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"両親を亡くした私が旅行から帰ると、実家が消えていた" 第11話

かつて母の形見を品定めし、嘲笑の声をげていたあの居が、ガラガラと音をてて瓦礫のへと崩れ落ちていく。

「あああああ……! 私のが……私のが……!」 敏子はのに崩れ落ち、にまみれて絶叫した。雅也はそのに膝をつき、両でを抱えて震えていた。

かつて更ので、私がわわされたあの底れぬ絶望と虚無を、今度は自分たち自が全で浴びていた。 ちる砂埃を見つめながら、私の胸の奥に渦巻いていたい鉛のような塊が、音をてて消えっていくのをじていた。

義実の解体劇から半。 季節は巡り、柔らかなの陽がを包み込んでいた。

私と雅也の婚は、倉田弁護士の徹底な追及のもと、完全に成した。 建造物損壊に対する損害賠償千百万円、および精神苦痛に対する慰謝料百万円、さらに敏子が横領・転売した遺品の弁償を加えた計千百万円が、雅也と敏子が正蔵から相続した預貯から括で差し押さえられ、私の座へと支払われた。 敏子のフリマアプリでの窃盗容疑についても、修夜が警察のち会いのもとで義実の財から母の形見のほとんどを回収してくれたため、最終には起訴猶予となったものの、隣民や親族のに「嫁の実の遺品を盗んで転売した棒姑」

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という噂が完全に定着し、敏子は度と表通りを歩けなくなった。

むを失った雅也と敏子は、雅也の会社の古い単者向け社宅に、特例としてでを寄せているという。 かつて私を追いし、が物顔でふんぞり返っていた社宅で、今は老いた母親の介護と狭な部での暮らしに追われ、社内でも「実を息子に解体された男」として完全に孤していると、同僚の奥さんからの便りに聞いた。定退職を迎えた、彼らに帰るべきはどこにもない。

方、更となった私の実のは、駅の好だったこともあり、のハウスメーカーに予以の値で売却された。売却益は兄の雄と折半し、私の元には分すぎるほどの再発の資が残った。

そして今、私は郊の興宅に建った、真しい壁の世帯宅のリビングにっていた。

「お母さん、お茶が入ったよ」 キッチンのカウンターから、エプロン姿の彩が笑顔でマグカップを差ししてくれた。リビングのソファでは、結婚を控えた修夜と、その婚約者の女性が楽しそうに婚旅のパンフレットを広げている。

「お義母さん、当たりのいい階のお部、気に入っていただけましたか?」 婚約者の優しい問いかけに、私は胸を詰まらせながらく頷いた。

「ええ、本当に素敵なお部よ。ありがとうね」

実のを売却した資と、修夜が義実のを売った資をわせ、私たちはしい族のを築いたのだ。 リビングの最も当たりの良い飾り棚には、修夜が取り戻してくれた母の作りエプロンが、父と母の笑顔の写真とともに切に飾られていた。

窓をけると、の柔らかなが吹き込み、庭のしい柿の苗を優しく揺らした。 失われたは戻らない。両親が帰ってくることもない。 けれど、理尽な悪に屈せず、法と誇りを胸に戦い抜いた先には、こんなにも温かく、穏やかなに満ちたが待っていた。

私は母の写真に向かって静かに微笑みかけ、淹れたての温かいお茶をに運んだ。

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