みかん小説
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"息子が私を認知症にした日" 第12話

消えた帳簿

直は逃げたのではなかった。会社の倉庫へ庫を移し、帳簿を税理士へ預けたと主張した。

だが税理士は、半分の資料しか受け取っていないと答えた。仕入先は仮差押えを検討し、会社は事業継続か理かの瀬戸際にった。

私は経営へをさなかった。を差しさないことと、息子の会社を潰すことは同じではない。

直の代理を通じて、第者の事業再専を入れるなら、設備代の未払いについて返済猶予を協議すると伝えた。帳簿の示が条件だった。

、直は応じた。

専の調査で分かったのは、派な横領ではなく、もっと見苦しい現実だった。利益のい仕事を取り続け、赤字を別現へ付け替え、りない分を族ので埋めた。止める期を失い、嘘をねた。

駅のに対する実事は百万円。うち湯器代万円は私がすでに払っていた。直が請求できる能性があるのは、の確認できる部だけだった。

架空分を含む伝票は修正し、税務処理もやり直す必がある。会社は倒産を免れるため、従業員のうちを別会社へ移籍させ、事務所を畳み、直の規模事業へ縮する案になった。

誰かが夜で救う結末ではない。直は信用と仕事を失い、自分で返済するしかなかった。

面談、直が私を呼び止めた。

「母さんは、俺が失敗するのを待ってたんだろ」

「待っていたなら、もを貸さない」

「じゃあ、なぜもっとく止めなかった」

その問いだけは胸に刺さった。

私は息子を信じたかったのではない。失敗を指摘して嫌われるのが怖くて、おをすことで母親の役目を続けたかったのだ。

「私も、助け方を違えた。でも、あなたの署名まで私がしたわけではない」

直は答えなかった。

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