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"無能社員を演じていた俺、上司を救って正体がバレる" 第9話

腕には、部を超える分いの束を抱えている。

「あ、失礼しますー……あの、営業課の藤ですが、鳥課が提予定だった会議資料の差し替えを言付かりまして……」

「何だ貴様は!」 総務役員が激昂してちがった。 「ここは役員会だぞ! 平社員が勝に入ってきていい所ではない! 警備員を呼べ!」

「待ちなさい」 榊原がをかざして制した。その顔には、れな負け犬の部を嘲笑うような余裕があった。 「いいじゃないか。あの無能で名な途採用の藤君だろう。鳥課が最にあがきとして用した『言い訳の類』というわけだ。見せてみたまえ。どんな見苦しい弁がかれているのか、皆で確認してから叩きしてやる」

健太は「すみません、すみません」とペコペコをげながら、役員ひとりのへ、青い表の分いファイルを丁寧に配っていった。 凛のを通り過ぎる瞬、健太は微かに線を交わした。 その瞳には、先ほどまでの怯えた平社員のは微もなかった。のように静まり返った、徹な戦士の。

最に榊原のへドサリとファイルを置いた健太は、退するどころか、すっとプロジェクターの操作卓のへと移した。

「おい、藤! 配り終えたらさっさとていかんか!」

総務役員の声に、健太は切答えなかった。

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背筋が、まるで別のように真っ直ぐに伸びる。猫背が消えただけで、彼の体躯が回りも巨に見えた。 健太はポケットから本の型USBメモリを取りすと、操作卓の端末へ迷いなく差し込んだ。

「資料のページ目をおきください」

く、部の隅々まで染み渡るような、完璧に通る声。 役員たちがわず息を呑み、言われるがままに青いファイルをめくった。 番に印刷されていたのは、凛の弁などではなかった。

太いゴシック体で印字されたタイトル。

【栄フーズ株式会社における特別背任・正送・インサイダー取引に関する内部調査報告】 【対象者:専務取締役・榊原徹】

「な……何だと!?」 榊原がファイルを凝し、顔を変えた。

「藤君、これは何の冗談だね!」 榊原がちがろうとした瞬、会議の照がパチンと消えた。 正面のスクリーンに、真っなと共に、巨な送チャート図が映しされた。

「栄フーズが過で計した、アジア産辛料の仕入れ代。総額、億千万円」

健太の指がレーザーポインターを滑らせる。赤い点が、スクリーンの数字を酷に射抜いた。

「仲介に入っているのは、シンガポールに登記された『サザンクロス・トレーディング』。しかし、現法登記簿を確認したところ、この会社の資本はわずかシンガポールドル。

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実体オフィスはせず、現の私箱と話転送サービスのみで構成された典型なペーパーカンパニーです」

役員たちので、をめくる音が慌ただしく響き渡る。 「おい、この振込先座……」「実勢相の・倍の価格で買い付けていることになっているぞ!?」

「デタラメだ!」 榊原の額に、ドッと脂汗が吹きした。 「ただの平社員が、の企業実態など調べられるはずがない! 怪文の類だ、画面を消せ!」

「調べられますよ」 健太はプロジェクターのを浴びながら、淡々と言い放った。 「貴方が送に使用していた秘密通信プロトコル、初歩なプロキシを噛ませていただけでしたから。分もあればログは全て復元できました」

健太がキーボードを叩くと、画面が切り替わった。 映しされたのは、スイスの非公座の細、そして――『サザンクロス・トレーディング』の全株式を保する最終受益者の名義証。

【Beneficial Owner: Toru Sakakibara】

「榊原専務。貴方が会社のをサザンクロスへ還流させ、実弟の名義でプールさせていた裏は、現点で計億千万円。……さらに」

健太の指が、もうつのファイルを投した。 資系ファンド『ブラックストーン・キャピタル』とので交わされた、極秘の買収向表。

「自社株の評価額を図に落させるため、鳥課が管理する優良取引先との契約を反社スキャンダルによって破談に追い込み、経営危を演したで、ファンドへ値で会社を売りばす。

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