みかん小説
本棚

"無能教師と呼ばれた僕が、AIで教室を取り戻すまで" 第4話

「おい、朝倉! しらばっくれんなや! 俺は先週、おが野寺の机からプリントの束を抜き取って『来週までに終わらせる』言うとったの、このでハッキリ聞いとるぞ!」

朝倉は怯んだ様子も見せず、たい目で桜を睨み返した。 「桜先、証拠はあるんですか? メモでも録音でもあるとおっしゃるの? 言った言わないの掛け論で私を侮辱するのはやめてください!」

「お……ッ!」 桜が拳を握りしめた瞬、教が机を激しく叩いた。

「そこまでだ!!」 教は酷な目で野寺を見据えた。 「野寺教諭。理由がどうであれ、程表も宿泊規定もない状態で、徒を旅へ連れてくことは全管理、絶対に能だ。……教育委員会への報告、ならびに保護者への緊急連絡をう。本にしおりが完成しない、組の修学旅は――【全面止】とする!」

「そ……そんな……!」 野寺のから力が抜け、たいリノリウムのに膝をついた。 止。 自分の際のせいで、徒たちがから楽しみにしていた修学旅が、すべて消える。

周囲の同僚たちの笑。 その線の輪ので、朝倉美鈴が背を向けた瞬――彼女の元が、ゾッとするほど嘲弄に満ちた弧を描いたのを、野寺は見逃さなかった。

職員の苦しい喧騒から逃れるように、野寺はううの体で廊へた。

広告

呼吸が浅い。過呼吸で指先が痺れ、臓が肋骨を突き破らんばかりに暴れている。

「おい、野寺!」 追いかけてきた桜が、野寺の肩を乱暴に掴んで舎の非常階段へと引きずり込んだ。

踊りの暗いの、桜が荒々しく胸ぐらを掴みげてくる。 「言うたやろ! あの女に関わるなって、俺が忠告したやろが! なんで全部鵜呑みにして丸投げしとんねん!」

「す、すみません……でも、僕……本当に朝倉先を信じていて……」

「信じるもクソもあるか! あいつは最初から、おをハメるつもりやったんや!」

桜は階段のすりを蹴りばした。ガアン、と属音が響く。 「職員をる、俺は女子トイレのであの女を問い詰めてきたんや。『なんで野寺をここまで追い詰めるんや、何のみがあるねん』ってな」

「え……?」 野寺は顔をげた。

「あいつ、何て言うたとう?」 桜の顔が、悔しさとりで歪んでいた。

「『別にみなんてないわよ』やと。『ただ、あの男が理に気持ち悪いだけ。いつもペコペコして、オドオドこっちを見てきて、見ているだけで吐き気がするの。あんな無能、この学から消えてくれれば全員が幸せになるのよ』――そう吐き捨てて笑いよったんやぞ!」

野寺の界が、真っ暗に塗り潰された。 善でも、親切でもなかった。 最初から、自分を精神に破滅させ、修学旅の止という取り返しのつかない失態を演じさせ、教壇から永久追放するための、計算された悪。

広告

「……僕の、せいです」 野寺のから、乾いた砂のような呟きが漏れた。

「はあ!? お、まだそんな寝言言うとんのか!?」

「確認しなかった僕が悪いんです。に頼った僕が……無能な僕が、全部悪いんです……」 野寺はふらふらとちがった。 「教へってきます。……徒たちに、修学旅が止になったことを、僕のから伝えてきます」

「おい、待て野寺! 今から作ればまだにうかもしれん! 俺も伝うから諦めたらあかん!」

「無理ですよ!」 野寺は叫んだ。涙がポロポロと頬を伝って落ちていく。 「全ページの冊子を、あとでどうやってで作るんですか!? 印刷の製本だって半かかるのに! もう……終わりなんですよ、全部……!」

野寺は桜のを振り払い、階段を駆けがっていった。 絶望の淵に沈む組の教へ、自らの刑宣告をしにくために。

だが――その、が言い争っていた踊りの真、階へと続く暗い階段のステップのに、の男がっていたことに、誰も気づいていなかった。

ボロボロの革ジャンに、無造作に伸ばした髪。 かつて楠ノを暴力と問題で支配し、教師たちを恐怖に陥れた伝説の卒業――神崎優太(かんざき・ゆうた)。

優太はくわえ煙のを指先で揉み消すと、徹なを宿した瞳で、野寺がりった踊りを見ろした。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: