みかん小説
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"廃屋を買った兄妹と、床下に眠る父の秘密" 第12話

もギシギシいいます。でもが見えます》

《はのにがいました。今はみかんの缶詰があります》

空はわず吹きした。

最には、こういてあった。

《お姉ちゃんとで買いました。だからぼくは、このが世界でいちばん好きです》

空は何度も読み返した。

万円。

続きまで入れれば、あのの全財産のほとんど。

周囲から見れば、価値のない廃だった。

けれど空たちには違った。

誰にも追いされない所。

誰かの署名を必とせず、帰ってきていい所。

父の真実を残していた所。

の命を救った所。

そして何より、がもう度活を始めた所だった。

夕方。

陽斗が縁側へ座り、を見ながら言った。

「お姉ちゃん」

「何?」

「最初にここ来た、僕、何て言ったか覚えてる?」

空は笑った。

「本当に僕たちの? って」

「うん」

陽斗は柱へ背を預けた。

「今は分かるよ」

「何が?」

「ここ、本当に僕たちのだね」

空は答えなかった。

弟の横へ座った。

波が防波堤へ当たり、引いていく。

昔なら、その音が止まる瞬にから回の音が聞こえた。

もう何も鳴らない。

静かだった。

空はその静けさを、怖いとはわなかった。

父が命をかけて残したものは、でもでもなかった。

疑ったに確かめること。

怖くても記録を残すこと。

で無理なら助けを求めること。

そして目ので誰かが助けを求めているなら、聞こえなかったふりをしないこと。

空はちがった。

「陽斗、ご飯にしよう」

「今なに?」

「カレー」

「やった!」

弟が勢いよくへ入る。

空もそのを追った。

台所の板が、ギシッと鳴った。

今度はただの古いの音だった。

空は振り返らず、そのまま鍋の蓋をけた。

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