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"義弟嫁の「セレブ家族」に隠された十二年前の秘密" 第9話

「私はセレブなのよ……! こんなところで終わるわけがない……! よ……もっと持ちの男を見つけて、あいつら全員を見返してやる……!!」

真澄さんの歪んだ瞳に、狂気のが宿っていた。 反省も悔もなく、ただ自らの欲望と虚栄を満たすためだけに、彼女は次なる獲物を求めて夜のへといしていった。 だが、その先に待っていたのは、彼女の像を絶する、本当の「底なし沼」だったのだ。

夜零過ぎ、郊にある同フーズ創業者・義父の邸宅。 な扉をくぐり、庭の敷かれた玄関にを踏み入れた志は、に両膝をつき、額をたいにこすりつけたままきつできずにいた。

奥のリビングから、ドスドスとを鳴らすい音が響いてくる。 現れた義父の顔は、髪を衝くという言葉をそのまま絵にしたように潮していた。そのろで、義母がハンカチを目元に当ててさく震えている。

「親父……母さん……っ!」 志の声は涙とで潰れていた。 「すまなかった……! 俺が……俺が全部バカだったんだ! 真澄の言われるがままにを無して、親父たちを騙して……本当にすまなかった!」

義父は無言のまま、腕組みをして息子を見ろしていた。 その沈黙は、号よりも遥かにく、志の背にのしかかる。やがて、義父のく掠れた声が、静まり返った玄関に落ちた。

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「顔をげろ、志」

志がおずおずと顔をげる。その界に映ったのは、りを超えて底れぬ失望に染まった父親の瞳だった。

「おが真澄という女を連れてきた、俺もお袋も猛反対した。相の素性も親の素性もかさず、ただと見栄だけに目が眩んだ女だと目で見抜いていたからだ。……だがおは何と言った? 『親父は古い、真澄はアメリカ帰りの本物の女だ』と啖呵を切り、をびしていったな」

「それは……っ」

「妊娠したと嘘をつき、リフォームすると嘘をつき、親のを盾にしてを毟り取った。……そこまでは、まだ『愚かな息子に騙された親の徳』で済んだかもしれん」 義父の歩が、を踏み締める。がきしりと鳴った。

「だが、おたちがやったことは何だ。遥さんの叔父君……佐伯社の会社を破滅寸に追い込んだ横領犯の娘を囲い込み、あまつさえ幸介と遥さんのにがり込んで、飯をにぶちまけ、親族の恥をこれでもかと晒しげた。……同フーズの板どころか、としてのすら完全に踏みしたんだよ、おは!」

「親父、頼む! 婚する! あいつとは絶対に別れるから!」 志はいつくばり、義父のスリッパに縋り付こうとした。 「サラの借が……あいつのせいで百万くあるんだ! このままじゃヤクザに内臓を売られちまう! 今回だけでいい、頼むから肩代わりしてくれ! 会社に戻って、ぬ気で働くから!!」

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その言葉を聞いた瞬、義父の目が完全に据わった。 振りげられたが、志のを無に払いのけた。

「どこまで腐り果てているんだ、貴様は」 吐き捨てるような言。

「借を親に払わせ、傷が浅いうちにまた会社のぬるま湯に戻る気か? 勘違いするな。おのような寄虫に継がせる席など、うちの会社のどこにもない。……幸介からすべて聞いた。おは昼からパチンコに溺れ、嫁の暴から目を背けて逃げ回っていたそうだな」

義母がいたたまれずに元を押さえて横を向く。 義父は胸ポケットから実印と朱肉、そして枚の便箋を取りし、志の目のへ投げ落とした。

「親族関係断絶の誓約だ。同フーズの全株式、ならびに俺の個資産の相続権をすべて放棄する旨がかれている。……署名しろ」

「お、親父……!?」 「度と『親父』と呼ぶな。サインをしなければ、詐欺罪の共犯として警察へ突きすだけだ。佐伯社の弁護団にも、おを徹底に追及するよう伝える。……選べ」

逃げは、最初からミリも残されていなかった。 志は震えるでペンを拾いげ、涙で滲む面に、自らの名を殴りきした。 親の庇護、恵まれた実、将来約束されていたはずの位。 そのすべてが、自らの浅はかな虚栄と欲によって、永に失われた瞬だった。

「ていけ。

……度と、このの敷居を跨ぐな」 背でい玄関扉が閉ざされ、カチャリと内鍵がろされる徹な属音が、夜の宅に虚しく響き渡った。

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