆然とに突っ伏したままの秀。 座布団のさく震え、涙を流し続ける枝。 静かに類をカバンに仕う田さん。 そして、腕を組んでややかに佇む私。

さんはがり、私に向かって礼した。 「杉本由美子様。……本の状況、すべて公な業務誌に記録いたしました。今の介護体制につきましては、法定の成見制度の利用も含め、政窓と協議をめます。それでは、私はこれで失礼いたします」

「田さん、にお数をおかけして、本当にありがとうございました」

さんが退し、玄関の鍵が閉まる音がした。 部のり、完全な内だけの空になった瞬、秀の目から理性のが完全に消え失せた。

「……だ」 秀はブツブツと呟きながら、うようにして仏壇のへ向かった。

がなきゃどうにもならねえ……! どこだ、権利証はどこだ!? 実印はどこに隠したんだ!!」

仏壇の引きしを乱暴に引っ張りし、に入っていた父の古い位牌や数珠、賀状の束をへぶちまける秀。 「ひ、秀! 何をしているの!? お父さんの仏壇よ!」 枝が叫んだが、発狂寸の秀には届かない。

「うるせえババア! このを売るんだよ!! 駅なんだから、更にすりゃ千万円にはなるはずだ! それで俺の借と慰謝料を払って、残った端で、おをどっかの奥のい特養にでもぶち込めば全部解決するんだよ!!」

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「と、特養……!? このを売る……!?」 枝の顔から、すべての血の気が引いた。

「嫌よ! 絶対に嫌! ここは私が守ってきたよ! 所のお友達だっているのよ! 男のあなたと緒にここで暮らすのが、私の最だったのに……!」

だあ!? ふざけるな!!」 秀は振り返り、実の母親に向かって鬼のような形相で鳴りつけた。

「そもそもおで骨折なんかして介護にならなきゃ、俺はこんな同居なんか企まなかったんだよ! おの介護のせいでマリには逃げられ、退職は半分差し押さえられ、俺のはめちゃくちゃだ! 全部、おがいつまでもきててを引っ張るからだろ!!」

の空気が、完全に凍りついた。 枝はをあんぐりとけたまま、言葉を失った。

自分が神仏のように崇め、娘を犠牲にしてまで富とを注ぎ続けてきた「自男」。 その男のから吐きされたのは、謝の言葉などではなく、老いた母のそのものを否定する、剥きしの憎悪と責任転嫁だった。

「あ……あぁ……」 枝の喉から、声にならない嗚咽が漏れた。 両で顔を覆い、子供のようにボロボロと涙をこぼしながら、畳のへ崩れ落ちていく。 その姿は、私がこの、母から理尽に踏みにじられ、否定され続けてきたの痛みを、母自が何百倍もの劇薬としてみ干した瞬だった。

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私は、散らかった茶のの真んで、ゆっくりといた。

「無駄よ、お兄ちゃん」

私の静かな声に、仏壇を漁っていた秀が止まった。

「……何が無駄だってんだよ」 秀が血った目で私を睨みつけた。

私はややかに笑い、告げた。

「お兄ちゃんがこのと建物を売ることなんて、法に絶対にできないわよ」

「はあ!? 俺は男だぞ! 跡取りの俺が相続して売っ払って何が悪い!」

「お父さんがくなったの遺産分割協議、忘れたの?」 私はバッグから、枚の登記簿謄本のコピーを取りした。

「この産の名義は、お父さんがくなった、百パーセント【母さん単独名義】で相続登記されているわ。お兄ちゃんの持ち分なんて、坪たりともしないの」

「母さんを言いくるめて実印を押させりゃ済む話だろ!!」

「無理ね。さっき田さんがち会ったでしょう? 母さんの能はしているけれど、認能には問題がなく、能力が正常であることはケアマネジャーの公記録として残されたわ。……母さんが『を売りたくない』と確に拒絶している以、実印を無理やり奪って売買契約を結べば、それはな【印私文偽造】および【齢者財産横領】よ」

私は歩、秀へと詰め寄った。

「もしそんな真似をしたら、私は即座に警察へ被害届をし、成の選任を庭裁判所に申してるわ。

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