"義弟嫁の「セレブ家族」に隠された十二年前の秘密" 第3話
披宴会は、を打ったような静寂に包まれた。 誰もが失笑を通り越してドン引きし、義父は顔を真っ赤にして拳を震わせていた。 式のスタッフが慌てて駆け寄り、マイクの音声を切ってステージから引きずりろしたが、披宴の空気は完全にえ切ってしまった。
式が終わり、親族の見送りをっているだった。 私の親代わりである叔父・佐伯(さえき)が、険しい表で幸介と私に歩み寄ってきた。
私の両親は、私が学のに相次いで病気で界していた。 それ以来、母の兄である佐伯の叔父が、学費の援助から就職の相談まで、実の父親以に私の面倒を見てくれていた。叔父自も、業用精密部品の製造会社『佐伯精』を代で証スタンダードにまで育てげた、厳格で聡な実業だった。
「遥、幸介君。……弟の嫁の真澄さんと言ったか。あの女性には、くれぐれも警戒しなさい」 叔父は引き物の袋をに持ちながら、い声で囁いた。 「常識が通じないというレベルではない。あれは、の財産や尊厳に寄することに何の罪悪も抱かない、危険な種だ」
「申し訳ありません、おじさん……僕の弟夫婦が、とんでもない失礼を……」 幸介が々とをげると、叔父は鏡のブリッジを指で押しげ、ふと探るような目を向けた。
広告
「……ところで幸介君。あの真澄さんのご両親は、今来ておられないのかね?」 「ええ。アメリカだと聞いていますが、度も本には戻ってきておらず、結婚式のも顔をわせられなかったんです。どんな仕事をしているのかすら、志も教えてくれなくて……」 「そうか……アメリカか」
叔父の瞳の奥に、鋭い疑のが灯ったのを私は見逃さなかった。 「どうかしたんですか、おじさん?」 「……いや、何でもない。ただ、し気になったことがあってね。遥、何か困ったことがあれば、いつでも私に連絡するんだよ」
そのはそれで終わったが、結婚活が始まって半ほど経った頃、叔父ががへ遊びに来た際、酒の席で昔の話をポツリと漏らしたことがあった。
「私の会社も、平穏無事に来たわけじゃない。……、最も信頼していた財務部に、裏を座へ送され、千万円以を横領されたことがあってね」 「えっ……おじさんの会社で、そんな事件が!?」 「ああ。警察に被害届をしたが、犯は偽名のパスポートを使い、妻と幼い娘を連れて即座に国へ逃した。インターポールを通じて配したが、方は杳としてれず……結局、事件は迷宮入りとなった」
叔父は苦いウイスキーをみ干し、静かに吐き捨てた。 「業務横領罪の公訴効はだ。世ではもう効が成したとわれている。
広告
……だがな、奴らは法律をらんのだ。犯が国に逃している期は、刑事訴訟法第百条により、公訴効のカウントは完全に止する。奴らが本へ歩でもを踏み入れた瞬、計の針は再びきすのだよ」
そのの私は、「経営者って本当に変なんだな」と事のように聞いていただけだった。 まさかその「の横領犯」のが、すぐそこまで迫っているとはにもわずに。
方、志夫婦の暴は止まるどころか加速していた。 結婚から、志から義母の元へ泣きつきの話が入った。 『母さん、真澄が妊娠したんだ! でも無職の俺たちには産費用がない。頼むから百万円振り込んでくれ!』 初孫の誕に浮かれた義母は、義父に内緒ですぐにを振り込んだ。 ところがその半、今度は『子供がまれるに級マンションへ引っ越すから、として百万円くれ』と求してきたのだ。
審にった幸介が、産婦科の母子帳を見せるよう志を厳しく問い詰めたところ、志は号泣しながら状した。 『嘘なんだ! 真澄の妊娠は狂言だったんだよ! が欲しくて、真澄に言われて嘘をついたんだ……!』
義母はショックで寝込み、義父は『度と敷居を跨ぐな!』と志を勘当した。 幸介もりで、志の連絡先をブロックした。
それ以来、志夫婦からの連絡は途絶え、平な々が戻ってきたはずだった。
――あの悪の話が鳴るまでは。
広告
おすすめ作品
-
完結第17話
娘の席を愛人に譲った夫の末路
夫・敬吾が愛人を優先し、6歳の娘・陽菜を飛行機の後方席へ一人で追いやろうとした瞬間、さゆりは離婚を決意する。実は彼女こそ、敬吾の出世を陰で支えてきた一流の法務コンサルタントだった。 さゆりは娘とプライベートジェットで北海道へ向かいながら、夫の不正経費と愛人関係を会社へ告発。敬吾は部長職を失い、北陸の倉庫へ左遷され、慰謝料と養育費の支払いも背負う。 その後、さゆりは自分の名で事務所を開き、娘との生活を再建する。一年後、母娘はあえて普通席の35列目に並んで座り、誰にも奪われない二人だけの旅へ出発した。夫婦|親子関係|不倫2.6万字5 275 -
完結第17話
しおれた野菜と30万円
