"妹に夫を譲れと言われた結婚式の翌朝" 第13話
泣きじゃくる父の肩を、母がそっと抱きしめていた。
私たちは、その背を静かに見守ることしかできなかった。続いた悪が、今度こそ完全に、永の幕をろした瞬だった。
あれからさらにが流れ、がには何つ変わらない、しかし最に幸せな常が戻っていた。
百はその、の噂で県の温泉に流れ着き、商売を転々としながら暮らしていると聞いたが、実にも私たちのにも度と姿を現すことはなかった。父は宣言通り、弁護士を通じて庭裁判所に申してをい、百との関係を公にも完全に清算した。実の仏壇からも、族写真のアルバムからも、百の痕跡は綺麗に消しられた。
現、歳になった私の本職は、の怪獣たちを相取るプロの猛獣使いである。
曜の午。がのリビングは、すさまじい活気に満ち溢れていた。
「ママー! 陸が俺のロボットの腕折ったー!」 「折ってないもん! 最初から取れかけてたんだもん!」 「嘘つけ! おが投げたからだろ!」
歳の男・蓮と、歳の双子の陸とが、リビングの絨毯ので激しいプロレスごっこを繰り広げている。その横では、歳になった末娘の葵が、私のいエプロンの裾を引っ張りながら自己主張の雄叫びをげていた。
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「いや! お着替えいや! ズボン履かない! ちゅーるべる!」 「葵ちゃん、ちゅーるは猫のご飯でしょ! はバナナをべなさい!」
私がフライパン片に鳴り散らしていると、洗面所の方からけない鳴が響いてきた。
「あああああ……! ありさ、ちょっと来てくれ! 緊急事態だ!」
ため息をつきながら洗面所を覗き込むと、そこには頂部に両を当てて鏡に顔をづけているの姿があった。
「見てくれよこれ! つむじの周り、確実にくなってないか!? 毎朝葵を肩するたびに全力で髪をむしり取られるからだ! 俺の毛根が全滅の危に瀕している!」
「丈夫だって。お父さん、今昇して当がついたんでしょ? いざとなったら最のAGA治療でも植毛でも受けさせてあげるから」
「そういう問題じゃないんだよ! 男のプライドの問題なんだ!」
真剣に往往する代半ばの夫の姿に、私はわず吹きしてしまった。
かつて蜂に刺されて急所を腫らし、「世界は俺の敵だ」と泣き言を言っていた男。 結婚式の翌朝、パジャマ姿で「俺の腹筋は何個に割れてたでしょう」とボケをかました男。 そして、酔した妹に布団に潜り込まれ、「化け物がた」と本気で叫んで逃げ惑った男。
カッコ悪くて、けなくて、最に笑えて、そして何よりも——私と子どもたちを命がけでし、守り抜いてくれる、世界頼もしい私の夫。
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ピンポーン。
玄関のインターホンが鳴り、元気な声が響いた。
「ありさー! 畑で美い根とみかんが獲れたから持ってきたぞー!」
玄関をけると、両に野菜の段ボール箱を抱えた父と母が、満面の笑みでっていた。
「じいじ! ばあば!」
子どもたちが崩を打って玄関へ駆け寄っていく。父は腰を痛めそうになりながらも、双子を両腕に抱きげ、目尻に皺を寄せて笑い転げている。
かつて私たちの絆を引き裂こうとした悪や歪んだ嫉妬は、巨な濁流となって過ぎっていった。その嵐を乗り越えた今、私たちの元に残されたのは、何があっても揺らぐことのない、固く結ばれた族の絆だけだった。
「さあ、みんな! お昼ご飯にするわよ! 洗ってきなさい!」
私の号令に、子どもたちと、そして両親が斉に返事をする。
田舎町の古い。虫が湧けば無表で叩き潰し、夫の毛を笑いばし、子どもたちの喧嘩を鳴り散らす。
静かで品な暮らしとは程いけれど——私は今、胸を張って言える。
この騒がしくも温かい、世界で番おしいがで、私は最に幸せです、と。
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