みかん小説
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"四十九日の遺言" 第5話

翌、澄子がでホテルへ来た。喪ではなく、毛玉のついたのカーディガンを着て、膝のにさな布袋を置いた。正隆には病院へくと嘘をついてきたという。

「私は、本物を見ていないの」

澄子が見せられたのは、の朝に正隆が持ってきたコピーだけだった。男がを弟へ残すと聞き、佐伯の号が守られるなら正しいとった。静が追いされる条項にも疑問を持たなかったことは認めた。

「あなたはのを盾に、いつかを自分の物にする。正隆にそう言われていたの」

「私は、すでに自分のをに使わせていました」

澄子は目を伏せた。らなかったことは免罪にならない。だが彼女は、正隆が遺言を見せるから産会社の男を病へ連れてきたことをいしていた。男は窓からアパートを眺め、駅からの距や面の幅を尋ねていた。

布袋には彦のタブレットが入っていた。澄子は形見として持ち帰ったが、充方法も分からず、引きしへしまっていた。片桐の事務所で源を入れると、端末には桁の暗証番号が必だった。静は結婚記、の、夫の誕を試したがかなかった。

最に入力したのは、の古い気契約番号の末尾だった。画面がいた。

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保されていたのはの写真や治療記録だけではない。《遺言・第案》という文があり、更は署名のだった。そこにはが静所であること、の建物を静へ、アパートを正隆へ、階のを澄子の終居所とすることがかれていた。

正隆がした遺言とは、内容がまったく違った。

さらにファイルの末尾には、彦が自分へ残したいメモがあった。

《正隆にアパートを渡すのは、あいつが正しいからではない。これ以調べられたら、分の帳簿が表へる》

静が画面を読み返していると、片桐が別のフォルダをいた。そこにはあるはずのアパートについて、分しか記載されていない別表が分保されていた。

澄子は、静が彦を問い詰めれば病状が悪化すると何度も止めていた。男はのことを考えている、嫁は治療だけに集しろ。その言葉に従った結果、静は財産の話からされ、正隆は自由に病へ入りした。澄子自も利用されたが、利用されやすい形を作った責任まで消えるわけではなかった。

端末の第案には、静の父のを無償で使ったについてもだけ触れられていた。《建物は妻の協力なしに維持できなかった》。それを読んでも静は救われなかった。

夫が理解していたなら、なぜきているに与を払い、名義を説し、弟を止めなかったのか。の文章は事実を示せても、選択の遅さまでは埋められなかった。

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