正月準備のため妻・綾野に三十万円を預けた修平が帰宅すると、冷蔵庫は空になり、綾野はしおれた野菜を抱えて震えていた。防犯カメラには、合鍵で侵入した母・久美子と妹・ゆりが、食材と現金を奪い、「妻が使い込んだことにする」と脅す一部始終が残されていた。 修平は援助や契約を停止し、父の遺品を調べる。その結果、母は前夫の家から二百万円を持ち逃げし、血のつながらない修平を守ろうとした父に返済を肩代わりさせていたことが判明する。完済後も母は架空の利息をでっち上げ、修平の出生を暴露すると父を脅して、長年金を奪い続けていた。人生逆転|嫁姑|夫婦|絶縁|修羅場2.5万字5 1218 -
完結第12話
廃屋を買った兄妹と、床下に眠る父の秘密
両親を亡くした二十歳の空は、八歳の弟・陽斗と全財産で海辺の廃屋を購入する。夜ごと床下から響く三回の音を追うと、監禁された父の同僚・村瀬を発見した。 家に残された鍵と録音には、父が勤め先の不正を調べ、叔父・健二と副社長・水城に命を狙われた証拠が隠されていた。空は弁護士や警察と連携し、両親の事故の真相を暴く。 健二と水城は逮捕され、不当な借金請求も止まった。価値のない廃屋と思われた家は、一人の命と父の記録を守り、姉弟が安心して帰れる本当の我が家となった。兄弟姉妹|相続|金銭問題1.7万字5 101 -
完結第10話
十年分の船代で始まった一人旅
半年前に夫・常夫を亡くした杉本は、夫が十年間積み立てた船代で一人クルーズへ出る。ところが同席した常連客・黒川千鶴子から、窓のない客室や白い会員カードを見て「十年もかけないと船旅ができない人」と毎晩見下されてしまう。杉本はついに、「お金を貯めるのに十年かかったのではなく、夫と来る日を十年間楽しみに待っていた」と静かに告げ、千鶴子を黙らせた。 千鶴子は高価な絵や乗船回数を豊かさの証しとして周囲にも押しつけていたが、勧められるまま四十二万円の絵を買いかけた吉江夫妻は、杉本の「その絵をどこへ飾りますか」という問いで思いとどまる。やがて千鶴子自身も、夫の退職後に失った肩書を埋めるため、会員ランクや高価な品に縋っていたことを認め始める。一方の杉本も、暗い客室で初めて夫の死を思い切り泣き、悲しみだけでなく自分のために旅を楽しんでよいのだと受け入れていく。 杉本は毎日眺めたいと思える二万四千円の水彩画を自分の意思で購入し、吉江夫妻も見栄のための買い物をやめた。帰宅後、千鶴子は箱に眠らせていた四十万円の絵を初めて飾り、杉本へ十年を侮辱したことを謝る。杉本は海の絵、青いガラスの魚、手作りのキーホルダーを日々の暮らしに置き、夫が残した時間を抱えながら、もう誰かの値段や物差しではなく、自分の速さで次の場所へ歩き始めた。夫婦|相続|金銭問題1.5万字5 251 -
完結第12話
入院中、母が勝手に老人ホームへ送られていた
交通事故で一週間入院した菜緒は、母・春江と連絡が取れないことを夫・健太に訴える。しかし健太は「元気にしている」と嘘を重ね、退院後に実家へ向かうと、母は姿を消し、家財や通帳、土地の権利証まで段ボールに詰められていた。 健太は、足の悪い春江に「娘は長期入院し、家も売る」と吹き込み、無断で老人ホームへ入れていた。目的は実家を売却し、残金を自分たちの生活に使うことだった。施設の隅で「娘に捨てられた」と泣く母を見つけた菜緒は、虚偽による入居契約の無効を主張し、その場から母を連れ帰る。 菜緒は直ちに、八年間続けてきた義父母への月十五万円の送金と家族カードを停止し、自分名義の定期預金三百五十万円も安全な口座へ移す怒り|夫婦|親不孝|金銭問題|修羅場1.7万字5 735 -
完結第17話
母に追い出された私が、介護を手放すまで
三年間、要介護の母・一枝の家事と介護を一人で背負ってきた由美子は、「大好きな長男夫婦と暮らすから出ていけ」と追い出される。彼女は反論せず、通院、服薬、食事、排泄介助まで記した冷蔵庫の予定表だけを外し、新しい生活へ踏み出した。 由美子が消えると、兄・秀樹夫婦は介護の重さと毎月約九万円の費用に直面する。さらに秀樹が母の定期預金三百万円を、不倫相手への手切れ金として使い込んでいた事実も判明。義姉マリは耐えきれず家を出て、秀樹は汚物の処理すらできないまま妹へ泣きつく。 しかし由美子は、母と兄の身勝手な要求を拒み、実家からの電話を着信拒否にする。兄弟姉妹|親不孝|裡の顔|介護2.6万字5 810 -
完結第15話
炎天下に追い出された新人と、5年ぶりに戻った男
正木電気の新人・潮見知夏は、猛暑の中で草むしりを強要され、総務部長・黒岩から執拗な嫌がらせを受けていた。五年ぶりに本社へ戻った滝川武は彼女を救い、腐敗した職場の実態を静かに探り始める。 知夏は書類整理中、解約済みの植栽会社へ毎月五十万円が送金され続けている事実を発見。その直後、地下倉庫へ追放され、ついには炎天下で倒れてしまう。滝川と堀田課長は、黒岩と八谷常務による総額二億三千万円の横領証拠を揃え、臨時役員会を招集する。 そこで滝川が専務執行役員であることが明かされ、帰国した正木社長も黒岩を追及する。職場逆転|因果応報|人生逆転|修羅場2.3万字5 656