みかん小説
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"援助し続けた兄が隠していた二年間" 第10話

そして、私たち夫婦の活が崩れ始めても、それを当然のように受け取っていたこと。

そこだった。

昼休み。

座をくと、今も兄から千円が入っていた。

残の横にさく表示された名義を見る。

《ハシモトケンジ》

百万円には、まだい。

私は全部戻ってこなくてもいいとっている。

でも、もう兄の代わりにの帳尻をわせるつもりもない。

夜、へ帰ると、美咲が夕飯を作っていた。

「画見た?」

「見た」

「健司さん、元気そうだったね」

「うん」

私はコートを脱ぎながら答えた。

「今度の曜、兄ちゃん来るって」

「何で?」

「引っ越し祝い持ってくるって」

私たちは、し広い部へ移ったばかりだった。

以止まっていた計画を、ようやく実した。

「何くれるの?」

「らない。いのはいらないって言っといた」

美咲が笑った。

「健司さんなら、もう無理してい物は買わないんじゃない?」

「だといいけど」

曜。

兄が持ってきたのは、千円ほどのさな気ケトルだった。

「これなら毎使うだろ」

そう言って箱を渡した。

以の兄なら、見栄を張ってもっとい物を選んだかもしれない。

私は箱を受け取った。

「ありがとう」

兄はし照れたようにをこすった。

そのの帰り際。

玄関で靴を履いた兄が振り返った。

「直」

「何?」

「俺、昔おに言ったよな。弟なんだから助けるの当たりだって」

「覚えてる」

兄は苦笑した。

「あれ、忘れていいぞ」

私はし考えた。

「忘れないよ」

「何で」

「あのは本当に助けてもらったから」

私は続けた。

「でも、助けるって、何でも代わりに払うことじゃないって分かった」

兄はしばらく黙った。

やがて、

「そうだな」

とだけ言った。

ドアが閉まる。

美咲が台所から、

「お湯沸かしてみる?」

と声をかけた。

「うん」

しいケトルへを入れる。

スイッチを押す。

数分、湯気ががった。

何でもない夜だった。

それでも私は、こういう何でもない活を守るために、あの兄へ「もうはさない」と言ったのだとった。

族を助けることと、

族に自分のまで差しすことは、

同じではない。

私はようやく、その違いをった。

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