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"浄水器の異物から、夫の秘密が暴かれた" 第3話

『もしもし、美央? どうした、体調が悪化したのか?』

話から聞こえてくる夫の声は、いつものように穏やかで優しげだった。しかし、今の私にはその声の温度が、背筋を凍らせる気なものにえてならなかった。

「公平……今、浄器の業者さんに見てもらっているの。そうしたら……カートリッジのに、見たこともない異物が仕込まれているって言われたのよ」

受話器の向こうが、完全な無音になった。

くでオフィスの雑音が微かに聞こえるだけで、公平の呼吸音すら消え失せたような数秒の空。

「……公平? 聞こえてる?」

『あ、ああ、聞いてるよ』公平の声は、先ほどとは打って変わってになり、苛ちを孕んでいた。『なんだよそれ。業者の点検ミスか、械の初期良じゃないのか?』

「違うの。半の製造番号と違うカートリッジが、無理やりこじけられて別の物を詰められた状態で取り付けられていたのよ。誰かがから細したって……」

『おいおい、美央、落ち着けって! そんなことで騒ぎするなよ!』

公平のい調が受話器を震わせた。

『たかが設備の具だろ? 所迷惑だし、業者に言いくるめられて警察汰にでもされたら世体が悪いじゃないか。俺が帰るまで何も触るな。業者にも適当に引き取ってもらえ!』

私の臓が、氷を浴びせられたようにえ切った。

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妻が毎んでいたに異常な細がされていたと聞いて、なぜ真っ先に私の体を配しないのか。なぜ「騒ぎするな」「世体が悪い」と、事態を握りつぶそうとするのか。

「……公平。私はまだ、に入っていたものが何なのか、あなたに言も話していないわよ」

私の静かな問いかけに、話の向こうの公平が息を呑んだ気配がした。

『だから……! よく分からないなら騒ぐなって言ってるんだ! 俺は今から会議だから切るぞ!』

ツーツーというたい子音を残し、通話は方に切断された。

私はスマートフォンの画面を見つめたまま、へと崩れ落ちた。膝の震えが止まらなかった。ヶの夫の献、優しい言葉、温かい湯。そのすべてが、底なしの暗渠へと崩落していくような覚だった。

、メーカーの品質管理本部の責任者とともに、請を受けた所轄警察署の活全課の警察官名ががに到着した。

警察官たちはシンクのの異物を保全用の証拠袋へ収め、岡田の作業記録と、私が半に受け取った正規の納品を照した。

「川さん、このカートリッジは科捜研の鑑識とメーカーの研究所で精密分析に回します。器物損壊および傷害の疑いを野に入れて捜査を始します」配の警察官が真剣な面持ちで告げた。「のため確認しますが、この居の鍵をお持ちの方はどなたですか?」

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「……私と夫。それから、義母の悦子さんです」

警察官は帳にペンをらせ、玄関ドアのスマートロックの子基板を指差した。

「この子錠は、錠履歴がサーバーに記録されるタイプですね。部からの侵入形跡がないか、過半分の入退ログをすべて提してください」

夕暮れ、警察と業者が引き揚げたの静まり返ったので、私は、ノートパソコンの画面をいた。管理アプリからダウンロードしたスマートロックのログデータ。無質な数字の羅列をスクロールしていく私の目に、ある特定のの記録がび込んできた。

半川美央が阪へ泊の張にていた。

午分——『物理キー()による錠』。 午分——『物理キー()による施錠』。

滞、分。

その、公平は都内の会社で勤務だったはずだ。そして、の物理キーを持っていたのは、世界でただ、義母の悦子だけだった。

その夜、午を過ぎて帰宅した公平は、玄関のドアをけるなり、靴も揃えずにリビングへ踏み込んできた。

テーブルのに置かれたコンビニのペットボトルのと、警察が作成していった事聴取の類の控えを見るなり、彼の表が骨に歪んだ。

「美央、お本当に警察まで呼んだのか!? 所でパトカーが見られたらどうするんだ! 俺が産業界でどれだけ顔を売ってるかってるだろ!」

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